特定技能「工業製品製造業」分野とは?該当業種、企業要件や外国人要件を解説
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人材確保が難しい「製造業」の分野において、特定技能外国人の受け入れを進める企業が増えています。出入国在留管理局によると、2025年8月末時点で「工業製品製造業」分野の特定技能1号外国人は49,320人となっており、人材不足解消の一端を担っていることがわかります。
参考:出入国在留管理庁「外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」
しかし、「製造業での受け入れ方法がわからない」「就業可能な職種が知りたい」といった悩みを持つ企業も多いのではないでしょうか。
この記事では、特定技能「製造業」の概要と、受け入れできる業種や要件、受け入れ方法まで詳しく紹介します。
目次
特定技能「製造業」とは?
「製造業」は人材不足が顕著な分野です。2024年7月の全国平均有効求人倍率は1.24倍(前年同月差-0.06ポイント)でしたが、製造業が該当する「生産工程の職業」の有効求人倍率は1.65倍(2024年11月時点)となっています。
特定技能「製造業」は、人材不足が深刻化している製造業の課題を補うために創設されました。創設後も対象となる業種や業務の見直しや追加が行われており、今後ますます需要が高まると考えられます。
旧3分野が工場製品製造業分野に統合
特定技能制度が導入された当初、製造分野は「素形材製造」「産業機械製造」「電気・電子情報関連製造」の3つの分野に分かれていました。しかし、特定技能の活用が進み、企業や特定技能外国人の手続きを簡素化するために、2022年4月以降、これらの製造業3分野は「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」として統合され、一つの分野として運用されていました。
また、2024年3月29日に政府は分野名を「工場製品製造業分野」と変更しました。

これまでの業種・業務区分
これまで、特定技能「製造業」で対象となっていた業種は以下の4つです。
- これまでの業種・業務区分
- 素形材産業
- 機械金属加工
- 電気電子機器組立て
- 金属表面処理
対象の業務区分は以下の3つです。
- 対象の業務区分
- 機械金属加工
- 電気電子機器組立て
- 金属表面処理
新たに追加になった業種・業務区分
2024年3月29日に政府は、「工場製品製造業分野」に新たな業種・業務区分を追加する閣議決定を行いました。11業種と7業務区分が新たに追加されます。
追加となった11業種
- 追加11業種
- 鉄鋼業
- 金属製サッシ・ドア製造業
- プラスチック製品製造業
- 紙器・段ボール箱製造業
- コンクリート製品製造業
- 陶磁器製品製造業
- 繊維業
- 金属製品塗装業
- RPF製造業
- 印刷・同関連業
- こん包業
追加となった7業務区分
- 追加7業務区分
- 紙器・段ボール箱製造
- コンクリート製品製造
- 陶磁器製品製造
- 紡織製品製造
- 縫製
- RPF製造
- 印刷・製本
追加要望が多かった「縫製業」が特定技能の対象に
縫製業界は、「技能実習制度」を通じて外国人労働者を受け入れています。しかし、一部の企業で制度が悪用され、長時間労働や賃金未払いが発生していると問題視されています。
そうした状況の中、人材不足に直面している縫製業界では、外国人労働者の継続的な雇用への需要が高まっています。
これまでの問題を解決するために、以下の4つの追加要件が設定され、特定技能の対象業務として認定されました。
- 4つの追加要件
- 国際的な人権基準を遵守する
- 勤怠管理を電子化する
- 取引の適正化方針を含むパートナーシップ構築宣言を実施する
- 給与を月給制にする
「製造業」で受け入れ可能な業種・業務区分まとめ
分野名を「工業製品製造業」に改定したことで、製造分野は全10区分となりました。対象区分は以下のとおりです。
- 対象区分
- 機械金属加工区分
- 電気・電子機器組立て区分
- 金属表面処理区分
- 紙器・段ボール箱製造区分
- コンクリート製品製造区分
- RPF製造区分
- 陶磁器製品製造区分
- 印刷・製本区分
- 紡織製品製造区分
- 縫製区分
各区分の内容と技能について細かく見ていきましょう。
機械金属加工区分
