技能実習生の受け入れ方法と費用をわかりやすく解説

公開日:25.08.12/更新日25.08.12
技能実習生の受け入れ方法と費用をわかりやすく解説

「人手が足りない。でも、なかなか日本人が来てくれない」

そんな悩みを抱える企業が、外国人材の活用を検討し始める際に最初に候補に挙がるのが「技能実習生」の受け入れです。

しかし、制度の仕組みはやや複雑で、監理団体や送り出し機関との連携、ビザ申請、受け入れ後の費用やサポート体制まで、考えるべきことは多岐にわたります。

「結局、どれくらい費用がかかるの?」「うちの会社に向いているのはどの方式?」と、不安や疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。

この記事では、技能実習生を受け入れる方法や流れ、必要な費用の内訳、導入時に注意すべきポイントをわかりやすく解説します。

さらに、即戦力人材を確保したい企業の選択肢として注目されている「特定技能」についても紹介。

制度の違いや目的を正しく理解し、自社にとって最適な人材活用の選択ができるよう、判断材料を提供します。

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目次

技能実習生の受け入れ方法

技能実習制度には、大きく分けて「団体監理型」と「企業単独型」の2つの受け入れ方式があります。

どちらを選ぶかによって、必要な準備や負担、対応できる企業の規模にも違いがあります。

まずは、それぞれの特徴と違いを理解しておきましょう。

団体監理型とは?特徴とメリット

団体監理型は、監理団体を通じて技能実習生を受け入れる、最も一般的な方式です。

中小企業を中心に、全国の企業の約9割以上がこの方式を選んでいます。

  • 【特徴】
  • 外国人技能実習機構(OTIT)に登録された監理団体と契約
  • 監理団体が送り出し機関との連携、手続き、定期訪問などを代行
  • 受け入れ企業は、実習環境の整備や教育を中心に対応

  • 【メリット】
  • 自社だけで複雑な手続きを行う必要がなく、初めての企業でも導入しやすい
  • 外国人材の選考、ビザ申請、講習などをワンストップで支援してもらえる
  • 入国後も定期的な訪問・報告などのフォローがあるため安心

企業単独型とは?どんな企業が選ぶ?

企業単独型は、受け入れ企業が直接、外国の送り出し機関と契約して技能実習生を受け入れる方式です。

自社で海外現地法人や取引先を持つ大企業・グローバル企業などが選ぶケースが多くなっています。

  • 【特徴】
  • 監理団体を通さず、自社が実習計画の作成・申請・管理などをすべて行う
  • 送り出し機関と直接連携して、独自の人材育成スキームを構築できる

  • 【メリット】
  • 自社に最適化された教育・育成が可能
  • 実習生と継続的な関係を築きやすく、将来的な採用や育成につなげやすい
  • 監理団体を通さない分、中間マージンなどのコストを抑えられる可能性も

どちらの方式を選ぶべきか?

比較項目団体監理型企業単独型
対象企業中小企業〜一般企業向け大企業・グローバル展開企業向け
手続き負担監理団体が代行(低負担)企業がすべて実施(高負担)
サポート体制手厚い企業が独自に構築
導入しやすさ◎ 初めてでも安心△ 専門知識・実績が必要
コスト感適正〜やや高め(代行費あり)カスタマイズ可能(手間は大)

多くの中小企業や初めて外国人材を受け入れる企業では、「団体監理型」の選択が現実的です。

一方、海外に拠点がある・長期的な人材育成計画があるといった企業には、「企業単独型」も選択肢になり得ます。

まずは自社の規模や受け入れの目的、社内体制を整理した上で、最適な方式を選ぶことが重要です。

技能実習生を受け入れる流れ

技能実習生の受け入れには、一定のステップを踏んだ準備と手続きが必要です。

ここでは、実際に受け入れが始まるまでの主な流れを5つのステップでご紹介します。

STEP1:監理団体を選ぶ

技能実習をスムーズに進めるためのパートナーが「監理団体」です。

監理団体は、制度に基づく手続きの支援や、送り出し機関との連携、ビザ申請、講習、受け入れ後のフォローなどを行います。

  • 【ポイント】
  • 厚生労働省または外国人技能実習機構(OTIT)に登録された団体から選ぶ
  • 対応国、紹介実績、サポート内容、費用体系などを比較検討する
  • できれば面談や見学を行い、信頼できる団体を選ぶことが重要

