日本語能力試験(JLPT)の概要と企業が確認すべきポイントと注意点を紹介!
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「外国人採用を進めたいけど日本語能力が心配」「外国人の日本語レベルを確認する方法が知りたい」このような悩みをお持ちの企業も多いのではないでしょうか。
外国人の日本語能力を確認する方法の一つとして、日本語能力試験(JLPT)があります。
この記事では、日本語能力試験の基本情報や、採用時に確認すべきポイント、企業側の注意点まで詳しく紹介いたします。
目次
日本語能力試験(JLPT)の概要
日本語能力試験(JLPT※)は、国際交流基金と日本国際教育支援協会が共催で実施している、世界最大規模の日本語試験です。
※JLPT:Japanese-Language Proficiency Testの略
試験の目的
日本語能力試験は、日本語を母語としない人々の日本語能力を評価・認定するための試験です。
日本語の知識だけでなく、日常的なコミュニケーションに関する課題を遂行する能力の評価を目的としています。
実施時期と場所
日本語能力試験は、日本国内の47都道府県および世界85カ国・249都市で受験できます。日本国内では基本的に年2回(7月と12月に)実施されます。
海外での実施時期や開催場所については、公式サイトで最新情報を確認できます。
参考:海外の実施都市・実施機関一覧 | 受験手続きの流れ | 日本語能力試験 JLPT
試験の内容
日本語能力試験の試験科目は、「言語知識(文字・語彙・文法)」「読解」「聴解」の3つで構成されています。すべてマークシート方式の問題が出題されます。
試験の難易度
日本語能力試験には、「N1」から「N5」までの5段階のレベルがあります。N1が最も難しく、N5が最も易しいレベルです。
各レベルの難易度は、「読む」と「聞く」の言語行動別に認定目安が定められています。
参考:https://www.jlpt.jp/about/levelsummary.html
N1の認定目安
- N1の認定目安
- 総合:幅広い場面で使われる日本語を理解できる。
- 読む:幅広い話題の論説や評論など、複雑で抽象的な文章を読み、構成や内容、さらには話の流れや表現意図まで深く理解できる。
- 聞く:幅広い場面において自然なスピードのまとまりのある会話やニュース、講義を聞き、話の流れや内容、登場人物の関係、内容の論理構成などを詳細に理解し、要旨を把握できる。
N2の認定目安
- N2の認定目安
- 総合:日常的な場面で使われる日本語を理解するだけでなく、より幅広い場面で使われる日本語もある程度理解できる。
- 読む:幅広い話題の新聞や雑誌の記事、解説、明快な評論を読み、内容や話の流れ、表現意図を理解できる。
- 聞く:日常的な場面に加え、幅広い場面で自然に近いスピードのまとまりのある会話やニュースを聞き、話の流れや内容、登場人物の関係を理解し、要旨を把握できる。
N3の認定目安
- N3の認定目安
- 総合:日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる。
- 読む:日常的な話題の具体的な文章を読み、新聞の見出しから概要をつかみ、難易度がやや高い文章でも言い換えがあれば要旨を理解できる。
- 聞く:日常的な場面でやや自然に近いスピードのまとまりのある会話を聞き、話の具体的な内容を登場人物の関係などと合わせてほぼ理解できる。
N4の認定目安
- N4の認定目安
- 総合:基本的な日本語を理解できる。
- 読む:基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活に身近な話題の文章を読み理解できる。
- 聞く:日常的な場面でややゆっくりと話される会話であれば、内容をおおよそ理解できる。
N5の認定目安
- N5の認定目安
- 総合:基本的な日本語をある程度理解できる。
- 読む:ひらがなやカタカナ、日常生活で用いられる基本的な漢字で書かれた定型的な語句や文、文章を読み、理解できる。
- 聞く:教室や身の回りなど、日常生活の中でよく出会う場面で、ゆっくり話される短い会話であれば、必要な情報を聞き取れる。
受験者数と認定率
日本語能力試験の公式ウェブサイトで公開されている試験の結果概要によれば、2023年第2回(12月)のレベル別受験者数と認定率は以下のようになっています。
レベル | 受験者数 | 認定者数 | 認定率 |
---|---|---|---|
N1 | 121,554 | 37,553 | 30.90% |
N2 | 164,670 | 63,807 | 38.70% |
N3 | 164,700 | 57,733 | 35.10% |
N4 | 149,334 | 47,243 | 31.60% |
N5 | 63,037 | 29,418 | 46.70% |
参考:日本語能力試験 結果の概要 December 2023
外国人採用時に確認すべき日本語能力試験のポイント
外国人が日本語能力試験の認定を取得している場合、日本語レベルを確認できる指標となります。採用時に確認すべき日本語能力試験のポイントを紹介します。
職種や業務内容に応じて必要なレベルの設定が重要
取得している日本語能力試験のレベルによって、期待できる外国人の日本語レベルは異なります。より難易度の高いレベルの認定を取得している外国人の方が、日本語コミュニケーション能力が高いと期待できます。
