【2026年】特定技能の給料の平均相場|22.1万円の落とし穴
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厚生労働省の調査で、特定技能外国人の平均賃金は月22.1万円(令和7年)です。この数字自体は正しい。問題は、東京都の最低賃金1,226円でフルタイム換算すると213,079円になるため、「手当込みで22万円」という設定では、手当除外後に最低賃金を割り込む可能性があるということです。
令和7年10月、最低賃金は全国加重平均で1,121円になりました。前年から66円の引上げは、昭和53年に目安制度が始まって以降で最高額です。そして東京都は1,226円。フルタイム(月173.8時間)で計算すると213,079円——22.1万円との差はわずか8,321円(3.9%)しかありません。
この記事では、平均額と正しい使い方、自社の地域で最低賃金割れしないかの計算方法、多くの企業が見落としている月60時間超の割増50%と実際に起きているトラブルを整理します。
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目次
最低賃金フルタイム換算・判定表
| 基準 | 時給 | 月173.8時間換算 | 22.1万円は? |
|---|---|---|---|
| 東京都の最低賃金(令和7年10月3日〜) | 1,226円 | 213,079円 | △ 上回るが差はわずか3.9%(手当除外で割れる危険あり) |
| 全国加重平均(令和7年度) | 1,121円 | 194,830円 | ○ 上回る(差は約13.6%) |
| 令和6年度の全国加重平均 | 1,055円 | 183,359円 | ○ 上回る |
※月173.8時間=週40時間×365日÷7日÷12か月(月平均所定労働時間の目安)
※自社の都道府県の額は、厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」で必ずご確認ください
- この記事の要点
- 特定技能外国人の平均賃金は月22.1万円(令和7年)。技能実習の19.0万円より高い
- 令和7年度の最低賃金は全国加重平均1,121円。+66円は目安制度開始以降で最高額
- 全都道府県が時給1,000円を突破
- 東京都は1,226円。フルタイム換算213,079円で、22.1万円との差はわずか3.9%(時給48円)
- 通勤手当・家族手当・賞与は最低賃金の計算に算入できない。「手当込みで22万円」は通らない
- 月60時間を超える時間外労働の割増は50%以上。2023年4月から中小企業にも適用
特定技能の給料の平均相場はどのくらい?
在留資格区分別の賃金比較
厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査(在留資格区分別にみた賃金)」によると、特定技能の平均賃金は22.1万円(221,400円)です。
| 在留資格区分 | 賃金(万円) | 前年増減率 | 年齢(歳) | 勤続年数(年) |
|---|---|---|---|---|
| 外国人労働者計 | 25.4 | +4.8% | 32.5 | 3.3 |
| 専門的・技術的分野(特定技能除く) | 31.3 | +7.3% | 32.4 | 3.2 |
| 特定技能 | 22.1 | +4.8% | 29.5 | 2.4 |
| 身分に基づくもの | 31.1 | +3.6% | 45.0 | 6.5 |
| 技能実習 | 19.0 | +4.2% | 26.2 | 1.7 |
| その他 | 22.8 | +0.8% | 30.1 | 2.0 |
出典:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査(在留資格区分別にみた賃金)」※前年増減率・
外国人労働者全体の平均25.4万円より特定技能が低いのは、専門的・技術的分野(31.3万円)と身分に基づくもの(31.1万円)が全体を引き上げているためです。特定技能が不当に低いという話ではありません。
技能実習との差は3.1万円
技能実習の19.0万円に対して、特定技能は22.1万円。差は3.1万円です。
理由は、特定技能は技能試験と日本語試験を通過した即戦力だからです。技能実習は「実習」、特定技能は「就労」——制度の目的そのものが違います。
年齢と勤続年数にも注目してください。特定技能は平均29.5歳・勤続2.4年。移行組が中心という構造は変わっていません。
「+4.8%増」の正しい読み方
特定技能の賃金は前年比+4.8%。しかし令和7年度の最低賃金の上昇率は+6.3%(1,055円→1,121円)で、特定技能の賃金上昇を上回っています。
「需要が高まって賃金が上がっている」と解釈したくなりますが、最低賃金の上昇ペースに賃金が追いついていないとも読めます。
実際、特定技能外国人の時給換算の平均は約1,274円(221,400円÷173.8時間)。最低賃金の全国加重平均1,121円との差は153円、東京都1,226円との差は48円しかありません。