機械金属加工区分とは、金属やプラスチックなどの素材に熱や圧力を加え、部品や部材を成形・製造する区分です。
- 機械金属加工区分
- 鋳造機械加工
- ダイカスト
- 金属プレス加工
- 鉄工仕上げ
- 工場板金機械検査
- 機械保全電気機器組立て
- プラスチック成形
- 塗装
- 溶接
- 工業包装
- 金属熱処理
- 強化プラスチック成形
電気・電子機器組立て区分
電気・電子機器組立て区分とは、工場や事務所で用いられる機械を製造する分野です。工作機械を使った素材加工や組立てを行い、建設機械・農業機械・工業機械・木工機械など、多様な産業で必要とされる機械を生産します。
- 電気・電子機器組立て区分
- 機械加工
- 仕上げ
- 機械検査
- 機械保全
- 電気機器組立て
- 電子機器組立て
- プラスチック成形
- プリント配線板製造
- 工業包装
- 強化プラスチック成形
金属表面処理区分
金属表面処理区分は、金属製品の表面を処理することで、その強度や耐久性を高める区分です。
- 金属表面処理区分
- めっき
- アルミニウム陽極酸化処理
紙器・段ボール箱製造区分
紙器や段ボール箱を製造する区分です。包装資材や梱包用の箱を機械で成形・加工し、さまざまな産業で利用される製品を生産します。
コンクリート製品製造区分
コンクリートを用いた各種製品を製造する区分です。型枠に流し込んで固めるなどの工程を通じて、建設資材やインフラ整備に欠かせない部材を生産します。
RPF製造区分
廃プラスチックや古紙などを原料とした固形燃料(RPF:Refuse Paper & Plastic Fuel)を製造する区分です。資源の有効活用や環境負荷の低減に貢献する製品を生産します。
陶磁器製品製造区分
陶磁器製品を製造する区分です。粘土などの素材を成形し、高温で焼成して完成させる工程を担い、生活用品から産業用部材まで幅広く利用される製品を生み出します。
印刷・製本区分
書籍や雑誌、パンフレット、包装資材などの印刷物を製造する区分です。印刷機を用いて文字や図柄を印刷し、製本や仕上げの工程を通じて製品を完成させます。
- 印刷・製本区分
- 印刷
- 製本
紡織製品製造区分
糸や繊維を原料として布地や織物を製造する区分です。紡績や織布などの工程を通じて、衣料や産業用資材など幅広い用途の製品を生産します。
- 紡織製品製造区分
- 紡績運転
- 織布運転
- 染色
- ニット製品製造
- たて編ニット生地製造
- カーペット製造
縫製区分
布地を裁断・縫製し、衣服や生活用品などを製造する区分です。デザインに沿った加工を行い、多様な製品を仕上げます。
- 縫製区分
- 婦人子供服製造
- 紳士服製造
- 下着類製造
- 寝具製作
- 帆布製品製造
- 布はく縫製
- 座席シート縫製
製造業で特定技能を導入するための企業要件
製造業で特定技能を導入する企業は、次の要件を満たす必要があります。
受入れ企業が対象産業に該当しているか
製造業の中でも、特定技能外国人を受け入れることができる産業分野は限定されており、似たような製品を扱う場合でも受け入れ対象外となるケースがあります。
- 【工業製品製造業分野】1号特定技能外国人を受入れ可能な事業所の日本標準産業分類
- 11 :繊維工業
- 141 :パルプ製造業
- 1421 :洋紙製造業
- 1422 :板紙製造業
- 1423 :機械すき和紙製造業
- 1431 :塗工紙製造業(印刷用紙を除く)
- 1432 :段ボール製造業
- 144 :紙製品製造業
- 145 :紙製容器製造業
- 149 :その他のパルプ・紙・紙加工品製造業
- 15 :印刷・同関連業
- 18 :プラスチック製品製造業
- 2123 :コンクリート製品製造業
- 2142 :食卓用・ちゅう房用陶磁器製造業
- 2143 :陶磁器製置物製造業
- 2194 :鋳型製造業(中子を含む)
- 2211 :高炉による製鉄業
- 2212 :高炉によらない製鉄業
- 2221 :製鋼・製鋼圧延業
- 2231 :熱間圧延業(鋼管、伸鉄を除く)
- 2232 :冷間圧延業(鋼管、伸鉄を除く)
- 2234 :鋼管製造業 3299 他に分類されないその他の製造業(ただし、RPF製造業に限る。)
- 484 :こん包業
- 2299 :他に分類されない鉄鋼業(ただし、鉄粉製造業に限る。)
- 2422 :機械刃物製造業
- 2424 :作業工具製造業
- 2431 :配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く)
