フィリピン人技能実習生を受け入れるには?MWO(旧POLO)やDMW(旧POEA)についても徹底解説

外国人雇用
公開日:25.08.12/更新日25.08.12
フィリピン人技能実習生を受け入れるには?MWO(旧POLO)やDMW(旧POEA)についても徹底解説

人手不足の解消や、将来を見据えたグローバル人材の活用を考える中で、「フィリピン人の技能実習生を受け入れたい」とお考えの企業担当者さまも多いのではないでしょうか。

しかし、フィリピン人材の受け入れには、日本側の在留資格手続きだけでなく、MWO(旧POLO)やDMW(旧POEA)といったフィリピン政府独自の申請・認証手続きが必要です。書類準備や面接、現地送出機関との連携など、初めての方にはわかりにくい点も多く、「自社で本当に受け入れられるのだろうか」と不安に感じる方もいるかもしれません。

本記事では、フィリピン人技能実習生の受け入れに必要な基本知識や手続きの流れ、注意点をやさしく解説します。さらに、技能実習制度の限界とともに、より実践的な人材確保を目指す企業におすすめの「特定技能」という選択肢についてもご紹介します。

これからフィリピン人材の活用を検討される方にとって、判断材料となる情報を網羅的にまとめています。ぜひ最後までご覧ください。

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フィリピン人技能実習生を受け入れる流れ

フィリピンから技能実習生を受け入れる場合、日本国内の制度に加えて、フィリピン政府の独自の認証や審査をクリアする必要があります。ここでは、その全体的な流れをステップごとにご紹介します。

①送出機関の選定と契約

まずは、フィリピン政府に認可された公認の送出機関を選定する必要があります。送出機関とは、実習生の募集・教育・送り出しを担う現地のパートナーであり、信頼性やサポート体制が非常に重要です。

選定にあたっては、過去の実績や日本の監理団体との連携実績などを確認し、監理団体を通じて契約を締結します。

②MWO(旧POLO)への書類提出と面接

続いて、日本側の受け入れ企業および監理団体は、フィリピンにあるMWO(旧POLO:在外労働事務所)へ必要な書類を提出し、審査を受けます。

この審査に加え、実習生本人の面接がMWOで行われることが義務付けられています。面接日程の調整や書類の不備があると手続きが遅れるため、事前準備が重要です。

③DMW(旧POEA)への登録と求人掲載

MWOの認証を通過すると、次はDMW(旧POEA:海外雇用庁)への登録・求人掲載が必要です。ここでフィリピン政府側が最終的に受け入れ先企業の信頼性や労働条件を審査し、許可を出します。

登録後、送出機関が現地で人材募集を開始し、候補者の選定につながります。

④採用活動・在留資格取得・OEC発行

採用活動が完了すると、在留資格(技能実習)の申請を日本で行います。許可が下りたら、フィリピン側ではOEC(海外雇用許可証)の発行手続きへと進みます。

このOECは、フィリピン人が合法的に海外就労するために必須の書類であり、出国時の空港検査でも提示を求められます。

⑤フィリピン出国・来日

すべての認可が下りた後、いよいよ実習生がフィリピンを出国し、日本へ来日します。来日後は監理団体が初期講習や生活支援などを行い、その後、実習先企業に配属されて実務が始まります。

MWO(旧POLO)申請の手続きと注意点

フィリピン人技能実習生を受け入れるには、日本の制度だけでなく、フィリピン政府が設ける独自の手続きもクリアする必要があります。その中でも重要なのが「MWO(旧POLO)」への申請です。ここではMWOの役割や申請時の注意点について解説します。

MWOとは何か?

MWO(Migrant Workers Office)は、かつてPOLO(Philippine Overseas Labor Office)と呼ばれていたフィリピン労働雇用省の在外機関です。日本国内の大使館や領事館に併設されており、技能実習生を含む海外労働者の権利保護や、雇用契約の確認・認証を担っています。

必要な書類と流れ

MWOへの申請では、以下のような書類が必要です。

  • MWOへの申請の書類
  • 監理団体許可書
  • 監理団体許可条件通知書
  • 厚生労働省が定める技能実習計画審査基準の写し
  • 監理団体の登記簿膳本
  • 監理団体及び送出機関の協定書(公証役場による公証が必要)
  • 技能実習実施計画のドラフト
  • 技能実習求人通知(職種、求人数、給料の詳細を記したもの)
  • 実習実施機関の従業員人数の証明書
  • 雇用契約書の補遺文書
  • 技能実習生のための雇用契約書
  • 雇用条件書及び賃金の支払い書

