特定技能「自動車整備」とは?業務範囲や雇用条件まで詳しく紹介

外国人雇用
公開日:24.02.29/更新日25.10.07
特定技能「自動車整備」とは?業務範囲や雇用条件まで詳しく紹介

「特定技能」とは、日本の人材確保が難しい業種において、一定の専門性・技能を持っている外国人を受け入れる制度です。制度の特性上、即戦力となる知識やスキルを持っている外国人を雇用することができます。

人手不足に課題を感じている日本の企業が多い中、特定技能で働く外国人へのニーズは年々高まっております。「自動車整備」は人手不足が続いている業種の1つであり、即戦力となる人材を求めている企業も多いのではないのでしょうか。

この記事では、特定技能の外国人が「自動車整備」で行える業務や、受け入れるための手続きについて紹介いたします。

  • 記事の要約
  • 特定技能「自動車整備」=自動車の定期点検整備・分解整備を行える外国人を対象とした在留資格
  • 受け入れ区分=現時点では特定技能1号のみ、将来的に2号拡大予定
  • 人手不足実態=整備要員数402,025人に対し、整備士数333,047人(不足約7万人、保有率82.8%)
  • 有効求人倍率=全国平均1.24倍に対し、自動車整備分野5.45倍(令和6年7月時点)
  • 在留数推移=令和5年末2,519人 → 令和6年末3,076人(前年比122.11%増)
  • 雇用条件=地方運輸局長の認証取得、自動車整備分野特定技能協議会への加入、支援体制の構築(自社または登録支援機関に委託)
  • 試験要件=「自動車整備分野特定技能評価試験」または「自動車整備士技能検定3級」合格+日本語試験(JFT-Basic A2相当またはJLPT N4以上)
  • 試験費用=日本4,300円、フィリピン1,700PHP(約4,300円)、合格証明書交付手数料16,000円(企業負担)
  • 雇用形態=正社員としての直接雇用のみ(派遣雇用は不可)

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特定技能「自動車整備」とは?

特定技能「自動車整備」とは?

特定技能「自動車整備」とは、自動車整備分野の人手不足解消のために創設された特定技能です。自動車の定期点検整備や分解整備などを一人でできる技能水準を持った外国人を受け入れができます。

現在、特定技能2号で受け入れが認められているのは、建設分野と造船・舶用工業分野(溶接区分)のみであり、自動車整備分野では特定技能1号での受け入れに限られています。

しかし、令和5年6月の閣議決定により、特定技能1号の12分野のうち介護分野を除くすべての分野で、特定技能2号の受け入れが可能となる方針が決まりました。

施行開始日はまだ確定しておらず、決定次第、出入国在留管理庁のホームページで公表されます。

特定技能「自動車整備」ができた背景

特定技能制度ができた背景として、日本国内で深刻化する人手不足が挙げられます。

中でも、「自動車整備」分野の人手不足は深刻な状態です。令和6年度の「日本自動車整備振興会連合会」の調査によると、令和6年度の整備要員数は402,025人に対し、整備士の数は333,047人(整備士保有率は82.8%)、比較すると7万人弱もの人手が不足している状態となっております。

参考:令和6年度 自動車特定整備業実態調査結果の概要について

厚生労働省によると、2024年7月の全国平均有効求人倍率は1.24倍に対し、自動車整備の有効求人倍率は5.45倍となっており、人手不足がより深刻な状態であることがわかります。

参考:一般職業紹介状況(令和6年7月分)について

参考:自動車整備士|職業情報提供サイト

少子高齢化や業種全体の若者離れが進んでおり、人手不足は今後更に深刻化すると予想されます。

特定技能「自動車整備」の現状

出入国在留管理庁の令和6年12月末時点時点の統計によると、特定技能1号の「自動車整備分野」の外国人数は3,076人です。全体の人数は令和5年12月末時点の2,519人から122.11%増となっています。

特定技能外国人の数は、前年対比で大きく増加しております。

主要国別の前年対比人数

令和4年令和5年令和6年前年対比
外国人合計1,7382,5193,076122.11%
ベトナム8271,1651,391116.82%
フィリピン614815911111.77%
インドネシア123216308142.59%

参考:特定技能在留外国人数 (令和4年12月末現在)

参考:特定技能在留外国人数 (令和5年12月末現在)

参考:特定技能在留外国人数 (令和6年12月末現在)