平均値を鵜呑みにしてはいけない理由
平均22.1万円という数字には、分野も、地域も、労働時間も含まれていません。東京の外食業と、地方の製造業では、そもそも前提が違います。「平均だから安全」という数字ではないのです。
【最重要】22.1万円の落とし穴
令和7年度の最低賃金は、過去最大の引上げだった
令和7年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で1,121円になりました。前年度の1,055円から66円の引上げです。
この66円という引上げ額は、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額です。
厚生労働省の中央最低賃金審議会が示した目安はAランク63円・Bランク63円・Cランク64円で、目安どおりなら全国加重平均は1,118円になるはずでした。しかし39道府県が目安額を上回る改定を行った結果、1,121円まで積み上がりました。47都道府県での引上げ幅は63円〜82円です。
全都道府県が時給1,000円を突破した
令和7年度の改定で、すべての都道府県で最低賃金が1,000円を超えました。
「地方だから安く雇える」という発想は難しくなりました。
今年度の最低賃金は、令和7年10月1日から令和8年3月31日までの間に、各都道府県で順次発効します。都道府県ごとに発効日が違うため、自社の地域の日付を確認する必要があります。
東京都1,226円 × 173.8時間 = 213,079円。差はわずか3.9%
東京都の最低賃金は1,226円(令和7年10月3日発効)。これを月給に換算します。
月平均所定労働時間の計算:週40時間 × 365日 ÷ 7日 ÷ 12か月 = 173.8時間
東京都の最低賃金による月給の下限:1,226円 × 173.8時間 = 213,079円
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 東京都・フルタイムの最低ライン | 213,079円 |
| 特定技能の平均賃金(令和7年) | 221,400円 |
| 差額 | +8,321円(差は3.9%のみ) |
22.1万円の平均は、東京都の最低賃金を上回っています。ただし、上回り幅は3.9%(時給換算で48円)しかありません。
問題はここからです。最低賃金の判定に通勤手当・家族手当・皆勤手当・割増賃金・賞与は算入できません。「手当込みで22万円」は通りません。基本給だけで比較する必要があります。
| 計算例 | 金額 |
|---|---|
| 月給(手当込み) | 220,000円 |
| うち通勤手当(算入不可) | ▲10,000円 |
| 最低賃金の判定に用いる額 | 210,000円(東京都最低ライン213,079円を割れ) |
「平均22.1万円だから、うちも22万円で」——この設定が、手当の構成次第でそのまま法令違反になります。
全国平均でも、余裕は13.6%しかない
全国加重平均1,121円 × 173.8時間 = 194,830円。特定技能の平均221,400円との差は26,570円、約13.6%です。
言い換えれば、特定技能の平均賃金を時給換算すると約1,274円(221,400円÷173.8時間)。最低賃金の全国加重平均1,121円との差は153円しかありません。特定技能外国人の多くは、最低賃金のすぐ上で働いているというのが数字が示す実態です。
自社の地域で計算する方法
まず、厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」で自社の都道府県の額と発効日を確認します。次に、その額 × 173.8時間(自社の所定労働時間が異なる場合は実際の月平均所定労働時間)を計算します。最後に、設定しようとしている月給の基本給部分(手当を除く)がそれを上回っているかを確認します。
注意点がひとつあります。最低賃金の計算に算入できない賃金があります。通勤手当、家族手当、皆勤手当、時間外・休日・深夜の割増賃金、賞与などは、最低賃金の対象から除外されます。「手当込みで22万円だから大丈夫」は通りません。
給料の決め方と法的基準
労働基準法|国籍による差別の禁止
労働基準法第3条は、「労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」と定めています。「外国人だから安く」は、この時点で違法です。
特定技能運用要領|日本人と同等額以上
特定技能には、さらに固有の要件があります。特定技能外国人の報酬額は、日本人が従事する場合の報酬額と同等以上でなければなりません。
これは在留資格の要件です。満たさなければ、そもそも許可が下りません。
「日本人と同等以上」は、どう判断するのか
- 判断の考え方は3段階
- 同じ業務に従事する日本人労働者がいる場合。その方の賃金と比較します。これが最も明快です。
- 同じ業務の日本人がいない場合。同程度の技能・経験を持つ日本人労働者の賃金と比較します。社内に前例があれば、それを基準にします。
