日本で働く中国人が多い理由と雇用する企業の3つのメリットを紹介
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厚生労働省発表の「外国人雇用状況」の届出状況まとめによると、日本で働く中国人労働者は408,805人(令和6年10月末時点)となっています。
中国人労働者数は外国人労働者の17.8%を占めており、ベトナム人(570.708人、24.8%)に次いで2番目に高い割合です。少子高齢化の影響で日本人労働者が減少傾向にある中、多くの中国人労働者が日本で働き、日本人の労働力不足を補っています。
参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末現在)|厚生労働省
また、中国人の雇用や派遣を検討している企業も多いかと考えられます。この記事では、中国人労働者が日本で働く理由や雇用する企業のメリット、在留資格や雇用方法を紹介いたします。
- 記事の要約
- 日本で働く中国人労働者=408,805人(令和6年10月末)、外国人労働者全体の17.8%を占め、ベトナムに次ぐ2位
- 中国の人口=約14億人、世界第2位の人口大国、日本の約14倍
- 日本人労働力人口=20年間で173万人減少、特に15〜34歳が476万人減少
- 中国人の在留資格内訳=専門的・技術的分野39.9%、身分に基づく資格34.2%、資格外活動16.6%
- 中国人雇用の背景=中国国内の地域格差、学歴格差、長時間労働(996勤務)による海外就労志向
- 日本で働く理由=治安の良さ、衛生的な生活環境、日本との地理的・文化的近さ、給与水準の高さ
- 雇用メリット=①若者労働力の確保、②優れた能力を持つ人材の確保、③中国企業や顧客との関係強化
- 雇用方法=特定技能・人材紹介・求人媒体・インターンシップなど多様な手段
- 届出義務=外国人雇用状況届出が必須、違反時は30万円以下の罰金や事業主名公表のリスク
目次
中国人雇用の基本情報

中国とはどの様な国なのでしょうか。基本情報やその特徴を改めて見ていきましょう。
中国の面積と位置
中国の面積は約960万平方キロメートルです。その広さは日本の約26倍で、世界4位の大きさとなります。日本からの距離は、韓国・ロシア・北朝鮮に次ぐ4番目に近い国です。中国の首都・北京までの距離は約2,098km、平均フライト時間は約4時間と比較的短時間で行き来が可能です。
中国の人口と民族
中国の人口は約14億人となります。これは、日本の人口の約14倍です。近年インドに抜かれておりますが、世界で2番目に人口が多い国です。中国人のほとんどは漢民族で総人口の約92%が占めており、残り約8%に大凡55の少数民族が存在するとされております。
中国人の言語
中国人の公用語は中国語です。中国語は漢字を使用しているため、中国人にとって日本語は学習しやすい用語の1つです。また、小中学年から英語の授業がされており、比較的英語を喋れる人が多い傾向です。しかし、地域によって学習レベルが異なっており、英語がわからない中国人も多数存在します。
中国の経済状況
中国は近年、驚異的な経済成長を遂げており、日本を抜いて世界第2位のGDP(国内総生産)を誇る経済大国となりました。製造業、技術、農業など多岐にわたる産業が発展しており、多くの国際企業も中国市場に進出し、経済のグローバル化が進行しています。
中国人が仕事で重要視していること
中国人労働者を受け入れる際には、彼らがどのような価値観や働き方を大切にしているのかを理解することが、職場での良好な関係構築につながります。ここでは、中国人が仕事において特に重視しているポイントを4つ紹介します。
プライベート優先
中国では、仕事だけでなく家庭や友人との時間も非常に大切にする傾向があります。残業よりも定時退社を好み、家族との食事や趣味の時間を優先することも珍しくありません。ワークライフバランスを重視する環境づくりは、中国人スタッフの定着にもつながります。
結果にこだわる
中国の競争社会で育った人は、プロセスよりも成果や結果を重視する傾向があります。評価されるためには明確な成果を出すことが重要だと考えているため、数字や実績で評価できる目標設定を行うと、モチベーションアップにつながります。
上司や先輩ともフラットな関係
中国では、年齢や社歴よりも能力や成果が評価される傾向が強く、上司や先輩ともフラットな関係を築きやすい文化があります。必要以上に上下関係を意識せず、意見交換がしやすい職場環境を整えることで、より活発なコミュニケーションが生まれます。
自分の能力を売るという気持ち