STEP2:送り出し機関と連携

監理団体を通じて、外国現地にある「送り出し機関」と連携し、受け入れ準備を進めます。

送り出し機関は、現地での人材募集・教育・ビザ申請支援などを担います。

  • 【ポイント】
  • 提携している送り出し機関の実績や教育体制を確認
  • 技能実習制度に関する講習・日本語教育・マナー教育の有無も重要
  • 国によって送り出し機関の質に差があるため、過去の実績やトラブルの有無も要チェック

STEP3:現地での面接・選考

送り出し機関が候補者を選定した後、企業側で現地またはオンラインで面接・選考を行います。

  • 【ポイント】
  • 日本語能力・性格・適性・勤労意欲を重視して選考
  • 実際の職場に近いシチュエーションを想定した質疑応答がおすすめ
  • 選考後、候補者に日本語学習や生活準備を進めてもらう

STEP4:ビザ申請と講習

実習候補者の決定後、必要書類を整えて在留資格(技能実習)の申請を行います。

入国までに、日本語教育・生活ルール・法律の知識などを学ぶ講習が義務付けられています。

  • 【ポイント】
  • 「在留資格認定証明書交付申請」を提出(審査に約1〜2ヶ月)
  • 認定証が交付された後に、ビザ申請・発給手続きへ
  • 入国前講習(約1ヶ月間)で、日本での生活やマナーも習得

STEP5:入国・配属・実習開始

ビザが発給されると、いよいよ技能実習生が来日します。

入国後は配属前講習(1ヶ月間)を経て、企業に配属され、実習がスタートします。

  • 【ポイント】
  • 初期は慣れない環境の中で不安も大きいため、生活面のサポート体制が重要
  • 寮の準備、生活用品の手配、日本語でのコミュニケーション支援を意識
  • 実習スタート後も監理団体が定期的に巡回・指導を行うため、問題があれば早めに共有を

技能実習生受け入れのメリットとリスク

技能実習制度は、一定期間の就労が可能な外国人材を受け入れられる仕組みとして、多くの企業で導入が進んでいます。

しかし、制度を正しく理解しないまま導入すると、期待とのギャップや思わぬトラブルを招く可能性もあります。

ここでは、技能実習生を受け入れる際の主なメリットとリスクを整理してお伝えします。

離職率の低さ/人手不足解消

技能実習制度の大きなメリットは、一定期間安定して働いてもらえることです。

実習生は原則として3年間、延長すれば最長5年間、同じ企業で実習を続ける仕組みになっており、日本人採用と比較しても離職率が低い傾向にあります。

また、送り出し国では20代を中心とした若年層が多く、現場での作業にも意欲的に取り組む人材が豊富です。特に、地方の製造業や介護・食品加工といった分野では慢性的な人手不足が続いており、技能実習制度はその補完的な役割を果たしています。

言語・文化面での課題

一方で、受け入れには乗り越えるべき課題もあります。

最も大きいのは、言葉の壁です。実習生は来日前に基礎的な日本語教育を受けていますが、現場での細かな指示や専門用語を理解するには時間がかかることがあります。

加えて、文化や生活習慣の違いから、社内でのコミュニケーションや業務の進め方に戸惑いが生じるケースも少なくありません。

こうしたギャップを埋めるには、翻訳ツールの活用やOJT担当者の指導力向上、生活面の支援体制など、企業側の準備と理解が求められます。

制度上の制限と注意点

さらに、制度そのものにも注意すべき制約があります。

技能実習は「人材育成」を目的とした制度であるため、即戦力としての活用には限界があります。転職(転籍)は原則として認められておらず、業務内容や配置変更にも制約があります。

また、労働条件や指導体制については、外国人技能実習機構(OTIT)による監査や報告義務が課されており、法令違反があれば制度利用の停止措置が取られる可能性もあります。

そのため、技能実習生を受け入れる際には、「安く使える労働力」と捉えるのではなく、あくまで育成と共生を前提とした制度であることを理解し、適切な管理とサポート体制を整えることが重要です。

即戦力を求めるなら特定技能の検討もおすすめ!