特定技能「自動車整備」で可能な業務範囲

特定技能「自動車整備」で可能な業務範囲

特定技能「自動車整備」で、外国人材が従事できる業務は、「自動車の定期点検整備」と「自動車の分解整備」です。

自動車の定期点検整備とは、道路運送車両法に基づく法定点検整備のことです。ステアリング装置や、ブレーキ装置を点検します。

  • 特定技能「自動車整備」で可能な業務範囲
  • ステアリング装置
  • ブレーキ装置
  • 走行装置
  • 動力伝達装置
  • 電気装置
  • エンジン
  • サスペンション
  • ばい煙・悪臭のあるガス・有毒ガスなどの発散防止装置

自動車の分解整備は、エンジン、ブレーキ、ギアボックスなど重要部品を取り外して行う整備または改造のことを指します。

  • 自動車の分解整備
  • 原動機
  • 動力伝達装置(クラッチ、トランスミッション、プロペラ・シャフト、 ディファレンシャル)
  • 走行装置(フロン・トアクスル、リア・アクスル・シャフト等)
  • かじ取り装置(ギヤボックス、リンク装置等)
  • 制動装置(マスタシリンダ、ブレーキ・チャンバ、バルブ類等)
  • 緩衝装置(シャシばね)
  • 連結装置(トレーラ・ヒッチ、ボール・カプラ)

また、これらの業務に関連する業務(自動車の塗装作業や関連部品の販売など)を行うことも可能です。業務範囲の最新情報については、国土交通省の資料をご確認ください。

参考:自動車整備分野における外国人の受入れ (在留資格:特定技能)

特定技能「自動車整備」の雇用条件

特定技能「自動車整備」の雇用条件

特定技能「自動車整備」で外国人を受け入れる企業には、雇用するための条件が定められています。雇用条件と手続きについて紹介いたします。

地方運輸局長の認証が必要

特定技能で外国人を受け入れる企業は、自動車の「分解整備」業務を仕事で行うために、地方運輸局長の認証が必要です。

管轄の地方運輸局へ申請書を提出し、認証を受けます。認証を受けるためには施設の広さ、作業機械が揃っているか、作業員の人数などの必要な条件があります。複数の事業所を運営している企業は、それぞれの事業所ごとに申請します。

自動車整備分野特定技能協議会へ加入が必要

特定技能で外国人を受け入れる企業は、「自動車整備分野特定技能協議会」へ加入が必要です。

自動車整備分野特定技能協議会とは、国土交通省、自動車整備分野の特定技能所属機関、業界団体その他の関係者により構成している協議会です。管轄の地方運輸局へ入会申込届出書を郵送し、加入の申請を行います。

国土交通省のホームページから、必要書類の様式をダウンロードできます。

参考:自動車整備分野における「特定技能」の受入れ - 国土交通省

支援体制の構築や登録支援機関への委託が必要

特定技能外国人を受け入れる企業は、出入国のための送迎、住居の確保など、様々な支援体制の義務が生じます。

支援体制を整えるには、「自社で支援計画を立てて実施する」、または「登録支援機関に委託する」の2通りの方法があります。

登録支援機関に委託する場合、登録支援機関も「自動車整備分野特定技能協議会の構成員」である必要がありますので、選定の際は注意が必要です。

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特定技能「自動車整備」を活用する際のポイント

特定技能「自動車整備」を活用する際のポイントは次の2点です。

転職が可能な制度であること

特定技能制度の大きな特徴のひとつが、「転職が可能」である点です。技能実習制度では原則転職ができませんでしたが、特定技能では条件を満たせば転職が認められています。そのため、外国人人材はより多くの選択肢を持つことができます。一方、受け入れる企業側は、人材に選ばれ続けるために、働きやすい職場環境や魅力的な賃金水準を整える必要があります。

登録支援機関の活用

特定技能人材を受け入れる場合、支援計画の作成や生活サポートなど、日本人採用では発生しない業務が多くあります。受入れ企業が自社で対応することもできますが、「登録支援機関」を活用すれば、これらの業務を専門的にサポートしてもらうことができ、負担を軽減できます。

雇用形態

雇用形態は正社員としての直接雇用のみです。派遣での雇用はできません。

特定技能「自動車整備」の試験について

特定技能「自動車整備」の試験について

特定技能には「1号」と「2号」の2種類の在留資格があります。特定技能で初めて就業する外国人は、一般的に「特定技能1号」からスタートします。

​​特定技能「自動車整備」1号の在留資格を取得するには、「特定技能評価試験と日本語試験に合格する」「自動車整備分野の技能実習2号を修了する」のいずれかの条件を満たしていなければなりません。

