特定技能外国人は国内転職可能!受け入れ企業の要件や注意点を紹介

外国人雇用
公開日:24.04.06/更新日:24.04.24
特定技能外国人は国内転職可能!受け入れ企業の要件や注意点を紹介

2019年から新設された在留資格「特定技能」ですが、特定技能外国人が転職を希望してきた場合、転職するための要件や手続きをどうすれば良いのか、困っている方も多いのではないでしょうか。

転職は、「旧受入れ企業」「新受入れ企業」「外国人本人」が関わっており、特定技能制度の中でも理解が難しい問題です。この記事では、特定技能での転職は可能なのか、転職する際に本人や企業が満たすべき要件と手続き、転職期間について紹介いたします。

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特定技能外国人は自由に転職できるが、ハードルやリスクが存在する

特定技能外国人は自由に転職できるが、ハードルやリスクが存在する

結論、特定技能の転職は可能です。

しかし、実際に転職するのは簡単ではなく、超えるべきハードルは多いです。なぜなら、外国人本人と雇用先の企業側だけでなく、転職先の企業の協力が必要となるからです。

また、在留資格の申請には日数がかかり、申請中は働くことができずに収入が得られず、外国人の生活が苦しくなってしまいます。転職のための要件と手続きについて詳しく説明いたします。

外国人本人と受け入れ企業が要件を満たす必要がある

特定技能外国人が転職するには、「外国人本人」と「転職先の企業」のそれぞれに必要な要件があります。どちらの要件も満たしていれば、転職は可能です。

特定技能外国人本人は試験に合格する必要があり、受け入れ企業は12分野の特定産業分野に該当しているのかを確認しなければなりません。それぞれの詳しい要件については、後ほど紹介いたします。

転職には転職先企業の協力が必要

転職には転職先企業の協力が必要です。特定技能外国人が日本で行える活動の範囲は、パスポートに添付されている「指定書」で定められております。

日本に在住し、特定技能で既に就業している特定技能外国人の場合においても、指定書で定められた内容以外の活動はできません。

指定書には、特定技能外国人が従事できる「企業の名前」「特定技能の分野」「従事する業務区分」が記載されており、その企業であらかじめ決められた業務しかできないことになっています。

そのため、転職には在留資格変更許可申請が必要となりますが、在留資格変更許可申請は、受け入れ要件を満たした転職先企業が行います。転職先企業の協力を得て、在留資格変更許可申請をし、新たに在留カードと指定書を発行しなければなりません。

在留資格変更許可申請中は他社でアルバイトができない(自己退職時)

特定技能外国人は日本人と異なり、在留資格変更許可申請中にアルバイトができません。特定技能のルールで、指定書に定められている活動しかできないためです。

在留資格の変更許可申請は、必要書類が多く準備に時間がかかるだけでなく、許可が下りるまで約1〜3ヶ月の時間がかかります。

そのため、転職する特定技能外国人に貯金が無いと、生活が困窮する恐れがあります。また、転職先企業は、在留資格変更許可が下りるまで雇用できない点も注意する必要があります。

どんな仕事にも転職できるわけではない

特定技能の制度上、転職は指定書に定められている「特定技能の分野」に分類される企業への転職しかできません。異なる分野に転職する場合には、該当する分野の技能試験を新たに合格する必要があります。

せっかく特定技能外国人と転職先企業のニーズがマッチしても、在留資格の問題で転職できないといった自体に陥る可能性があります。どんな業種・分野・企業・仕事にも転職ができるわけではないことを理解しておきましょう。

特定技能の転職|外国人本人が満たすべき条件

特定技能の転職|外国人本人が満たすべき条件

特定技能外国人の転職には、特定技能外国人本人が満たすべき条件があります。転職する際は、「前職と同じ業種に転職する場合」と、「前職と違う業種に転職する場合」で必要な手続きが異なります。それぞれ紹介いたします。

同業種同業務の場合の条件

特定技能で在留資格を取得するには、「産業分野別の技能試験」に合格する必要があります。しかし、前職と転職先で業種・業務が変わらない場合、この試験を再度受ける必要はありません。

例えば、農業分野で働いている外国人が別の農業法人に転職する場合には、農業の技能試験は免除になります。ただし、試験が免除であっても、在留資格変更許可申請は必要になります。