中国人は「自分の能力を市場に売っている」という意識が強く、自分のスキルや経験を活かせる職場を好みます。そのため、スキルアップの機会や能力を発揮できる業務を用意することで、長期的な活躍を促すことができます。
日本で中国人の雇用が多い理由

著しい経済発展を遂げる中国ですが、何故多くの中国人が日本で働いているのでしょうか。その理由と背景を紹介いたします。
中国の就職事情による理由
中国人観光客の「爆買い」から、お金持ちの国という印象を持つ方も多いかもしれません。
しかし実際には、中国国内では都市部と農村部の間で大きな格差があり、この構造は就職や進学のチャンスにも大きく影響しています。
中国では人口統制を背景に、行政上「農村部出身者」と「都市部出身者」に戸籍が分けられています。この戸籍制度は大学進学や就職を決めるうえで非常に高い壁となっており、大学は各地域からの入学枠を設定しているため、北京や上海などランクの高い都市部出身者に比べ、農村部出身者は何十倍もの倍率の中で競争しなければなりません。
生まれた地域と戸籍によって進学や就職の選択肢が大きく制限される現状は、地域差別として今も根強く残っています。
さらに、就職後の給与にも大きな格差があります。中国の大卒就職率は2018年時点で91.5%と高水準ですが、その裏では厳しい就活戦争が繰り広げられています。たとえば、ある地方の大手企業では二流大学卒の新入社員の月給が約4,000元(日本円で約64,000円)と、最低賃金以下であり、北京の平均給与の半分にも満たない水準です。それでも面接希望者は後を絶ちません。
また、同じ企業に入社しても、出身大学によって給与が異なるのも一般的です。例えば、一流大学出身者が月給10,000元であっても、二流大学出身者は月給8,000元と差がつくことがあります。
このように、優秀であっても出身地や学歴によって進学・就職が制限され、希望の給与を得られにくい現状から、意欲的な学生は海外留学や起業に活路を見出すケースが増えているのです。
中国は長時間労働の企業が多い
中国は長時間労働が常態化している企業が多く、労働者を悩ませる問題の1つとなっています。IT産業や新興企業などの成長産業では、「996」勤務が浸透しているのです。
「996」勤務とは、朝9時から夜9時まで週6日働くことを示します。ワークライフバランスを重視する企業においても、朝8時から夜8時まで週5日働く「885」勤務が常習化しております。長時間労働の慢性化は過労死や健康問題の原因にもなり、ワークライフバランスを重視する傾向にある若い世代の労働者から敬遠されつつあるのです。
多くの中国人が日本で働く理由
中国で不遇の立場にある労働者は、海外に居住し働く動きがあります。
中でも日本は、中国の隣国として古くから交流があり、文化や言語の共通点も多い国です。地理的にも近く、場所によっては日帰りで行き来できる利便性があります。
また、日本は治安が良く、衛生的な国であり、中国人にとって生活しやすい環境です。賃金においても、一部のエリート層を除くと日本企業で働いた方が良い場合があります。
この様な背景から、多くの中国人が労働者として来日しているのです。
中国人を雇用する日本企業の3つのメリット

多くの中国人が日本で働く背景には、受け入れ側である日本企業の明確なニーズが存在します。中国人を雇用する日本企業のメリットを紹介いたします。
日本の労働力不足を補う若者の労働力を確保できる
少子高齢化の影響で、日本人の労働力は年々減少傾向です。総務省統計局の労働力人口によると、2003年から2023年の20年間で、日本人の労働力人口は173万人も減少しております。
特に15~34歳は476万人減少と深刻な状態です。日本人の平均年齢は約49歳と世界で2番目に高齢化が進んだ国となっております。
一方、中国人の人口は約14億人、世界第2位の人口を誇る人口大国です。中国の平均年齢は38歳で、1979年に施行された一人っ子政策の影響から2022年には約60年ぶりに人口が減少したものの、日本人とは比べものにならないほど多くの若い労働者が存在します。若者の労働力不足に悩む日本企業にとって、中国人の雇用は非常に魅力的なのです。
優れた能力を持つ人材を確保できる
中国では激しい受験戦争が起きており、優れた能力・知識を持つ人が多く存在します。しかしながら、望まれるホワイトカラー企業への就職は狭き門となっており、希望する仕事に就業できない人も多い実態です。
待遇の良い企業に就業するため海外で就業する中国人も多く、特に地理的にも近くて生活しやすい日本は人気があります。中国人の雇用を進めることで、優れた能力を持つ人材の確保が期待できるのです。
中国企業や中国人顧客との取引を強化できる
中国の経済力・人口・面積は世界トップクラスです。隣国である日本企業の多くは、中国企業との取引や顧客を抱えている状況です。