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特定技能評価試験内容

特定技能評価試験は、特定技能の分野によって異なります。

特定技能「自動車整備」の場合には、「自動車整備分野特定技能評価試験」または「自動車整備士技能検定試験3級」のどちらかに合格する必要があります。

「自動車整備分野特定技能評価試験」は、特定技能制度のために用意された試験です。学科試験と実技試験の2つの科目があり、どちらもCBT方式(コンピュータを使った試験方式)で行われます。試験範囲は、自動車のシャシ・エンジンに関する内容が対象です。

学科試験の科目

学科試験の科目は以下の通りです。

  • 学科試験の科目
  • 構造、機能及び取扱法に関する初等知識
  • 点検、修理及び調整に関する初等知識
  • 整備用の試験機、計量器及び工具の構造、機能及び取扱法に関する初等知識
  • 材料及び燃料油脂の性質及び用法に関する初等知識

実技試験の科目

実技試験の科目は以下の通りです。

  • 実技試験の科目
  • 簡単な基本工作
  • 分解、組立て、簡単な点検及び調整
  • 簡単な修理
  • 簡単な整備用の試験機、計量器及び工具の取扱い

試験範囲の詳細や例題、最新情報については日本自動車整備振興会連合会のホームページから確認できます。

参考:特定技能評価試験 Specified skills evaluation test

日本語試験内容

日本語試験は、「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)のN4以上」に合格する必要があります。

国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」は「ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力」があるかどうかを判定する試験です。

「日本語能力試験(JLPT)」は難易度でN1〜N5のレベルに分かれていて、N1が一番難しく、N5が一番簡単とされております。特定技能「自動車整備」では、N4以上の試験合格が求められます。

参考:日本語能力試験 にほんごのうりょくしけん とは

受験資格

試験を受験するには、試験実施日に受験者の年齢が満17歳以上と定められております。インドネシア国籍の外国人が「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」を受験する場合のみ、テスト日において満18歳以上である必要があります。

日本国内で受験する場合、在留資格が必要になります。在留資格は短期滞在でも問題ありません。

「自動車整備分野特定技能評価試験」の日程と申込み方法

「自動車整備分野特定技能評価試験」は日本・フィリピンの2カ国で毎月開催されています。

試験の予約期間は、試験日の60日前から試験日の3営業日前の日本時間23:59までとなっていますが、座席に限りがあるため、早めの申し込みをおすすめします。

試験の申し込みは、インターネットで行います。受験者本人が、プロメトリック社のホームページから受験申し込みをします。まずプロメトリックの個人IDを取得してから、試験の申し込みをします。

日本で受験する場合は、受験者の顔写真をアップロードする必要があります。

受験料は、フィリピンでは1,700PHP(2025年9月地点のレートで約4,300円)日本では4,300円です。

参考:一般社団法人日本自動車整備振興会連合会

試験申し込みの詳細については、プロメトリック社のホームページから確認できます。

参考:自動車整備分野特定技能評価試験

試験当日は、有効な本人確認書類などを会場に持参し、試験を受けます。試験実施後30日以内に、日本自動車整備振興会連合会のホームページに試験合格者のID番号が公表されます。

「日本語試験」の日程と申込み方法

「日本語試験」は開催国が多く、それぞれ受験料や開催日が異なります。「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」は日本各地、海外(フィリピン、ミャンマー、ネパールなど11カ国)で年6回開催されています。

受験当日に結果が分かり、受験日から5営業日以内に判定結果通知書の発行が可能です。「日本語能力試験(JLPT)」は、日本で7月と12月の2回開催されており、海外(約80の国と地域)でも年1〜2回開催されます。

受験日から約2ヶ月後に結果が分かり、約3ヶ月後に結果通知書が届きます。

合格後の手続きと注意点

合格後、受け入れ企業との雇用契約を結んだ後にも手続きが必要です。

「自動車整備分野特定技能評価試験」については、雇用契約後に受け入れ企業が、日本自動車整備振興会連合会に「合格証明書」の交付を申請します。交付手数料として、16,000円を受け入れ企業が支払います。

この「合格証明書」は、特定技能ビザ申請の際に提出を求められる書類です。「日本語試験」については、受験者が合格証明書の写しを用意し、受け入れ企業へ提出します。

まとめ

特定技能「自動車整備」は、自動車整備分野で即戦力となる外国人材を確保し、人手不足の解消が期待できる制度です。

しかし、特定技能制度は複雑で、分野ごとに様々な手続きが求められます。自社での対応が難しい場合には、国内の人材紹介会社への相談がおすすめです。受け入れまでのプロセスを効率化し、受け入れ業務の負担を軽減できるからです。

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