異業種へ転職、または業務が変わる場合の条件

異業種へ転職、または業務が変わる場合には、転職先の業務が「該当する分野」の技能試験を合格する必要があります。

例えば、外食業分野の飲食店で働いている特定技能外国人が、宿泊分野のホテルに転職する場合、新たに「宿泊業技能測定試験」に合格しなければなりません。

また、同じ分野であっても、「従事する業務区分」が異なる場合には、従事する業務区分毎の技能試験を受けて、合格する必要があります。

例えば、同じ建設分野であっても、「ライフライン・設備区分」で働いている特定技能外国人が、「土木区分」で働く場合には、建設技能試験の「土木区分」の技能試験に合格しなければなりません。

技能試験の開催日程は限られている場合が多いため、事前に調べておくことが重要です。特定技能に関する試験情報は、出入国在留管理庁のHPで確認できます。

参考:特定技能総合支援サイト:特定技能に関する試験情報 

特定技能の転職|受け入れ企業が満たすべき条件

特定技能の転職|受け入れ企業が満たすべき条件

特定技能外国人の転職は、受け入れ企業にも満たすべき条件が存在します。受け入れ企業の産業区分が特定産業分野に該当しているか、特定技能外国人本人が必要な試験に合格しているかの確認が求められます。

12分野の産業分類に該当している

特定技能外国人を受け入れる場合、まずは自社の産業分野や業種が、特定技能制度の受け入れ分野である、特定産業分野に該当しているかの確認が必要です。特定技能1号外国人を受け入れできる特定産業分野は以下の12分野です。

  • 特定産業12分野
  • 介護分野
  • ビルクリーニング分野
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野
  • 建設分野
  • 造船・舶用工業分野
  • 自動車整備分野
  • 航空分野
  • 宿泊分野
  • 農業分野
  • 漁業分野
  • 飲食料品製造分野
  • 外食業分野

※特定技能2号の受け入れできる特定産業分野は、介護分野を除く11分野

業務区分を確認する

特定産業分野に該当していることが確認できたら、業務区分を確認しましょう。例えば、同じ「造船・舶用工業分野」でも、業務区分は「溶接」「塗装」「鉄工」など6つに分けられています。

作業によって業務区分は変わってくるため、特定技能外国人に従事させる業務が、指定書の業務範囲に該当するか気をつけて確認しなければなりません。

特定技能の業務区分と分野の最新情報は、出入国在留管理庁「特定技能ガイドブック」で確認できます。

参考:特定技能 ガイドブック 

外国人本人の日本語試験と技能試験の合格状況の確認

特定技能の在留資格を取得するには、「産業分野別の技能試験」と「日本語試験」に合格する必要があります。

日本語試験には、「日本語力試験」と「国際交流基金日本語基礎テスト」があり、どちらかの試験に合格する必要があります。

特定技能外国人を受け入れる企業は、該当する特定技能外国人本人が上記2つの試験を合格しているかを確認しなければなりません。

特定技能の転職の手続きや必要書類

特定技能の転職の手続きや必要書類

ここからは、特定技能外国人の転職の流れを説明いたします。手続きは、「旧受入れ企業」「新受入れ企業」「特定技能外国人本人」のそれぞれが行います。

旧受入れ企業の手続きや必要書類

「旧受入れ企業」では、特定技能外国人の退職にあたって以下の手続きが必要になります。

①外国人雇用状況の届出

外国人雇用状況の届出は、雇用保険の適用を受けている事業所を管轄しているハローワークまたはオンラインで提出します。外国人が離職の場合、離職の翌日から起算して10日以内に提出しなければならないため、注意が必要です。

参考:「外国人雇用状況の届出」について |厚生労働省

②特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出

特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出は、特定技能外国人を受け入れることが困難になった際に届け出るものです。提出期限は退職後14日で、退職日が確定した時点で提出するとスムーズに進みます。

参考:特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出 | 出入国在留管理庁

③特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出

特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出は、特定技能外国人との雇用契約に変更があった際に届け出るものです。離職の場合も含め、雇用契約が終了となるので提出する必要があります。提出期限は退職後14日です。

参考:特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出 | 出入国在留管理庁

④雇用保険や社会保険の解約など

雇用保険や社会保険の解約などの手続きは、特定技能外国人の場合にも日本人の従業員が退職する場合と同様に解約処理を行います。

⑤特定技能所属機関による支援計画変更に係る届出

特定技能外国人を受け入れをする企業は、支援計画の提出が必要です。特定技能外国人が転職することで、支援計画が変更となるため、特定技能所属機関による支援計画変更に係る届出を行います。

新受入れ企業の手続きや必要書類

新たに特定技能外国人を雇用する「新受入れ企業」は、「特定技能雇用契約書」「特定技能外国人支援計画書」「健康保険や厚生年金保険料等の納付証明書」「役員の住民票」などの書類の準備が必要です。