これらの書類を揃えたうえでMWOに提出し、審査を受けます。MWOが問題なしと判断した場合、DMW(旧POEA)への登録手続きに進むことができます。

本人面接が必須/スケジュール調整の難しさ

MWOでの手続きには、実習生本人の面接が必須となっており、これがスケジュール上の大きなハードルになることもあります。面接の予約は混み合っており、希望日に面接ができないケースもあるため、早めの準備と余裕をもった日程調整が必要です。

また、面接には受け入れ企業や監理団体が準備した雇用契約や実習内容の説明に対して、実習生が正しく理解しているかを確認する目的があります。

OECがないと出国できない

MWOの審査と本人面接を経た後、最終的にフィリピン政府からOEC(Overseas Employment Certificate)が発行されます。これはフィリピン人が合法的に海外へ就労するための出国許可証であり、空港での出国時に提示を求められます。

このOECがないと、たとえ日本側の準備がすべて整っていても、出国そのものができないため、MWO手続きの完了とOEC発行は非常に重要なステップです。

技能実習制度の限界

フィリピン人材の受け入れにおいて、技能実習制度は一定の役割を果たしてきました。しかし、制度そのものに限界もあるため、導入前にその特性を十分理解しておく必要があります。

人手不足対策としての有効性

技能実習制度はもともと「国際貢献」を目的として設計された制度であり、外国人材を通じて技術移転を行うことが主な趣旨です。確かに、一定期間の労働力を確保できる点では人手不足対策としても活用されていますが、あくまで“労働力確保”を目的とした制度ではないことに注意が必要です。

そのため、即戦力人材を安定的に確保したい企業にとっては、制度の性質上ミスマッチが生じることもあります。

原則3年までの就労

実習期間は原則1年目・2年目・3年目の段階的な更新型であり、最長でも3年(要件を満たせば5年)までの滞在となります。長期的な戦力として育てていくには、やや不向きな制度設計です。

転職やキャリアアップができない

技能実習生は基本的に転職が認められておらず、受け入れ先の企業でのみ就業が可能です。職場環境の変化や本人の希望があっても、原則として配置転換や職種変更は行えません。

この仕組みは、受け入れ企業にとって「離職リスクが少ない」という安心材料になる一方で、本人のモチベーションやスキルアップを妨げる要因にもなり得ます。結果として実習の質が下がるケースもあるため、制度上の柔軟性に課題を抱えています。

「即戦力人材の確保が目的なら」特定技能という選択肢もある

ここまでフィリピン人技能実習生の受け入れについて紹介してきましたが、「現場ですぐに活躍できる人材がほしい」「採用・育成コストを抑えたい」と考える企業にとっては、特定技能制度という選択肢も見逃せません。

特定技能制度は2019年に創設された新しい在留資格で、就労を目的とした制度です。とくに「特定技能1号」は、介護・外食・飲食料品製造など16分野の現場で働ける即戦力人材を対象としています。

特定技能1号の取得には、フィリピン国内で行われる技能試験と日本語能力試験(またはJFT-Basic)の合格が必要です。もしくは、技能実習2号を良好に修了していれば、試験が免除されるケースもあります。

つまり、すでに一定のスキル・知識を持つ人材が対象となるため、採用直後から現場で活躍しやすいのが特徴です。

フィリピン人材の受け入れが増えている理由

ここまで、フィリピン人の技能実習について説明いたしました。ここからはフィリピン人材の受け入れが増えている理由について説明いたします。

英語が通じやすく教育レベルも高い

フィリピンでは英語が公用語の一つとして使われており、小学校から英語教育が導入されています。

そのため、多くのフィリピン人材が日常会話レベルの英語力を有しており、外国人とのコミュニケーションに慣れているのが特徴です。

また、高等教育機関の卒業者も多く、業務への理解力や学習能力の高さにも定評があります。

特に製造業や介護、外食業などでは、日本語に加えて英語を介した意思疎通ができることが大きな安心材料となります。

フィリピン政府の海外雇用支援体制が整っている

フィリピン政府は、出稼ぎ(OFW=Overseas Filipino Workers)による外貨収入を国の重要な柱と位置づけており、制度的にも海外就労を後押ししています。

具体的には以下のような機関があり、日本への送り出しを公式に支援しています。

  • 機関紹介
  • DMW(旧POEA):海外雇用庁。労働者と受け入れ先のマッチングや制度管理を担当。
  • MWO(旧POLO):在外公館に設置された労働事務所。労働者の安全確保・雇用契約の適正審査を行う。

