特定技能「工業製品製造業」の機械金属加工とは?対象技能・対象企業・受け入れの流れを解説

外国人雇用
公開日:26.09.15/更新日26.09.15
特定技能「工業製品製造業」の機械金属加工とは?対象技能・対象企業・受け入れの流れを解説

特定技能の在留資格で外国人材を受け入れたいものの、「自社の工場の作業内容が特定技能の対象になるのか分からない」とお悩みの企業様も多いのではないでしょうか。

特定技能の「工業製品製造業分野」は、2022年に旧・素形材産業・産業機械製造業・電気・電子情報関連産業の3分野が統合され、2024年に現在の名称・区分体系へと整理された分野で、現在は17の業務区分に分かれています。この中でも「機械金属加工」は、対象となる技能の数が最も多く、鋳造・鍛造から機械加工、プレス、塗装、溶接、熱処理、プラスチック成形まで、ものづくりの現場で行われる幅広い作業をカバーしています。

この記事では、特定技能「機械金属加工」の位置づけと対象となる技能、対象企業のイメージ、必要な試験や受け入れの流れについて解説いたします。

  • この記事でわかること
  • 工業製品製造業分野の「機械金属加工」区分は、17ある業務区分の中で対象技能の数が最も多く、鋳造・機械加工・プレス・溶接・塗装・熱処理・プラスチック成形など、金属・機械系のものづくり工場で行われる幅広い作業をカバーしていること
  • 強化プラスチック成形は2024年度、フィルム加工は2026年に対象技能として追加されたこと
  • 電気機器組立て(回転電機・変圧器・配電盤・制御盤等)も機械金属加工区分に含まれており、電気電子機器組立て区分と共通する技能があること
  • 技能実習2号修了者は評価試験・日本語試験が免除され、特定技能1号へ移行できること(対応する職種がある場合)
  • 特定技能2号への移行には「評価試験合格」「3年以上の実務経験」「ビジネスキャリア検定3級合格」の3要件が必要なこと
  • 受け入れには受入事業所のJAIM(一般社団法人工業製品製造技能人材機構)への入会が必要なこと

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目次

特定技能「工業製品製造業分野」とは

工業製品製造業分野は、特定技能制度の中でも受入れ人数が多い分野の一つです。2022年に旧・素形材産業・産業機械製造業・電気・電子情報関連産業の3分野が統合されて1つの分野となり、2024年には「工業製品製造業」へ名称変更されるとともに、新たな業務区分が追加されて10業務区分に拡大しました。これにより、複数の作業を一体的に行う「多能工化」に対応した受け入れが可能になっています。

さらに2026年1月の閣議決定では、業務区分が10区分から17区分に拡大され、対象となる事業所の産業分類も大幅に増えています。

「機械金属加工」業務区分の位置づけ

工業製品製造業分野の17業務区分のうち、「機械金属加工」は旧・素形材産業・産業機械製造業を中心に統合された区分で、対象となる「主たる技能」の数が最も多い区分です。鋳造・鍛造・ダイカストといった素材の成形から、機械加工、プレス・板金・鉄工、仕上げ・検査・保全、塗装、溶接、熱処理、プラスチック成形、アルミ製品加工、工業包装まで、金属・機械系のものづくり工場で行われる作業の多くがこの区分に含まれます。

技能実習制度において「機械加工」「金属プレス加工」「鉄工」「工場板金」「仕上げ」「機械検査」「機械保全」「塗装」「溶接」「ダイカスト」「鋳造」「鍛造」などの職種で実習生を受け入れてきた企業にとっては、最も馴染みのある区分といえるでしょう。

機械金属加工で対象となる主な技能

「機械金属加工」で対象となる主たる技能は多岐にわたりますが、作業内容ごとに大きく分けると、以下のようなカテゴリに整理できます。

鋳造・鍛造・ダイカスト

金属を溶かして型に流し込み成形する「鋳造」(鋳鉄鋳物製造・非鉄金属鋳物鋳造)、金属に圧力を加えて成形する「鍛造」(ハンマ型鍛造・プレス型鍛造)、そして溶融金属を金型に圧入して成形する「ダイカスト」(ホットチャンバダイカスト・コールドチャンバダイカスト)が含まれます。自動車部品や産業機械部品などの素材製造を担う工場が対象となります。

機械加工(旋盤・フライス・マシニングセンタ)

普通旋盤、フライス盤、数値制御旋盤、マシニングセンタを用いた切削加工が含まれます。金属部品の精密加工を行う工場で広く必要とされる技能です。

プレス・板金・鉄工

金属プレス、構造物鉄工、機械板金が含まれます。金属板を加工して部品や構造物を製造する工場が対象です。

仕上げ・機械検査・機械保全

治工具仕上げ、金型仕上げ、機械組立仕上げ、機械検査、機械系保全が含まれます。加工後の部品の最終調整や検査、設備のメンテナンスを担う作業です。

塗装

建築塗装、金属塗装、鋼橋塗装、噴霧塗装が含まれます。金属製品や構造物の表面処理・仕上げを行う工場が対象です。

溶接

手溶接、半自動溶接が含まれます。金属部品の接合工程を担う工場で必要とされる技能です。

熱処理

全体熱処理、表面熱処理(浸炭・浸炭窒化・窒化)、部分熱処理(高周波熱処理・炎熱処理)が含まれます。金属部品の強度や耐久性を高めるための加工工程です。なお、金属熱処理業(2465)での受け入れは2024年度より機械金属加工区分の対象となりました。

