技能実習生の受け入れ人数は何人まで?企業規模別にわかる人数枠と優良要件の条件を解説
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「人手不足を解消したいけれど、実習生を何人まで受け入れられるのか分からない」
「うちは小規模事業者だけど、受け入れは可能?」
そんな疑問を抱えていませんか?
技能実習制度では、企業の規模や実習方式に応じて受け入れ人数の上限(人数枠)が定められています。また、一定の条件を満たすと、人数枠を拡大できる「優良認定」制度も存在します。
本記事では、技能実習生の受け入れ人数の決まり方をわかりやすく解説するとともに、実習制度の限界と、即戦力雇用が可能な「特定技能」という選択肢についてもご紹介します。
制度を正しく理解し、自社に合った人材戦略を見つけていきましょう。
目次
技能実習制度の受け入れ人数には上限があります
「何人まで技能実習生を受け入れられるのだろうか?」
これは、受け入れを検討する企業からよく寄せられる質問です。
実は、技能実習制度には企業ごとに明確な受け入れ上限が設けられています。これは制度の適正な運用を守るためであり、人数に応じた適切な指導・管理ができる体制が求められるからです。
また、受け入れ方式(団体監理型・企業単独型)や自社の従業員数、監理団体の優良認定の有無によっても、上限人数は大きく異なります。
ここでは、上記2点について少し詳しく説明いたします。
人数枠がある理由(制度の適正運用のため)
技能実習制度は、本来「開発途上国への技術移転」を目的とした国際協力制度です。そのため、実習生を大量に受け入れて単なる労働力として扱うことは、本来の趣旨に反します。
このような趣旨から、受け入れ企業ごとに実習生の人数枠(上限)が制度的に定められており、適正な実習環境を維持できる範囲でのみ受け入れが許可されます。
また、人数枠の存在により、企業のキャパシティ以上の無理な受け入れを防ぎ、実習生の保護と職場での適正指導を担保する役割も果たしています。
受け入れ方式で異なる(団体監理型と企業単独型)
技能実習には主に以下の2つの受け入れ方式があります。
- 受け入れ方式
- 団体監理型:監理団体(商工会・業界団体など)を通じて実習生を受け入れる方式
- 企業単独型:海外の現地法人や提携先から、直接実習生を受け入れる方式
多くの中小企業が採用しているのは「団体監理型」です。制度上の受け入れ人数枠はどちらの方式で受け入れるかによっても異なります。
特に団体監理型では、監理団体の運営状況や優良認定の有無によっても上限人数が変わるため、自社の状況に応じた確認が必要です。
基本となる人数枠は「常勤職員数」で決まる
技能実習生の受け入れ人数は、自社の常勤職員数に応じて上限が決められています。これは受け入れ企業にとって過大な負担にならず、実習生に対して適切な教育・指導が行われるようにするためです。
具体的な上限数は、技能実習の区分(1号・2号・3号)ごとに異なり、受け入れ年数の進行に応じて変動します。
常勤職員数と受け入れ上限の対応表(1号/2号/3号)
以下は、通常枠(非優良認定)の団体監理型での人数目安です。
常勤職員数 | 技能実習1号の上限人数 | 技能実習2号・3号の上限人数 |
---|---|---|
30人以下 | 最大3人 | 最大6人 |
31~40人 | 最大4人 | 最大8人 |
41~50人 | 最大5人 | 最大10人 |
※受け入れ人数は、1号実習生の数が基準となり、2号・3号へ移行した実習生を含めて制限が設けられています。
職員30人以下の小規模事業者でも受け入れ可能
「人数枠が厳しいのでは…」と不安に感じる小規模企業もご安心ください。職員数30人以下の企業でも最大3名の実習生を受け入れることが可能です。
中小製造業・食品加工業などでは、少人数でも実習制度を活用しているケースが多く、適切な準備と体制づくりができれば十分に受け入れが可能です。
ただし、人数だけでなく実習内容や生活支援体制などの要件もあるため、監理団体との連携や事前準備が重要なポイントになります。
優良認定を受けると人数枠が拡大される
技能実習制度では、企業や監理団体の実施体制が一定基準を満たしていると「優良認定」が与えられます。この優良認定を受けることで、技能実習生の受け入れ可能人数が大幅に拡大される仕組みとなっています。
人手不足が深刻化する中で、より多くの外国人材を受け入れたい企業にとって大きなメリットとなります。
優良実習実施者・優良監理団体とは
優良認定は、以下の2つの立場で取得が可能です。
- 優良認定について
- 優良な実習実施者(企業):適切な指導体制、過去の法令遵守実績、離職率の低さなどを評価されます。
- 優良な監理団体:実習生へのサポート体制や訪問指導の実績、財務の健全性などが審査対象となります。
どちらか一方ではなく、企業と監理団体の双方が優良認定を受けていることが拡大枠の条件となります。
優良認定による拡大枠(最大6倍)と条件
優良認定を受けた場合、技能実習1号の受け入れ上限が常勤職員数の「1/10」から「1/6」まで拡大されます。さらに、技能実習2号・3号を含めると、最大で常勤職員数の「1/3」まで受け入れ可能となります。
たとえば職員60人の企業であれば次のようになります。
- 例)
- 通常枠 → 1号は6人まで(60÷10)
- 優良枠 → 1号は10人まで(60÷6)
このように、制度を正しく運用して信頼を積み重ねれば、より多くの実習生を安定的に受け入れることが可能になります。