中国と密接な関係がある中、中国語を話せるのはもちろんのこと、文化や習慣を知っている中国人を雇用することで、中国企業との関係性構築や集客など様々なメリットももたらします。
また、中国は「世界の工場」と表現されるように、世界各国の企業が製造拠点を中国に設けています。今後、中国に自社の製造拠点を設ける場合、雇用している中国人が大きな戦力になるのです。
中国人を含む外国人を日本で雇用する場合の在留資格

中国人を含む外国人を日本で雇用する場合、まずは在留資格の取得が必要です。厚生労働省の外国人雇用状況によると、日本で働く中国人が取得している在留資格は、「専門的・技術的分野の在留資格」が約40%、「身分に基づく在留資格」が約34%、「資格外活動」が約16%となり、全体の約9割を占めております。
在日中国人のほとんどが上位3つのいずれかの在留資格を取得しているのです。
以下の表は「日本で働く中国人(香港、マカオを含む)の在留資格別外国人労働者数」を表しています。
| 在留資格 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 専門的・技術的分野の在留資格 | 163,512 | 39.99% |
| 身分に基づく在留資格 | 139,656 | 34.16% |
| 資格外活動 | 67,751 | 16.57% |
| 技能実習 | 33,123 | 8.10% |
| 特定活動 | 4,761 | 1.16% |
| 不明 | 2 | 0.0004% |
| 全在留資格計 | 408,805 | 100.00% |
参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末現在)|厚生労働省
在留資格にはそれぞれ特徴があり、自社のニーズに合った在留資格を取得する中国人を雇用する必要があります。上位3つの在留資格の特徴を紹介いたします。
専門的・技術的分野の在留資格の特徴
専門的・技術的分野の在留資格には、「特定技能」や「教授」、「医療」、「教育」などの高度人材が含まれます。「特定技能」以外の在留資格は、グローバル化や技術の向上などを在留目的としており、単純労働は認められていません。
人手不足の解消を目的に中国人を雇用したい場合には、「特定技能」の在留資格がおすすめです。
特定技能とは、国内人材の確保が困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的に創設された在留資格です。単純労働に該当する作業も就業可能です。
特定技能を取得するには、技能評価試験や日本語能力試験を合格する必要があり、特定技能外国人は技能や日本語のレベルが一定以上であるため、企業からのニーズが年々高まっております。
特定技能の資格を持つ中国人の雇用は、日本国内と現地(中国)で行えますが、専門的な知識やノウハウが必要です。自社で雇用を進めることが難しい場合には、人材紹介会社に依頼することで、人材の紹介や雇用に関する適切なアドバイスを受けることが期待できます。
キャリアリンクファクトリーでは、特定技能の資格を持つ中国人の派遣も可能です。はじめてでも徹底的にサポートいたしますので、ご安心ください。派遣のご依頼・ご相談はお問い合わせフォームからお問い合わせ下さい
身分に基づく在留資格
身分に基づく在留資格には「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」の在留資格が含まれます。就労活動に制限がない在留資格として扱われ、就労の制限がありません。
日本人と同様に様々な仕事に就くことができ、単純作業労働の就業も可能です。在留資格の特性上、日本語が堪能で、日本の文化に馴染んだ外国人労働者が多い傾向にあります。
資格外活動
資格外活動とは、外国人が日本で許可された在留資格の範囲を超えて行う活動を指します。在留資格の範囲内で許可された活動以外の仕事を行う場合、事前に入国審査官からの許可を取る必要があります。
例えば、留学生がインターンシップやアルバイトなどの報酬を伴う活動を行うには、この許可が求められます。
中国人の大学生は、インターンシップに参加することで実務経験を積むことを重要視する傾向にあります。
新卒の就職市場は競争が激しくなっており、学生たちは卒業前に実務経験を積むことで、自分の市場価値を高めようとしているのです。
インターンシップを行っている学生の受け入れは、優秀な中国人留学生を日本の企業に引き込む貴重な手段です。
しかし、インターンシップ生を受け入れするには、大学とパートナーシップの構築や、申請書類の適切なサポート体制を整備するなど、ハードルが高いことも事実です。自社で対応が難しい場合には、外国人インターンシップ制度を導入している人材紹介会社に依頼するのがおすすめです。