プラスチック成形

圧縮成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、手積み積層成形(強化プラスチック成形)、ビーズ法発泡スチロール成形、プラスチック成形材料製造、フィルム加工(ドライラミネート・押出ラミネート・スリット・製袋・フラットヤーン)が含まれます。樹脂製品を製造する工場も、機械金属加工区分の対象に含まれている点は意外に思われるかもしれません。なお、強化プラスチック成形(手積み積層成形)は2024年度に、フィルム加工は令和8年(2026年)に機械金属加工区分の対象技能として追加されています。真空成形については引き続き追加が検討されています。

(出典:経産省「工業製品製造業分野における特定技能外国人材の受入れについて」2026年6月版

アルミニウム圧延・押出製品製造

アルミニウム圧延・押出製品製造(引抜加工・仕上げ)が含まれます。アルミ建材やアルミ部品を製造する工場が対象です。

工業包装

製品を出荷するための工業包装も、機械金属加工の対象技能の一つです。

電気・電子機器組立て系の技能(②と共通)

機械金属加工の対象技能には、電子機器組立て、回転電機組立て、変圧器組立て、配電盤・制御盤組立て、開閉制御器具組立てなど、電気・電子機器の組立てに関する技能も含まれています。これらは業務区分「②電気電子機器組立て」とも共通する技能であり、複数の業務区分にまたがって従事できる点が、2022年の3分野統合のメリットの一つです。電気・電子機器組立てを中心とする企業様向けの内容は、別記事で詳しく解説する予定です。

なお、航空機部品組立てについても、令和8年度に機械金属加工の主たる技能として追加が検討されています。

対象となる企業・事業所のイメージ

機械金属加工の対象技能は幅広いため、対象となる企業・事業所のイメージも多岐にわたります。代表的なものとしては、以下のような工場が挙げられます。

  • 対象となる企業・事業所のイメージ
  • 金属部品の切削加工・プレス加工を行う工場(自動車・産業機械部品など)
  • 鋳造・鍛造・ダイカストによる金属素材の成形を行う工場
  • 鉄工所、機械板金業者
  • 金属製品の塗装・溶接・熱処理を専門に行う工場
  • 樹脂製品の射出成形・ブロー成形などを行うプラスチック加工工場
  • アルミ建材・アルミ部品の製造工場

「自社の作業内容がどの技能に当てはまるか分からない」という場合でも、上記のいずれかに近い作業を行っていれば、機械金属加工区分での受け入れを検討できる可能性があります。

必要な試験

特定技能1号として機械金属加工区分で外国人材を受け入れるには、「製造分野特定技能1号評価試験(機械金属加工)」に合格するか、対応する技能実習2号を良好に修了している必要があります。機械加工、金属プレス加工、鉄工、機械検査、機械保全、塗装、溶接、ダイカスト、鋳造、鍛造などは、技能実習制度においても長年実施されてきた職種であるため、技能実習2号からの移行による受け入れも多く見られます。

評価試験・試験日程・学習用テキストはJAIM(一般社団法人工業製品製造技能人材機構)のウェブサイト(https://www.jaim-skill.or.jp/exam/)にて随時更新されています。

(出典:JAIM FAQ p.32 Q7-1

特定技能2号への移行(機械金属加工)

工業製品製造業分野は、特定技能2号の対象11分野の一つです。機械金属加工区分で長期的に活躍する人材を育成したい場合、以下の要件をすべて満たすことで特定技能2号への移行が可能です。

  • 特定技能2号への移行要件(製造分野・機械金属加工区分)
  • 技能要件:製造分野特定技能2号評価試験(機械金属加工区分)に合格、または技能検定1級(機械加工・鋳造・鍛造・金属プレス加工・塗装・溶接等)に合格
  • 実務経験:日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場における3年以上の実務経験
  • 管理能力:ビジネスキャリア検定3級(生産管理プランニング区分または生産管理オペレーティング区分)に合格

(出典:JAIM「工業製品製造業における特定技能外国人受入れに関するFAQ」令和8年8月7日時点版 p.37 Q9-1-1・Q9-1-3

特定技能2号では在留期間の制限がなくなり、家族の帯同も認められるため、長期雇用を見据えた人材育成の選択肢となります。

受け入れの流れ

機械金属加工区分での受け入れの基本的な流れは、他の工業製品製造業分野の業務区分と同様です。

  • 受け入れの流れ
  • 評価試験合格者の採用、または技能実習2号修了者からの移行
  • 雇用契約の締結
  • 事前ガイダンス、健康診断、支援計画の策定
  • 在留資格認定証明書交付申請(海外からの採用の場合)または在留資格変更許可申請(国内在留者からの移行の場合)
  • 義務的支援の実施、就労開始