技能実習制度は「人材育成」を目的とした制度であるため、即戦力の確保や業務の柔軟な運用には向いていない面があります。

そこで近年、注目されているのが「特定技能制度」です。

これは2019年に新設された在留資格で、あらかじめ日本語や技能に関する試験に合格した外国人材を、労働者として雇用できる制度です。

慢性的な人手不足が深刻な業界を中心に、導入が急速に進んでいます。

特定技能は就労が目的|熟練・経験者が中心

特定技能1号の人材は、来日前に業種ごとの試験に合格しており、ある程度の業務経験や専門知識を持っています。

そのため、実習を通じて一から教える必要がある技能実習とは異なり、採用後すぐに現場の戦力として働いてもらえるのが大きな特徴です。

また、「人材育成」ではなく「就労」が制度の目的となっているため、企業としても戦力性や成果を重視した採用・育成が可能になります。

転籍可能で柔軟な人材確保ができる

技能実習と異なり、特定技能では転職(転籍)が認められています。

たとえば、業績の変化やシフト編成の都合で人員配置を変更したい場合でも、業界内での転籍が可能なため、より柔軟な人材活用が実現できます。

また、すでに日本国内に在留している外国人材を雇用することもできるため、現地面接や渡航手配といったプロセスが不要になるケースもあります。

こうした柔軟性は、スピーディな人材確保を求める企業にとって大きなメリットです。

「人が来ない現場」で選ばれている理由

現在、特定技能制度を導入しているのは、人手不足が特に深刻な16分野に限られていますが、それだけに「人が来ない現場」の受け皿として高い評価を受けています。

「日本人の採用が難しく、かといって技能実習制度では即戦力にできない」

そんな課題を抱える現場で、特定技能人材が実際に成果を上げている事例が増えています。

特定技能制度を導入することで、慢性的な人手不足からの脱却や、業務の安定化・効率化につながる可能性があります。

もし「いま必要なのは、実際にすぐ動ける人材だ」とお考えであれば、特定技能の導入をぜひご検討ください。

技能実習生の受け入れにかかる費用

技能実習生の受け入れには、さまざまなタイミングで費用が発生します。

「結局いくら必要なのか?」という不安を解消するためにも、事前にどのような費用がかかるのか、段階ごとに確認しておきましょう。

事前準備費(監理団体入会、現地面接など)

まず、技能実習を開始する前に監理団体への加入費や、現地での面接にかかる費用が発生します。

具体的には以下のような項目があります。

  • 監理団体への入会金・年間費用
  • 募集~選考サポート費(書類選考、WEB面接など)
  • 担当者の渡航費(現地面接を行う場合)

この段階で10万〜20万円程度の支出が発生することが一般的です。

入国前の費用(ビザ申請、保険、講習など)

採用が決定した後、実習生が入国するまでにも費用が発生します。

ビザ申請や健康診断、日本語教育、保険加入などが主な内容です。

  • 査証(ビザ)取得・書類手続き
  • 健康診断・予防接種
  • 渡航費(飛行機代)
  • 入国前講習(日本語や生活マナー等の研修)
  • 保険加入(損害保険・医療保険)

このタイミングでの費用は15万〜30万円程度が目安となります。

入国後の費用(研修、講習手当、生活費支援など)

実習生が来日した後、配属前に法定で定められた講習(1か月程度)を受ける必要があります。

その間の滞在費や講習費、講習手当の支払いなど、企業側にとっても初期対応が必要です。

  • 入国後の費用
  • 配属前講習費(法定講習)
  • 宿泊費・食費の一部補助
  • 講習期間中の手当支給(目安:約7万〜10万円/人)

受け入れ後の継続費用(月額管理費、帰国費積立 など)