キャリアリンクファクトリーでは、インターンシップも対応しております。提携大学・日本インターンシップ支援協会のサポートのもと最長1年間、作成したカリキュラムに沿って学生を受け入れる仕組みです。
自社の負担をかけずに、優秀な中国人インターン生の受け入れを考えている企業様は、ぜひお問い合わせフォームからお問い合わせください。
中国人の雇用方法
中国人材を採用する方法はいくつかありますが、ここでは企業が比較的取り組みやすく、効果的な3つの方法をご紹介します。自社の採用体制や人材要件に合わせて、最適な方法を選びましょう。
人材紹介サービスを利用する
外国人採用に特化した人材紹介会社を利用すると、希望条件に合った候補者を効率的に探すことができます。特に特定技能や専門的・技術的分野の在留資格を持つ人材の採用は、必要書類の準備や手続きが複雑になるため、経験豊富な紹介会社に依頼することでスムーズに進められます。
面接日程の調整や条件交渉、入社後のフォローまで任せられる場合もあり、初めて中国人材を雇用する企業にとって安心感があります。
中国人が使用する媒体に求人広告を掲載
中国人材を直接募集する場合は、中国国内や在日中国人がよく利用する求人サイトやSNSに求人情報を掲載するのが有効です。
たとえば「WeChat(微信)」や「Baidu Tieba(百度掲示板)」、中国語対応の求人サイトなどは多くの中国人が日常的に利用しています。こうした媒体に情報を出すことで、ターゲット層にダイレクトにアプローチできます。
ホームページなどで求人募集をかける
自社ホームページで中国語版の求人ページを用意し、直接応募できるフォームを設置する方法もあります。
採用したい人材像や仕事内容、待遇を明確に記載することで、応募者が安心してエントリーできます。また、採用情報を多言語対応させることで、日本語が得意でない人材にも情報が届きやすくなり、応募の間口を広げられます。
中国人をはじめとする外国人を雇用するときの届出について
日本で中国人を含む外国人を雇用する場合、企業は「外国人雇用状況の届出」を行う義務があります。これは、雇用対策法に基づき厚生労働省が定めている制度で、外国人の適正な就労と雇用管理のために行われています。
届出は、ハローワーク(公共職業安定所)を通じて行い、正社員・契約社員・パート・アルバイトなど雇用形態を問わず対象となります。新規に雇用した場合だけでなく、離職した場合も届け出る必要があります。
- 届出のタイミング
- 新たに外国人を雇用したとき
- 雇用していた外国人が退職・契約満了したとき
- 届出で必要となる主な情報
- 氏名・生年月日・性別
- 国籍・地域
- 在留資格および在留期間
- 雇用開始日または離職日
- 所属部署や職種 など
| 雇用保険の被保険者である外国人の場合 | 雇用保険の被保険者ではない外国人の場合 | |
|---|---|---|
| 共通の届出事項 | 1. 氏名、2. 在留資格、3. 在留期間、4. 生年月日、5. 性別、6. 国籍・地域 | |
| その他届出事項 | ・資格外活動許可の有無、雇い入れに係る事業所の名称および所在地・「雇用保険被保険者資格取得届」に記載が必要な事項 | ・離職に係る事業所の名称及び所在地など、喪失届に記載が必要な事項 |
| 届出期限 | 被保険者となった日にちから翌月の10日まで。 | |
届出を行わなかった場合
外国人雇用状況の届出は法的義務であり、違反した場合は事業主名の公表や30万円以下の罰金が科されることがあります。
また、届出を怠ると在留資格の確認漏れなどにつながり、不法就労助長罪に問われる可能性もあります。
届出とあわせて確認すべきこと
外国人を雇用する際は、必ず在留カードやパスポートで在留資格と在留期間を確認し、その資格で従事できる業務かどうかを判断する必要があります。
資格外の業務を行わせてしまうと企業側にも法的責任が発生するため、採用前の確認が重要です。
まとめ
中国人の雇用は、若者の労働力を確保し人手不足の解消を期待できるだけでなく、優れた能力を持つ人材の確保や中国との関係を強化できる有効的な手段です。
在留資格別に中国人の雇用方法を紹介いたしましたが、自社での対応が難しい場合には中国人の雇用に特化した人材紹介会社や派遣会社への相談が効果的です。受け入れニーズに応じての提案を受けられるほか、外注化することで採用や雇用に関する自社の負担を削減できるからです。
キャリアリンクファクトリーでは、特定技能やインターンシップなどのサービスを提供しております。人材不足で中国人スタッフの受け入れをご検討中の場合、まずはお気軽にご相談ください。




