【企業向け】派遣社員がすぐ辞める5つの理由と定着率を上げる方法

改善・向上
公開日:23.07.24/更新日26.09.15
【企業向け】派遣社員がすぐ辞める5つの理由と定着率を上げる方法

「教えても辞めるなら、教えたくない」——派遣社員が半年で辞めた工場で、ベテランの方から実際に出た言葉です。早期離職は教育コストが無駄になるだけでなく、現場のモチベーションまで削っていきます。

派遣社員がすぐ辞める主な理由は、収入面の不満、人間関係のトラブル、業務内容のミスマッチ、契約外の業務指示、スキル不足の5つです。いずれも受け入れ企業側の設計で改善できます。

ただ、その前に知っておいてほしいことがあります。「派遣社員はすぐ辞めるもの」という前提は、データ上は正しくありません。厚生労働省の調査では、これまで働いてきた派遣先が「1か所だけ」という方が45.2%、通算3年以上の方が6割を超えています。長く働く人が多数派です。

貴社で早期離職が続いているとすれば、「派遣だから」ではなく、職場側に原因があるかもしれません。この記事では、辞める5つの理由、厚労省の最新データ、定着率を上げる6つの具体策を整理します。

目次

5つの理由と6つの対策・早見表

すぐ辞める理由定着率を上げる方法
収入面で不満を感じている職場の人間関係や業務内容の改善
人間関係のトラブルが起きている待遇面の改善
業務内容がミスマッチしているミスマッチの抑制
契約外の業務指示がある適性に応じた業務の付与
本人のスキル不足による居心地の悪さ募集要件を詳細に記載する
働きやすい環境づくり
  • この記事の要点
  • 「派遣はすぐ辞める」は思い込み。派遣先が1か所だけの人が45.2%、通算3年以上が6割超
  • 賃金に「満足していない」は38.0%。理由の1位は「同じ業務の他の派遣社員より賃金が低い」24.6%
  • 派遣社員の平均時給は1,510円(平成29年は1,366円)
  • 通勤手当の支給は84.4%(平成29年は51.0%)。手当がない企業は今や少数派
  • 賞与がある職場は31.9%、昇給がある職場は28.2%に留まる
  • 派遣元から派遣料金の値上げ要望があった企業のうち、91.4%が実際に値上げに応じている

派遣社員がすぐ辞める5つの理由

早期離職は、生産性の低下と採用コストの増加を招きます。原因を特定すれば手は打てます。順に見ていきます。

① 収入面で不満を感じている

離職理由として多いのが、給与や手当への不満です。正社員と同じ業務をしていても賃金に差があったり、昇給や賞与がなかったりすれば、モチベーションは下がります。

ただし「安いから辞める」という話ではありません。後述する厚労省のデータでは、不満の理由の1位は「絶対額が安い」ではなく「同じ業務をしている他の派遣社員より低い」でした。交通費や残業代の支給条件も、事前に明確にしておく必要があります。

② 人間関係のトラブルが起きている

「派遣さん」という呼び方をしていませんか。名前で呼ばれない、休憩室で輪に入れない、質問しても後回しにされる——小さな断絶の積み重ねが、離職の引き金になります。

派遣社員は「いつか去る人」と見なされがちで、それが実際に去る理由を作るという皮肉な構造があります。距離を置くから辞めるのであって、辞めるから距離を置くのではありません。

③ 業務内容がミスマッチしている

「軽作業と聞いていたのに重量物を運ぶ」「未経験可のはずが即戦力を求められた」——募集時の情報と実態の乖離です。

厚労省の調査では、企業が派遣社員を就業させる理由の1位は「欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため」76.5%。急いで埋めたい動機が強いぶん、要件の擦り合わせが甘くなりやすい構造があります。

④ 契約外の業務指示がある

これは法令違反です。労働者派遣契約に定めのない業務を指示することはできません。

「人が足りないから、今日はこっちのラインに入って」「ついでにこれもお願い」——現場では悪気なく起きますが、派遣社員から見れば契約違反であり、派遣元への苦情に直結します。苦情が入れば、派遣元は契約自体を見直します。製造業のラインでは特に起きやすい項目です。