このうち、所属機関に係る提出書類では、受け入れる企業に特定技能外国人の母国語での支援体制があるか、過去に行方不明者を出していないかなど、受け入れるための体制が整っているかの審査が行われます。

母国語の支援体制については、登録支援機関に対応してもらうことも可能です。この場合は、「登録支援機関との支援委託契約に関する説明書」が必要書類に加わります。

また、外国人本人が在留資格変更許可申請を提出する際に必要な書類も準備しなくてはなりません。

併せて、ハローワークに「外国人雇用状況の届出」を提出する必要があります。こちらの提出期限は、雇入れの場合翌月10日までです。

特定技能外国人本人の手続きや必要書類

特定技能外国人本人は、在留資格変更許可申請を行う必要があります。必要書類は、「申請人に関する提出書類」「所属機関に関する提出書類」「分野に関する提出書類」です。

申請人に関する提出書類は、特定技能外国人本人の書類です。「在留資格変更許可申請書」「健康診断個人票」「特定技能雇用契約書の写し」などがあり、場合によっては「住民税の課税証明書・納税証明書」「源泉徴収票の写し」「国民健康保険被保険者証の写し」「国民年金保険料領収証書の写し」などが必要になります。

所属機関に関する提出書類は、新受入れ企業に準備してもらわなければなりません。「登記事項証明書」「役員の住民票の写し」などがありますが、条件によっては省略できるものもあります。

分野に関する提出書類は、「技能試験の合格証明書」や「誓約書」です。また、分野ごとに実習を修了した証明書の提出が求められる場合があります。詳しい必要書類や要件は、出入国在留管理庁のホームページで確認できます。

参考:出入国在留管理庁 在留資格「特定技能」 | 出入国在留管理庁

特定技能の転職期間はどのくらい?

在留資格変更許可申請は、審査が通るのに概ね1〜2ヶ月かかります。申請の前には必要書類の準備が必要になるため、余裕を持った期限設定で申請を行うことが重要です。

先ほども説明した通り、在留資格変更許可申請の許可が出るまではアルバイトができず、一時的に収入がなくなってしまう場合があり注意が必要です。

企業は特定技能外国人の転職を防ぐことが大切

企業は特定技能外国人の転職を防ぐことが大切

特定技能外国人が転職する場合、企業は多くの手続きをしなければなりません。その手続きにかかる時間やコストを抑えるためには、一度雇用した特定技能外国人の転職を防ぐことが大切です。

ここでは、特定技能外国人の転職を防ぐポイントを説明いたします。

事前ガイダンスやオリエンテーションを徹底的に行う

事前のガイダンスや業務・生活に関するオリエンテーションは、特定技能外国人の支援の1つとして求められています。これらを丁寧に行うことで、業務内容や雇用条件に納得してもらうことができ、雇用した後のミスマッチを防ぐことができます。

特定技能外国人の母国語で説明したり、マニュアルに翻訳をつけたりすると、業務内容などの理解がスムーズになります。

正当な評価と待遇を行う

特定技能外国人は、日本人従業員と比較して給与面や待遇面で不当に扱われていると感じた時、不満を抱いてしまいます。それが転職の原因となってしまう可能性があります。特定技能外国人にも、正当な待遇を行うことが重要です。また、給与や昇進に係る評価基準はしっかりと伝えておきましょう。

受け入れ体制や教育体制を整える

特定技能外国人の受け入れ体制や教育体制を整えましょう。外国人は日本での仕事や生活面で不安を感じてしまいがちです。

特定技能外国人の母国語を話せ、その国の文化や宗教に理解がある従業員がいると、日々の業務や生活の不安を解消できます。自社での受け入れ体制に不安がある場合には、登録支援機関に委託してサポートしてもらうという選択肢もあります。

まとめ

特定技能外国人は日本国内で転職することが可能です。しかし、転職には「旧受入れ企業」「新受入れ企業」「特定技能外国人本人」のそれぞれに必要な要件といくつかの手続きがあります。旧受入れ企業にとっては特定技能外国人の転職は大きな痛手になるでしょう。

そのため、特定技能外国人を受け入れする企業は、受け入れ体勢を整え、しっかりサポートし、転職を防ぐことが大切です。可能な限り特定技能外国人の母国語でサポートし、安心して働ける環境を構築しましょう。

これから特定技能外国人を受け入れようと検討している製造業の企業さまは、キャリアリンクファクトリーにご相談いただけますと幸いです。

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