実際の実習が始まってからも、毎月の費用負担が発生します。

  • 受け入れ後の継続費用
  • 管理費(監理団体へ支払う月額費用):2〜5万円程度/人
  • 技能検定費(定期的な試験や講習の費用)
  • 帰国費用の積立
  • 社宅や生活サポート費用(状況によっては家賃補助など)

受け入れ後も継続的なコストがかかるため、あらかじめ試算しておくことが重要です。

総費用の目安(例:51万~92万円)

受け入れ初年度に必要なトータルコストは、1人あたり約51万~92万円が一般的な相場です(監理団体や国籍、人数によって変動あり)。

これは、あくまで初年度の概算であり、実習が3年間続く場合はさらに継続費用が加算されます。

技能実習制度は初期費用が高く見えるかもしれませんが、長期間にわたって安定的に働いてもらえるという点で、人手不足に悩む企業にとっては十分なリターンが期待できる制度です。

ただし、費用だけで判断するのではなく、制度の目的やリスクも踏まえた上での導入判断が求められます。

受け入れ前に確認しておきたいチェックリスト

技能実習生の受け入れは、単に「人手を確保する」ことが目的ではなく、制度を正しく理解し、責任をもって支える体制を整える必要があります。

トラブルの未然防止や、受け入れ後の安定した実習環境づくりのためにも、以下のポイントを事前に確認しておきましょう。

自社に合った監理団体を選ぶには?

技能実習の受け入れには、「監理団体」と呼ばれる外部機関との連携が不可欠です。

監理団体は実習生のサポートだけでなく、企業への指導や監査も担います。選定時には以下のような視点で比較検討しましょう。

  • 比較検討項目
  • どの国の送り出し機関と提携しているか(希望国と合っているか)
  • 自社の業種での支援実績があるか
  • 通訳や相談窓口など、実習生サポート体制が充実しているか
  • 管理費や初期費用が明確に提示されているか

「安いから」「近いから」といった理由だけで選ばず、自社との相性や信頼性を重視して判断することが大切です。

外国人雇用の社内体制は整っているか?

外国人実習生を迎えるには、社内の受け入れ体制も整えておく必要があります。

現場レベルでの対応力が欠けていると、ミスや誤解が積み重なり、早期離職やトラブルにつながることもあります。

以下のような体制が整っているかをチェックしましょう。

  • 推奨の社内体制
  • 配属先の担当者が制度を理解しているか(説明会の実施など)
  • 指導員の配置が可能か(実習指導を行う責任者が必要)
  • 生活面の支援(住居手配、日用品準備など)ができるか
  • 社内ルールの多言語化や説明体制が整っているか

トラブル対策やサポート体制は十分か?

技能実習では、言語や文化の違いから、労働トラブルや生活上のすれ違いが起こることも少なくありません。

そのため、事前に「万が一」のケースに備えたサポート体制の有無が重要です。

  • 推奨のサポート体制
  • 定期的な面談・相談体制があるか
  • 通訳やカウンセリングを外部に依頼できるか
  • 怪我や病気などへの対応マニュアルが整っているか
  • 問題が発生した際の責任分担(監理団体・企業)の確認ができているか

実習生にとっても企業にとっても「安心して働ける環境」を整えることが、制度を成功させる鍵になります。

まとめ|技能実習生の受け入れは「計画」と「サポート体制」がカギ

技能実習制度は、人手不足の現場にとって非常に有効な仕組みです。特に、若く真面目な人材を長期間にわたって安定的に雇用できる点は、多くの企業から支持されています。

一方で、「日本語が通じにくい」「文化の違いからトラブルになった」「書類や制度が複雑で難しい」など、導入後に戸惑う声があるのも事実です。だからこそ、受け入れ前の準備と、実習生を支える社内外の体制づくりがとても重要です。

加えて、即戦力人材の確保を最優先に考える場合は、「特定技能」という新たな選択肢も視野に入れるべきです。特定技能制度では、現場経験のある外国人材をスピーディーに受け入れることが可能で、技能実習のような制度上の制限も少なく、柔軟な運用が期待できます。

「人は欲しいけど、すぐに現場で戦力になってほしい」

「技能実習ではカバーしきれない工程がある」

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