⑤ 本人のスキル不足による居心地の悪さ

本人が「ついていけない」と感じて辞めるケースは、意外に見落とされています。周囲に迷惑をかけている自覚、質問しづらい空気、教育の属人化——これらが重なると、本人から静かに離脱します。

厚労省の調査では、派遣社員が技術・技能を習得した方法の1位は「派遣先で就業中の技能蓄積」48.4%、2位が「派遣先の教育訓練」31.9%。技能習得の主戦場は貴社の現場です。

【最新データ】派遣社員は何に不満を持っているか

厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査」(調査期日:令和4年10月1日/公表:令和5年11月24日/有効回答7,119人)の実データで見ていきます。推測ではなく、現時点で入手できる最新の全国調査です。

賃金に「満足していない」は38.0%

賃金への評価割合
満足している41.1%
満足していない38.0%
どちらとも言えない19.6%

満足と不満がほぼ拮抗しています。4割は満足しているということでもあります。

不満の理由の1位は「他の派遣社員より低い」

賃金に満足していない派遣社員に、その理由を聞いた結果です。

満足していない理由割合
派遣先で同一の業務を行う他の派遣労働者より賃金が低いから24.6%
業務量に見合った賃金でないから21.4%
派遣先で同一の業務を行う直接雇用されている労働者よりも賃金が低いから18.4%
その他16.0%
自分の能力や職務内容に見合った賃金ではないから13.1%

1位は「正社員より低い」ではなく「同じ業務の他の派遣社員より低い」です。不満の源泉は絶対額ではなく、隣の人との比較にあります。同じラインで同じ作業をしている派遣社員の間に時給差があれば、それは必ず伝わり、辞める理由になります。

複数の派遣会社から受け入れている企業は、会社ごとに時給がバラついていないかを一度確認してください。派遣料金は派遣会社ごとに異なりますが、現場で並んで働く人の手取りに差が出れば、それが離職要因になります。

男女差もあります。「他の派遣労働者より低いから」を挙げた割合は男性33.3%に対し女性13.1%。製造現場の男性比率が高い職場ほど、この要因は効きます。

平均時給は1,510円まで上がっている

項目令和4年平成29年
平均賃金(時間給換算)1,510円1,366円
男性1,648円―
女性1,400円―
登録型1,364円―
登録型以外1,650円―

5年間で144円上昇しています。賃金階級の中心層は「1,250〜1,500円未満」27.8%、「1,000〜1,250円未満」27.1%、「1,500〜1,750円未満」22.0%です。

※本調査は令和4年10月時点です。その後の最低賃金の引き上げを踏まえると、現在の水準はこれより高いと考えるのが自然です。

通勤手当84.4%・賞与31.9%・昇給28.2%

2020年4月の同一労働同一賃金(派遣)の施行後、待遇は明確に変わりました。

手当・制度令和4年平成29年
通勤手当の支給がある84.4%51.0%
賞与・一時金の支給がある31.9%19.6%
昇給が実施されている28.2%―

通勤手当は51.0%から84.4%へ大きく変わりました。支給しない企業は少数派になっており、手当がないこと自体が比較されて離職要因になる水準です。一方、賞与がある職場は31.9%、昇給がある職場は28.2%。7割の職場には賞与も昇給もありません。裏返せば、導入した時点で差をつけられます。長く来てほしい人材がいるなら、検討する価値があります。

補足:「派遣はすぐ辞める」は思い込みかもしれない

同じ調査に、こういうデータがあります。

項目割合
これまで働いてきた派遣先が1か所だけ45.2%
2か所23.8%
派遣で働いてきた通算期間が3年以上6割以上
派遣労働者の平均年齢44.3歳

約7割が派遣先2か所以下で、通算3年以上が6割超、平均年齢は44.3歳。腰を据えて働いている方が多数派です。「派遣はすぐ辞めるものだ」という前提で受け入れると、教育を惜しみ、関係構築を後回しにし、結果として本当に辞められます。辞められる職場のほうが、データ上は例外です。