しかし、難易度の高い日本語能力試験を取得している外国人ばかりを採用しようとすると、その分、取得している外国人数が少なくなり、採用が進まなくなることがあります。
自職場に必要とされる日本語レベルを検討し、採用機会の拡大を図りましょう。
「特定技能」はN4以上の認定が必要
「特定技能」の在留資格を取得するには、外国人に以下の要件が求められます。
- 各分野の業務に関連した技能の試験
- 日本語能力に関する試験
日本語能力に関する試験では、「日本語能力試験でN4レベル以上の認定取得」または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)でA2レベル以上の認定取得」、もしくは「技能実習2号を良好に修了」が必要です。
特定技能外国人の採用を検討している場合、将来的に取得を目指す際には、日本語能力試験でN4レベル以上を取得している外国人の採用を考慮すると良いでしょう。
「高度専門職」はN1・N2はポイントが加算される
「高度専門職」の在留資格を取得するには、学歴、職歴、年齢、研究実績、年収、資格、特別加算などの項目で評価され、合計70点以上のポイントを獲得する必要があります。
高度専門職の在留資格を取得するための高度人材ポイント制において、日本語能力試験N1を取得している外国人は15点が加点され、N2を取得している外国人は10点が加点されます。
高度専門職での採用を検討している場合、将来的に取得を目指す際には、日本語能力試験でN2レベル以上を取得している外国人の採用を考慮すると良いでしょう。
日本語能力試験の注意点
日本語能力試験の認証を取得している外国人を受け入れる企業が注意すべきポイントを紹介します。
成績証明書を確認する
日本語能力試験に合格している外国人を採用する際には、「日本語能力試験の認定結果および成績証明書」を確認し、試験の成績をしっかりと確認しましょう。
日本語能力試験の総合得点は全レベル(N1~N5)共通で180点ですが、合格ラインはレベルによって異なります。
例えば、N5レベルの総合得点は180点中80点が合格ラインとなり、満点での合格者と80点の合格者では日本語レベルに違いがあると考えられます。
また、成績証明書では「言語知識」「読解」「聴解」ごとの結果が確認できるため、結果によって外国人の得意分野や苦手分野を把握できます。日本語能力試験のレベル
合格点
レベル | 得点の範囲 | 合格点 |
---|---|---|
N1 | 0~180点 | 100点 |
N2 | 90点 | |
N3 | 95点 | |
N4 | 90点 | |
N5 | 80点 |
点数配分
レベル | 言語知識 | 読解 | 聴解 |
---|---|---|---|
N1 | 0~60点(基準値:19点) | 0~60点(基準値:19点) | 0~60点(基準値:19点) |
N2 | 0~60点(基準値:19点) | 0~60点(基準値:19点) | 0~60点(基準値:19点) |
N3 | 0~60点(基準値:19点) | 0~60点(基準値:19点) | 0~60点(基準値:19点) |
N4 | 0~120点(基準値:38点) | 0~60点(基準値:19点) | |
N5 | 0~120点(基準値:38点) | 0~60点(基準値:19点) |
参考:得点区分・合否判定・結果通知 | 試験の実施と結果通知 | 日本語能力試験 JLPT
高得点でも実際の日本語コミュニケーション能力が高いとは限らない
日本語能力試験はマークシート方式で行われるため、「書く」や「話す」能力を直接測る問題がありません。
そのため、試験に合格していても、実際の会話能力が期待されるレベルに達しておらず、日本語コミュニケーション能力が不足している場合があるため、注意が必要です。
日本語コミュニケーション能力については、面接時に直接外国人と会話し、日本語能力試験の認定レベルや成績証明書と合わせて総合的に判断しましょう。
採用後に日本語教育が必要
N3からN5レベルの場合、日本語の理解が低く、採用後に日本語教育が必要です。
日本語能力試験のN1やN2レベルに合格している外国人であれば、日常的な会話は問題なく伝わりますが、業務で使用する専門用語や方言の理解は難しく、実際の会話力をさらに高めるためのサポートが求められます。
外国人が本来の能力を発揮するためには、外国人の日本語レベルに応じた日本語教育の実施やサポートを行い、スムーズなコミュニケーションを促す環境づくりを進めましょう。
まとめ
外国人を採用する際、日本語能力の確認は職場でのコミュニケーションや業務効率に直結する重要な要素であり、日本語能力試験は、外国人の日本語能力を確認できる有効な手段です。
認証レベルや成績証明書を確認し、面接時のコミュニケーション能力と合わせて日本語能力を確認しましょう。
また、採用後に日本語能力を向上させるための研修や学習支援を行うことで、外国人材の戦力化が図れます。日本語能力の高い外国人を採用できれば理想的ですが、難しい場合は、外国人採用に特化した人材派遣や人材紹介サービスの活用がオススメです。外国人採用に特化したノウハウを持っており、短期間で日本語レベルの高い外国人材の確保や紹介が期待できます。
キャリアリンクファクトリーでは、特定技能の受け入れ支援をしております。特定技能外国人の受け入れをご検討中であれば、ぜひお問い合わせください。