- 2441 :鉄骨製造業
- 2443 :金属製サッシ・ドア製造業
- 2446 :製缶板金業(ただし、高圧ガス用溶接容器・バルク貯槽製造業に限る。)
- 245 :金属素形材製品製造業
- 2461 :金属製品塗装業
- 2462 :溶融めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)
- 2464 :電気めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)
- 2465 :金属熱処理業
- 2469 :その他の金属表面処理業(ただし、アルミニウム陽極酸化処理業に限る。)
- 248 :ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業
- 2499 :他に分類されない金属製品製造業(ただし、ドラム缶更生業に限る。)
- 25 :はん用機械器具製造業(ただし、2591消火器具・消火装置製造業を除く。)
- 26 :生産用機械器具製造業
- 27 :業務用機械器具製造業(ただし、274医療用機械器具・医療用品製造業及び276武器製造業を除く。)
- 28 :電子部品・デバイス・電子回路製造業
- 29 :電気機械器具製造業(ただし、2922内燃機関電装品製造業を除く。)
- 30 :情報通信機械器具製造業
- 3295 :工業用模型製造業
- 225 :鉄素形材製造業
- 2291 :鉄鋼シャースリット業
- 235 :非鉄金属素形材製造業
- 【工業製品製造業分野】2号特定技能外国人を受入れ可能な事業所の日本標準産業分類
- 2194 :鋳型製造業(中子を含む)
- 225 :鉄素形材製造業
- 235 :非鉄金属素形材製造業
- 2422 :機械刃物製造業
- 2424 :作業工具製造業
- 2431 :配管工事用附属品製造業(バルブ、コックを除く)
- 245 :金属素形材製品製造業
- 2462 :溶融めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)
- 2464 :電気めっき業(表面処理鋼材製造業を除く)
- 2465 :金属熱処理業
- 2469 :その他の金属表面処理業(ただし、アルミニウム陽極酸化処理業に限る。)
- 248 :ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等製造業
- 25 :はん用機械器具製造業(ただし、2591消火器具・消火装置製造業を除く。)
- 26 :生産用機械器具製造業
- 27 :業務用機械器具製造業(ただし、274医療用機械器具・医療用品製造業及び276武器製造業を除く。)
- 28 :電子部品・デバイス・電子回路製造業
- 29 :電気機械器具製造業(ただし、2922内燃機関電装品製造業を除く。)
- 30 :情報通信機械器具製造業
- 3295 :工業用模型製造業
たとえば、2つ以上のパーツを固定するための部品を製造する「産業分類番号2481:ボルト・ナット・リベット・小ねじ・木ねじ等の製造業」は特定技能の受け入れ対象ですが、「産業分類番号3224:はとめ製造業・かしめ製造業」は受け入れ対象外とされています。
受け入れ対象の産業は、特定技能外国人制度の公式ポータルサイトの「対象となる産業分類一覧」で確認できます。
参考:対象となる産業分類一覧
事業を継続しているか
企業が製造業の事業を継続していることも企業要件の1つです。事業の継続性は、直近1年間の「製造品出荷額等」で判定されます。製造品出荷額等とは、製造品の出荷額、加工賃の収入額、廃棄物の売却収益などを含みます。
事業者所有の原材料で製造されているか
製造品に関しては、事業所が所有する原材料によって製造されたものが該当します。また、製造品出荷には以下のものが含まれます。
- 製造品について
- 同一企業内で他の事業所へ引き渡されたもの
- 自家使用されたもの(その事業所で最終製品として使用されたもの)
- 委託販売されたもの(未販売のものを含むが、直近1年間に返品されたものは除く)
特定技能協議会に加入しているか
受け入れ企業は「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」に加入する必要があります。加入申請は経済産業省のホームページから行います。加入に関する費用は無料です。(令和6年5月時点)