- 社内に比較対象がまったくいない場合。賃金規程や、地域・同業他社の賃金水準を参照して合理性を説明します。
- いずれの場合も、「なぜこの金額なのか」を説明できる資料を残しておくことが重要です。申請時にも、その後の届出でも問われます。
罰則|根拠法を正確に押さえる
| 違反の種類 | 根拠法 | 罰則 |
|---|---|---|
| 地域別最低賃金を下回った | 最低賃金法(第40条) | 50万円以下の罰金 |
| 特定(産業別)最低賃金を下回った | 労働基準法(第120条 ※賃金全額払いの原則違反) | 30万円以下の罰金 |
50万円のほうは最低賃金法であって、労働基準法ではありません。「どちらも労働基準法により」と書かれた記事を見かけますが、正確ではありません。
また、最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があり、両方が適用される場合は高いほうの額以上を支払う必要があります。製造業では特定最低賃金が設定されている業種があるため、確認が必要です。
罰金だけでは済みません。最低賃金を下回っていた場合、その差額を遡って支払う義務が生じます。そして特定技能では、法令違反が受入れ機関の基準適合性に影響します。
割増賃金の正しい計算
基本の割増率
| 種類 | 割増率 |
|---|---|
| 時間外労働(法定労働時間超) | 25%以上 |
| 休日労働(法定休日) | 35%以上 |
| 深夜労働(22時〜翌5時) | 25%以上 |
特定技能外国人にも、日本人と同様にすべて適用されます。
【要注意】月60時間を超える時間外労働は50%以上
1か月60時間を超える時間外労働については、割増率が50%以上になります。
そして重要なのは、2023年4月1日から、中小企業にもこの規定が適用されているということです。それ以前は中小企業に猶予措置がありましたが、すでに廃止されています。
製造業の繁忙期に、月60時間の残業は珍しくありません。「残業は一律25%増し」で計算し続けている場合、60時間超の部分が未払いになっています。
計算例(時給換算1,300円の場合)
| 時間外労働 | 割増率 | 時間単価 |
|---|---|---|
| 月60時間まで | 25% | 1,625円 |
| 月60時間を超えた分 | 50% | 1,950円 |
月80時間残業した場合、60時間分は1,625円、超過20時間分は1,950円で計算します。一律1,625円で払っていると、20時間 × 325円 = 6,500円の未払いが毎月発生します。
代替休暇という選択肢
月60時間超の割増賃金には、代替休暇という仕組みがあります。労使協定を締結すれば、引き上げ分(25%から50%への差分=25%)の割増賃金の支払いに代えて、有給の休暇を与えることができます。ただし労使協定が必須であり、本人が取得するかどうかは任意です。
割増が重なるとどうなるか
| ケース | 割増率 |
|---|---|
| 時間外 + 深夜 | 50%(25%+25%) |
| 休日 + 深夜 | 60%(35%+25%) |
| 月60時間超の時間外 + 深夜 | 75%(50%+25%) |
夜勤のある製造現場では、この重なりが日常的に発生します。給与計算ソフトの設定が古いままだと、そのまま未払いになります。
低賃金トラブルの実例と回避策
ケース①|控除しすぎて手取りが破綻する
額面22万円でも、社会保険料、所得税、住民税、寮費、水道光熱費、Wi-Fi代、送迎費——これらを引いた結果、手取りが極端に少なくなることがあります。
額面と手取りの差が大きいほど、「話が違う」というトラブルになります。本人は母国で「月22万円」と聞いて来日しています。手取り13万円だったときの落胆は、想像に難くありません。
回避策は、雇用契約の締結時に、控除後の手取り見込額まで示すことです。額面だけを提示するのは、結果的に自社の首を絞めます。
ケース②|家賃・光熱費の不当な控除
寮費や光熱費の控除には、明確なルールがあります。実費を超える額を控除してはいけません。借上げ社宅の家賃を実費以上に上乗せしたり、使っていない設備の費用を一律で引いたりすると、実質的な賃金の引下げとみなされます。
そして重要なのは、賃金から控除するには労使協定が必要だということです(賃金の全額払いの原則の例外)。協定なしで寮費を天引きしていると、それ自体が労基法違反です。
ケース③|母国語で説明していない
入管庁は、重要事項の説明を本人が十分に理解できる言語で行うことを求めています。給与明細の見方、控除項目の意味、税金の仕組み——これらを日本語だけで説明して「説明しました」とするのは、実務上リスクです。
「聞いていない」「わからないままサインした」——これがトラブルの入口になります。逆に言えば、最初に母国語で丁寧に説明しておくだけで、多くのトラブルは防げます。
ケース④|源泉徴収の「居住者・非居住者」を取り違える
| 区分 | 源泉徴収 |
|---|---|
| 居住者(国内に住所があるか、1年以上居所がある) | 通常の源泉徴収税額表による |
| 非居住者 | 一律20.42% |