優良認定を受けるメリット・注意点
- 【メリット】
- 受け入れ人数の拡大による人手不足への対応強化
- 3号技能実習生の受け入れ(最大5年間の就労)が可能になる
- 社会的信頼の向上
- 【注意点】
- 審査には過去3年間の運用実績が必要なため、新規参入企業はすぐに取得できない
- 要件や提出書類が多く、制度理解と監理団体との連携が不可欠
- 一定期間ごとに再審査・更新が必要
優良認定は、制度の枠組みの中で最大限に活用するための選択肢ですが、取得のハードルやタイムラグもあるため、中長期的な計画が求められます。
即戦力人材を早期に確保したい場合は、後述する「特定技能制度」の活用も視野に入れると良いでしょう。
制度に沿った人数管理が重要です
技能実習制度を活用するうえで、制度に定められた受け入れ人数枠を正しく管理することは非常に重要です。仮に人数制限を超えて受け入れていたり、申告内容と実態が異なっていたりした場合、企業側に大きなリスクが発生します。
適切な人数管理を行うことは、単にルールを守るというだけでなく、将来的な人材活用の選択肢を狭めないためにも不可欠です。
不適切な受け入れは監査・改善指導の対象に
受け入れ人数が制度の上限を超えていたり、虚偽の申請を行っていた場合、監理団体や出入国在留管理庁の監査対象となります。監査の結果、以下のような措置を受ける可能性があります。
- 措置例
- 改善命令や警告
- 一定期間の受け入れ停止
- 実習生の在留資格取消や帰国命令
- 最悪の場合、技能実習制度からの排除
企業の信頼性が問われる問題となるため、人数管理の徹底は欠かせません。
人数計画や監理団体との連携がポイント
制度に沿った適切な運用を行うには、受け入れ計画の策定と定期的な見直しが必要です。さらに、実務面では監理団体との密な連携がカギとなります。
- ポイント
- 常勤職員数の変動を踏まえた計画の立案
- 実習終了者・新規受け入れとの入れ替え管理
- 優良認定を目指すための準備・情報共有
監理団体との定期的な打ち合わせを通じて、法令違反を未然に防ぎつつ、継続的かつ安定した人材受け入れ体制を整えることができます。
なお、技能実習制度の枠にとらわれず、より柔軟な人材活用を求める場合は、後述する「特定技能制度」も一つの選択肢としてご検討ください。
実習制度は“教育”が前提。即戦力雇用が目的なら特定技能という選択肢も
技能実習制度は、あくまで発展途上国への「技術移転」を目的とした制度です。そのため、実習期間中に企業の即戦力として働いてもらうことが本来の趣旨ではありません。
一方で、日本国内の人手不足、とくに即戦力を求める現場では、「教育目的」ではなく「労働力確保」を最優先とするケースが増えています。そんなとき、注目されているのが「特定技能制度」です。
技能実習と特定技能の主な違い(簡易表付き)
項目 | 技能実習 | 特定技能(1号) |
---|---|---|
目的 | 技術移転・人材育成 | 即戦力人材の受け入れ |
在留期間 | 原則3年間(最大5年) | 最大5年間(更新制) |
対象職種 | 限定的(91職種) | より広範囲(16分野) |
転職の可否 | 原則不可 | 原則可能(同業種内) |
試験 | 不要(基準を満たせば可) | 技能試験・日本語試験が必要 |
実施主体 | 監理団体の管理下 | 企業が直接雇用・支援義務あり |
制度の根本的な性質が異なるため、貴社の人材ニーズに合わせて選択することが重要です。
人材確保・定着を重視するなら「特定技能」も検討を
近年は、「できるだけ長く働いてくれる外国人材を採用したい」「一から教育する余裕がない」といった企業の声が増えています。そうした現場には、一定のスキルを持ち、即戦力として働ける特定技能人材の方がマッチすることも少なくありません。
また、特定技能人材は在留資格を更新しながら最長5年間働けるため、長期的な雇用計画にも柔軟に対応できる制度です。
当社では「特定技能」に特化した人材活用をご提案しています
キャリアリンクファクトリーでは、特定技能制度を活用した外国人材の受け入れ支援を行っております。
- 支援内容
- 現地機関との連携による人材選定
- 特定技能試験対策・ビザ取得サポート
- 入社後の定着支援・法的支援体制の整備
技能実習制度の限界を感じている、またはより実務に直結した外国人材の活用を検討されている企業様には、特定技能制度の導入をご提案しております。
ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ|制度を正しく理解して、最適な人材活用を
技能実習制度は、制度上の目的や人数枠に制限がある一方で、外国人材の受け入れを考える企業にとって、長らく「第一の選択肢」として活用されてきました。しかし近年は、即戦力を求める現場のニーズや制度的な制約を受けて、より柔軟な特定技能制度に注目が集まっています。
特に、「人手不足をすぐにでも解消したい」「実践力のある人材に長く働いてもらいたい」という場合、技能実習だけにこだわらず、目的に応じた制度選びが重要です。
キャリアリンクファクトリーでは、特定技能に特化した人材支援を行っており、制度設計から採用・定着までトータルでサポートしています。外国人材の受け入れに不安がある方も、まずはお気軽にご相談ください。
制度の違いを理解し、自社の人材戦略に合った最適な選択をすることが、これからの人手不足時代を乗り越えるカギです。