よくある質問

Q. 特定技能外国人を受け入れる際の人数制限はありますか?

受入れ機関ごとの人数制限はありません。ただし、特定技能1号外国人を受け入れるにあたっては、支援計画に基づく受入れ機関としての義務を果たすことができる体制が前提となります。(出典:JAIM FAQ p.4 Q1-1)

Q. 自社の製造品が機械金属加工区分の対象かどうかわかりません。どう確認すればいいですか?

JAIMの「対象となる産業分類一覧」から、自社で製造している製造品を検索して確認できます。なお、対象かどうかの最終的な確認はJAIMへの入会申請時に行われます。外国人が従事する業務が対象の業務区分に該当しない場合は、事業所の産業分類が対象であっても受け入れができないケースがありますのでご注意ください。(出典:JAIM FAQ p.5 Q2-1-1

Q. 塗装業(2461 金属製品塗装業)でも機械金属加工区分で受け入れできますか?

はい、可能です。主として他から受け入れた金属製品に塗装を行い、塗装のみによる加工収入がある場合は2461金属製品塗装業に該当し、機械金属加工区分での受け入れが可能です。ただし、自社で金属加工・組み立てを行った自社製品への塗装は2461には該当しません。また、船体の塗装や、修理目的の塗装(中古車・修理車両の再塗装など)も対象外となります。(出典:JAIM FAQ p.6 Q2-3、p.18-19 Q2-38)

Q. 建設現場での溶接作業で、機械金属加工区分の特定技能外国人を従事させることはできますか?

できません。建設・建築工事の代金は建設業収入に該当するため対象外となります。機械金属加工区分での受け入れは、工場内での製造工程に限られます。(出典:JAIM FAQ p.9 Q2-11)

Q. 「溶接」の技能実習2号を修了した外国人を受け入れた場合、機械加工や仕上げの業務にも従事させることができますか?

はい、可能です。「溶接」職種で技能実習2号を良好に修了した外国人は、機械金属加工区分で特定技能1号を取得できます。この区分内の技能(機械加工・仕上げ・塗装・溶接等)を要する業務であれば、日本人従業員と同様に従事させることが可能です。なお、新しい技能の業務に従事させる場合には、労働災害防止のための訓練・研修を事前に実施する必要があります。(出典:JAIM FAQ p.27 Q4-3-2)

Q. 機械金属加工区分の在留資格を持つ外国人を、電気電子機器組立ての製造ラインでも働かせることはできますか?

原則としてできません。機械金属加工区分の在留資格を持つ外国人は、機械金属加工区分内の業務にのみ従事が可能です。電気電子機器組立て区分の業務にも従事させたい場合は、別途電気電子機器組立て区分の評価試験への合格と在留資格上の手続きが必要になります。

ただし、技能実習2号から移行する場合は、「機械加工」など両区分に共通する職種を良好に修了していれば、どちらの区分の在留資格にも移行することが可能です。在留資格を取得した業務区分が変わっても、以前の区分の評価試験の再受験は必要ありません。(出典:JAIM FAQ p.35 Q8-2-1)

Q. 自社製品の製造工程で熱処理を行っていますが、「2465 金属熱処理業」として申請できますか?

できません。2465金属熱処理業は「他から受け入れた金属製品や機械部分品に熱処理を行う事業所」を指します。自社で製造した製品の製造工程の一部として行う熱処理は2465には該当しません。また、塗装工程での乾燥作業も熱処理には含まれませんのでご注意ください。なお、他社から受け入れた製品への熱処理加工を行う専業の熱処理事業所(2465)は、機械金属加工区分での受け入れ対象産業分類に含まれています(2024年度より追加)。(出典:JAIM FAQ p.13 Q2-27-1・Q2-28)

Q. 特定技能外国人を関連会社へ異動させたり、出向させたりすることはできますか?

いずれも原則としてできません。特定技能外国人は、雇用契約を結んでいない他社・他社事業所への異動は認められていません。また、工業製品製造業分野では雇用形態は直接雇用が原則であり、在籍型の出向(出向元・出向先の双方と雇用契約を結ぶ形態)も認められていません。(出典:JAIM FAQ p.26-27 Q4-4-1・Q4-6)

まとめ

特定技能「工業製品製造業」の「機械金属加工」区分は、鋳造・鍛造・ダイカスト、機械加工、プレス・板金・鉄工、仕上げ・検査・保全、塗装、溶接、熱処理、プラスチック成形、アルミ製品加工、工業包装など、金属・機械系のものづくり工場で行われる幅広い作業をカバーする区分です。技能実習制度で実績のある職種が多く含まれているため、技能実習2号からの移行も含めて、受け入れを検討しやすい区分といえます。

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