複数の事業所を持つ企業は、事業所ごとに加入申請を行う必要があります。「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」の最新情報は、該当のウェブサイトをご確認ください。
参考:製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会 (METI/経済産業省)
特定技能外国人への支援をすること
特定技能外国人を受け入れる企業は、仕事のサポートにとどまらず、日本国内での生活全般にわたる支援の義務があります。支援には、出入国のための送迎、住居の確保などが該当します。
支援体制を整えるためには、「自社で支援計画を立てて実施する」または「登録支援機関に委託する」の2通りの方法があります。
「紡織製品製造」「縫製」の追加要件
「紡織製品製造」と「縫製」の分野では、技能実習制度の中で時間外労働に対する賃金不払いなどの違反が多く見られました。これらの問題を防ぎ、適正な取引を推進するため、特定技能での受け入れに際して以下の追加要件が設けられています。
- 追加要件の概要
- 国際的な人権基準を順守して事業を行っていること
- 勤怠管理を電子化していること
- パートナーシップ構築宣言を実施していること
- 特定技能外国人の給与を月給制とすること
① 国際的な人権基準の順守
企業は国際的な人権に関する基準を守って事業を行うことが求められます。具体的には、第三者の監査機関による審査を受け、公開されている国際基準に適合している必要があります。
- 対象となる監査・認証の例
- GOTS
- OEKO-TEX STeP
- Bluesign
- Global Recycled Standard(GRS)
日本アパレルソーイング工業組合連合会 取引行動規範ガイドライン(JASTI)
※今後、新たな認証制度が追加される可能性があります。
- 審査のポイント
- 対象となる監査・認証のいずれかを取得していること
- 特定技能外国人の受入れ申請時に、有効期限が3か月以上残っていること
- 事業所単位で監査・認証を取得していること
申請時には、監査・認証のレポートや認定証を提出する必要があります。審査では、第三者機関の監査に基づき、全84項目に及ぶ「監査要求事項」を満たしているかが確認されます。
- 監査要求事項(一部抜粋)
- 強制労働の禁止
- 身体的・心理的暴力を禁止するポリシーの策定
- 児童労働の撤廃と関連方針の制定
- 差別・ハラスメントの禁止(特に性差別に関する基準を含む)
- 結社の自由と団体交渉権の保障
- 労働安全衛生基準の制定
- 雇用条件や福利厚生に関する明確な伝達
- 公正かつ適時な賃金支払いの保証
- 人権方針・手続きの策定(デューディリジェンス)
外国人労働者(技能実習生含む)向けに、安全手順が母語等で理解できる形で提供されているか
② 勤怠管理の電子化
受入れ事業所では、『勤怠管理の電子化要件 登録システム一覧』に掲載されたシステム、または同等要件を満たす自社開発システムを導入・活用していることが必須です。
- 提出が必要なもの
- 登録システムの導入を証明する資料
- 実際の運用状況がわかる写真
- 登録システム以外を利用する場合の要件
- 電子的に出退勤を記録できること(ICカード・指紋認証・顔認証・タブレットタップなど)
- 手作業を介さずにデータ送信できること(紙やCSV転記は不可)
- タイムカード使用時もデータ送信対応が必要
- 打刻修正は本人が行い、管理者修正時は本人同意が必須
- 修正前後の記録が双方確認できること
③ パートナーシップ構築宣言の実施
勤怠管理のIT化は、適正な労務管理に加え、不正打刻防止や労働時間の可視化、管理部門の負担軽減にもつながります。特に中小企業では業務効率化や生産性向上、経営者自身の働き方改革にも有効です。
パートナーシップ構築宣言とは、取引先との共存共栄を目指す企業の取り組みを「代表権のある者」が宣言し、専用ポータルサイトで公開する制度です。
- 主な取り組み内容
- サプライチェーン全体の価値向上(例:IT導入、BCP策定、グリーン調達)
- 下請企業との適正な取引(価格決定、型管理、現金払い原則、知財保護、働き方改革に伴う「しわ寄せ」防止)
受入れ機関には、企業単位での宣言が求められます(事業所単位での宣言は不要)。
- 提出資料
- ポータルサイトに掲載された自社情報のスクリーンショット