これらの体制がしっかりしているため、不適切な仲介業者の排除や人権保護の仕組みが整っており、企業側も安心して採用に臨めます。

送出国としての実績と信頼性

フィリピンはこれまで長年にわたり、日本を含む多くの国へ労働者を送り出してきた実績があります。

技能実習や介護の分野では特に評価が高く、「真面目で勤勉」「明るく社交的」「職場になじみやすい」といった印象を持つ企業も多く見られます。

さらに、トラブルが少なく、受け入れ後の定着率が高いことも、継続的な受け入れが進む理由の一つです。日本社会との親和性が高い点も、フィリピン人材が選ばれる大きな要因といえるでしょう。

フィリピン人の国民性

フィリピン人材を受け入れる際に、その国民性や文化的な特徴を理解しておくことは、職場での円滑なコミュニケーションや定着率の向上に大きく役立ちます。

明るく社交的で、人間関係を大切にする

フィリピン人は明るく陽気な性格の人が多く、初対面の人にも笑顔で接することができるフレンドリーな国民性が特徴です。

職場内でもチームワークを大切にし、同僚との良好な人間関係を築こうとする傾向があります。

このような性格から、日本の現場でも「雰囲気が良くなった」「コミュニケーションが取りやすい」と好印象を持たれることが多いです。

家族を重んじ、責任感が強い

フィリピンでは家族とのつながりを非常に大切にする文化が根づいており、多くの人が海外で働く理由も「家族の生活を支えるため」です。

このため、就労先に対しても強い責任感や誠実さをもって仕事に取り組む姿勢が見られます。

日本の企業にとっても、「まじめで長く働いてくれる人材」を求める場合に、フィリピン人の価値観は相性が良いといえるでしょう。

礼儀正しく、日本文化への適応力も高い

フィリピンはカトリック教徒が多く、道徳や規律を重んじる傾向があります。目上の人への礼儀や、時間を守る姿勢などもあり、日本の企業文化との親和性が高いです。

さらに、以前から日本で働くフィリピン人が多いため、日本に対する理解も進んでおり、事前に学習してから来日する人も多く、現場への適応もスムーズです。

フィリピン人の基本情報

フィリピン人材を受け入れるにあたり、出身国であるフィリピンについての基礎知識を持っておくことで、文化理解や円滑な受け入れ準備につながります。

地理

フィリピンは東南アジアに位置する島国で、約7,000以上の島々から構成されています。主要な島はルソン島、ビサヤ諸島、ミンダナオ島で、首都はルソン島のマニラです。日本とは直行便で約4〜5時間の距離にあり、アクセスもしやすい国です。

人口

IMFによる2025年4月時点の推計によると、フィリピンの人口は約1億1,400万人。東南アジアの中でも比較的人口が多く、若年層の割合が高いのが特徴です。就労を希望する20〜30代の層が厚く、海外で働くことを希望する人も多くいます。

言語

公用語はフィリピノ語(タガログ語)と英語の2言語。教育現場やビジネスシーンでは英語が日常的に使われており、日本人よりも英語に堪能な人が多い傾向にあります。英語での基本的なやりとりができるため、日本語が完璧でなくても職場での意思疎通がしやすいメリットがあります。

宗教

人口の約8割がカトリック教徒で、宗教行事や家族との関わりを大切にする文化が根づいています。価値観として「誠実」「家族愛」「忍耐」が尊ばれ、就労への意欲にもつながっています。

食べ物

主食はお米で、肉や魚、野菜を使った料理が多く、日本の食文化との相性も良好です。特別な食事制限がある宗教(例:ハラール、ヒンドゥー教)の国と比べ、給食や社員食堂での対応がしやすいのもフィリピン人材の受け入れやすさの一因です。

平均収入

フィリピン国内での月収は職種によって異なりますが、一般的な事務職・サービス業で月2〜4万円程度が目安です。そのため、日本で働くことで得られる収入は数倍以上になることが多く、高い就労意欲につながっています。

まとめ|制度の違いを理解し、自社に合う人材戦略を

フィリピン人技能実習生の受け入れには、MWOやDMWといったフィリピン独自の手続きや、送り出し機関との連携など、他国とは異なるステップが必要です。文化的な親和性や高い英語力といった強みもある一方で、技能実習制度そのものに職種の制限や就労年数の上限、企業側のサポート負担といった課題もあります。

今後さらに深刻化する人手不足に対応するには、「一時的な労働力確保」にとどまらず、「即戦力となる外国人材」との長期的な関係づくりを視野に入れることが重要です。

もし、採用目的が「戦力化」や「安定雇用」であるなら、就労を目的とした特定技能制度の導入を検討する価値があります。制度の違いを正しく理解したうえで、自社にとって最適な外国人材受け入れの方法を選択していきましょう。

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