派遣社員の定着率を上げる6つの方法

5つの理由を裏返せば、打つべき手は見えてきます。優先順位があります。入社後の努力より、入社前の設計のほうが効きます。

① 職場の人間関係や業務内容の改善

まず「派遣さん」という呼び方をやめて、名前で呼んでください。コストゼロで、今日からできて、効果があります。そのうえで、指揮命令者を明確にし、質問できる相手を決めてください。教育が属人化していると、教える人が休んだ日に本人が孤立します。

② 待遇面の改善

通勤手当の支給は84.4%が標準です。未支給なら最優先で見直してください。同じ現場で並んで働く派遣社員の間に時給差がないかも確認してください。不満の理由1位がここです。複数の派遣会社を使っている場合は特に注意が必要です。賞与・昇給は少数派なので、導入すれば明確な差別化になります。

③ ミスマッチの抑制

最も効果が高い施策です。入る前に防げるものを、入った後に修復するのは何倍も大変です。業務内容、作業環境(立ち仕事か、重量物の有無、温度、におい)、シフト、必要なスキルレベル——これらを事前に正確に伝えてください。良く見せようとして曖昧にすると、初日で「聞いていた話と違う」となります。弊社では、ミスマッチ防止のため事前の職場見学や面談を重視しています。手間はかかりますが、辞められるコストより安く済みます。

④ 適性に応じた業務の付与

全員に同じ作業を割り振るのではなく、向き不向きを見て配置してください。細かい検査が得意な人、体力仕事が得意な人、段取りが得意な人——2〜3か月見れば分かります。適性に合った配置は、本人の「ついていけない」という状態(理由⑤)を直接解消します。

⑤ 募集要件を詳細に記載する

③と表裏一体ですが、求人票の書き方だけで定着率は変わります。「軽作業」ではなく「最大5kgの部品をラインに供給する作業」。「未経験可」ではなく「未経験可・3日間のOJTあり・先輩が横につきます」。具体的に書けば応募は減りますが、残った応募者は辞めません。応募数を最大化する求人票と、定着率を最大化する求人票は別物です。

⑥ 働きやすい環境づくり

休憩室、更衣室、ロッカー、空調——基本的なところです。厚労省の調査では、派遣元から情報提供を求められた項目の1位が「福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)」46.1%でした。派遣会社も、そこを見ています。あわせて、教育訓練を実施している事業所は69.7%(平成29年は59.0%)、方法の1位はOJTで85.1%です。教育しない企業は3割の少数派になりつつあります。

【製造業向け】工場で派遣が辞める理由は少し違う

一般論だけでは足りません。製造業には、この業種ならではの構造があります。

製造業は派遣受け入れが全産業で最多

厚労省の調査によると、派遣労働者が就業している事業所の割合は全体で12.3%ですが、製造業は23.6%と全16産業で最も高い水準です。全労働者数に対する派遣労働者の割合も、製造業は7.8%(全産業平均4.0%)。派遣の受け入れが最も進んでいる業種である分、離職の絶対数も多くなります。

工場の現場で起きている3つのこと

弊社が支援している製造現場で繰り返し見るパターンがあります。

教育の属人化です。「あの人に聞けば分かる」で回っている現場では、その人が休んだ日に新人が止まります。手順書がない、あっても文字だけで写真がない——外国人材でも日本人でも、これは同じです。

ライン配置のミスマッチです。「人が足りないから、とりあえずここ」で配置すると、適性を無視した割り当てになります。ラインの都合で日替わりに動かすと、④の契約外業務指示に踏み込む危険もあります。

ベテランとの断絶です。「どうせすぐ辞める」という前提で教えないベテランと、教えてもらえないから辞める派遣社員。この流れを断つには、会社側が「この人は長くいる」というメッセージを出すしかありません。

「教えても辞める」の悪循環を断つ

冒頭のベテランの言葉——「教えても辞めるなら、教えたくない」——は感情論ではなく、合理的な反応です。精神論では変わりません。

変えるには順序があります。まずミスマッチを潰して定着する人を採る(方法③⑤)。次にその人が定着した実績を現場に見せる。そこで初めてベテランが教える気になる。いきなり「ちゃんと教えてください」と現場に言っても動きません。会社が先に、辞めない採用をする必要があります。