特定技能外国人は通常、1年以上の在留が予定されるため入国時点から居住者として扱われることが一般的ですが、判定を誤ると納税額が大きく変わります。短期の在留や年の途中での出国が絡む場合は、税理士または所轄税務署にご確認ください。
同一労働同一賃金と昇給・給与交渉
同一労働同一賃金は特定技能にも適用される
パートタイム・有期雇用労働法に基づく同一労働同一賃金の原則は、特定技能外国人にも適用されます。
外国人だから、という理由での待遇差は認められません。業務内容、責任の範囲、配置変更の範囲が同じであれば、基本給・手当・賞与・福利厚生のすべてについて、同じ扱いが必要です。
手当・賞与も日本人と同等に
「基本給は同じだが、賞与は出さない」——これは典型的なNGパターンです。
通勤手当、住宅手当、家族手当、皆勤手当、賞与——日本人に支給しているものは、原則として特定技能外国人にも支給が必要です。
なお、これらの手当は最低賃金の計算には算入できません(前述)。最低賃金の判定と、同等待遇の判定は別の話である点に注意してください。
給与交渉は、離職の予兆である
特定技能外国人から給与交渉を受けたら、それは辞める準備が始まっているサインです。
特定技能は転職が可能です。同一分野・同一業務区分内であれば、条件のよい企業に移れます。技能実習とは根本的に違う点です。
交渉を突っぱねれば、静かに転職されます。採用と手続きにかけた費用は、そこで消えます。
対応の原則は、評価基準と昇給条件を明示することです。「頑張れば上がる」ではなく、「何をどこまでできたら、いくら上がる」を数字で示す。それができない企業から、人は抜けていきます。
これは日本人の若手社員とまったく同じ構造です。外国人材だから特別なのではありません。
特定技能の給料に関するよくある質問
Q1. 特定技能の平均給料はいくらですか?
A. 月22.1万円(221,400円)です(厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」)。技能実習の19.0万円より3.1万円高く、前年比+4.8%の伸びを示しています。ただしこの平均をそのまま設定額にするのは危険です(Q3参照)。
Q2. 最低賃金はいくらですか?
A. 令和7年度は全国加重平均で1,121円です。前年度の1,055円から66円の引上げで、目安制度が始まった昭和53年度以降で最高額となりました。東京都は1,226円(令和7年10月3日発効)。全都道府県で時給1,000円を突破しています。
Q3. 22万円で設定して大丈夫ですか?
A. 基本給ベースの確認が必要です。東京都の最低賃金1,226円 × 月173.8時間=213,079円。特定技能の平均221,400円はこれを8,321円(3.9%)上回りますが、通勤手当・家族手当・皆勤手当・割増賃金・賞与は最低賃金の計算に算入できません。「手当込みで22万円」は判定に通りません。必ず自社の都道府県の額で、手当を除いた基本給部分で計算してください。
Q4. 残業代の割増率は何%ですか?
A. 時間外25%以上、休日35%以上、深夜25%以上です。ただし月60時間を超える時間外労働は50%以上になります。2023年4月1日から中小企業にも適用されており、猶予措置は廃止済みです。時間外と深夜が重なれば50%、休日と深夜なら60%、60時間超の時間外と深夜なら75%になります。
Q5. 日本人より低い給料にできますか?
A. できません。労働基準法第3条が国籍による差別を禁止しているうえ、特定技能運用要領は「日本人が従事する場合の報酬額と同等以上」を在留資格の要件としています。満たさなければ許可が下りません。手当や賞与も、日本人に支給しているものは原則として同様に支給が必要です。
まとめ
特定技能外国人の平均賃金は月22.1万円(令和7年)。技能実習の19.0万円より3.1万円高い水準です。
しかし、この平均を設定額にしてはいけません。
令和7年10月、最低賃金は全国加重平均1,121円になりました。+66円は目安制度開始以降で最高額です。東京都は1,226円で、フルタイム換算すると213,079円——特定技能の平均221,400円との差はわずか8,321円(3.9%)しかありません。
そして最低賃金の判定では通勤手当・家族手当・賞与は算入できません。「手当込みで22万円」は判定に通りません。基本給だけで比べると最低賃金を割り込む可能性があります。
あわせて見落としがちなのが、月60時間を超える時間外労働の割増50%です。2023年4月から中小企業にも適用されています。「残業は一律25%増し」で計算している企業は、すでに未払いが発生しています。
そして、額面が正しくてもトラブルは起きます。控除しすぎて手取りが破綻する、寮費を実費以上に引く、母国語で説明しない——現場で実際に起きているパターンです。
やるべきことは3つ。自社の都道府県の最低賃金で基本給を計算する。60時間超の割増を確認する。控除後の手取りまで本人に示す。この3つで、大半のリスクは防げます。
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