定着率向上には派遣会社の選定も重要

早期離職は、受け入れ企業だけの問題ではありません。派遣会社側に原因があるケースも少なくないため、派遣会社の選び方も定着率に直結します。

適切なスキルマッチングとキャリアサポート

「とりあえず人を出す」派遣会社と、「合わない人は出さない」派遣会社があります。前者は人が早く埋まりますが、辞められます。弊社は、人材需要を確認したうえで1次選考したスタッフをご案内し、「オンライン面談」もしくは「現地での事前面談」を経てから手続きを開始します。着任までは時間がかかります。そこはあらかじめお伝えしています。

適切な労働条件の提供

厚労省の調査によると、派遣元から派遣料金に関する値上げ要望があった事業所は38.0%。そして要望があった事業所のうち、91.4%が実際に値上げに応じています。待遇改善は「できない」ものではなく、9割の企業が現に実行しています。値上げ要望を一切してこない派遣会社は、派遣社員の待遇を守れていない可能性もあります。

サポート体制とコミュニケーション

定期的に派遣社員と面談し、不満を早期に拾うこと。現場と派遣会社が情報を共有すること。トラブル時に連絡がつくこと。当たり前に見えますが、できていない派遣会社は珍しくありません。担当者が現場に来なければ、離職の予兆は拾えません。

教育コストが無駄になり、現場のベテランが疲弊し、また募集する——この循環を止めるには、着任前の設計が要ります。"工場・製造業の人材派遣会社"として全国540社以上の実績を積んできたキャリアリンクファクトリーが、貴社の現場に合う人材を、ご案内します。

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派遣社員の定着に関するよくある質問

Q1. 派遣社員がすぐ辞める理由は何ですか?

A. 収入面の不満、人間関係のトラブル、業務内容のミスマッチ、契約外の業務指示、本人のスキル不足による居心地の悪さの5つが主なものです。いずれも受け入れ企業側の設計で改善できます。

Q2. 派遣社員の定着率を上げるには何が一番効きますか?

A. 募集要件の明確化とミスマッチの抑制です。入社後の努力より、入社前の設計のほうが効果があります。求人票を具体的に書けば応募数は減りますが、残った応募者は辞めにくくなります。

Q3. 派遣社員に賞与や昇給は必要ですか?

A. 義務ではありません。ただし厚労省の調査では賞与がある職場は31.9%、昇給がある職場は28.2%。少数派だからこそ差別化になります。なお通勤手当は84.4%が支給しており、未支給は少数派です。

Q4. 忙しいとき、契約外の業務を頼んでもいいですか?

A. できません。労働者派遣契約に定めのない業務の指示は法令違反です。悪気なく起きやすい項目ですが、派遣元への苦情や契約見直しに直結します。

Q5. 派遣会社によって定着率は変わりますか?

A. 変わります。マッチング精度、事前面談の有無、担当者が現場に来るかどうかで、離職の予兆を拾えるかが決まります。

まとめ

派遣社員がすぐ辞める理由は、収入面の不満、人間関係、業務ミスマッチ、契約外の業務指示、スキル不足の5つです。対策は6つありますが、最も効くのは入社前のミスマッチ抑制です。

厚生労働省「令和4年派遣労働者実態調査」から、実務に直結する点を3つ確認しておきます。

賃金に満足していないのは38.0%で、その理由の1位は「正社員より低い」ではなく「同じ業務の他の派遣社員より低い」24.6%。不満は絶対額ではなく、隣の人との比較から生まれます。

通勤手当の支給は84.4%(平成29年は51.0%)。同一労働同一賃金の施行で標準が変わりました。未支給の企業は、それ自体が離職要因になっています。

そして最も重要なのが、「派遣はすぐ辞める」というのは思い込みだということです。派遣先が1か所だけの方が45.2%、通算3年以上が6割超、平均年齢44.3歳。貴社で早期離職が続いているなら、それは「派遣だから」ではありません。辞められる職場のほうが、データ上は例外です。原因は特定できますし、手も打てます。

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