- 自社HPに掲載した宣言文のPDF
- ポータルサイトでの自社掲載ページのURL
④ 特定技能外国人の給与を月給制にする
外国人労働者が安定した生活を送れるよう、給与は「月給制」で支払うことが義務付けられています。
- 月給制の要件
- 会社都合の休業や有給休暇を欠勤扱いとして基本給から控除することは禁止
- 有給休暇を全て消化後の欠勤や、本人が希望しない欠勤は控除可能
- 労働日数や時間が変動しても「月単位で算定した額」で支払うこと
- 他の日本人職員が日給制でも、特定技能外国人には必ず月給制を適用
審査の際には、所定の誓約書を受入れ企業の代表者名で提出する必要があります。
製造業で特定技能を導入するための外国人の要件
特定技能外国人を雇用する場合、対象の外国人は特定技能1号「製造業」の在留資格を取得する必要があります。そのためには「日本語試験」及び「製造分野の「技能評価試験」に合格する、もしくは、「技能実習2号を修了」のいずれかが必要です。
日本語試験に合格
日本語試験では、「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)のN4以上」のいずれかに合格する必要があります。「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」は、日常会話がある程度でき、生活に支障がない程度の能力を判定する試験です。
「日本語能力試験(JLPT)」は、N1が最も難しく、N5が最も易しいという難易度に分かれています。特定技能「製造」分野では、N4レベル以上の試験合格が必要です。
技能評価試験に合格
技能評価試験である「製造分野特定技能1号評価試験」は、日本と海外で開催されています。
日本国内では仙台から福岡までの10箇所で年3回、海外ではインドネシア、タイ、フィリピンで年1回開催されます。
試験の申し込みは、開催日の約1ヶ月前からウェブサイト上で受け付けられ、先着順で受験が可能です。申し込みは受験者本人が特定技能外国人人材制度のポータルサイトから行います。
申し込み時に、19の技能科目から試験区分を選びます。試験区分は、「機械金属加工」「電気電子機器組立て」「金属表面処理」の3種類から選択します。
試験は「学科試験」と「実技試験」の2部構成で、両方に合格する必要があります。受験料は8,000円で、合格後に特定技能の在留申請時に必要となる「合格証明書」の発行手数料は15,000円です。
試験の詳細は、経済産業省Webサイトでご確認ください。
技能実習2号からの移行
「工業製品製造業分野」に該当する職種で技能実習2号を修了した外国人は、技能評価試験や日本語試験を受けることなく、特定技能1号へ移行することが可能です。
ただし、移行が認められている職種は限定されていますのでご注意ください。詳細については、厚生労働省のホームページをご確認ください。
参考:技能実習制度 移行対象職種・作業一覧(PDF)|厚生労働省
製造業で特定技能2号を導入するための外国人の要件
特定技能2号は2023年に対象分野が拡大し、新たに製造分野も対象となりました。
申請には、特定技能1号での実務経験や試験合格など、一定の要件を満たす必要があります。
取得方法①:特定技能2号評価試験ルート
以下をすべて満たす必要があります。
- 要件
- 「製造分野特定技能2号評価試験」に合格
- 生産管理プランニング区分、または生産管理オペレーション区分のいずれか
- 「ビジネス・キャリア検定3級」の取得
- 機械金属加工区分、電気電子機器組立て区分、金属表面処理区分のいずれか
- 日本国内の製造業現場で、3年以上の実務経験を有すること
取得方法②:技能検定ルート
以下をすべて満たす必要があります。
- 要件
- 対象職種:鋳造/鍛造/ダイカスト/機械加工/金属プレス加工/鉄工/工場板金/めっき/アルミニウム陽極酸化処理/仕上げ/機械検査/機械保全/電子機器組立て/電気機器組立て/プリント配線板製造/プラスチック成形/塗装/工業包装 のいずれか
- 日本国内の製造業現場で、3年以上の実務経験を有すること
特定技能2号評価試験について
特定技能2号評価試験では、学科試験と実技試験の両方に合格することが必要です。
特定技能2号を取得するためには、この評価試験の合格が必須となりますが、特定技能1号と異なり日本語試験の合格は要件に含まれていません。
これは、2号評価試験やビジネス・キャリア検定を通じて、日本語能力に相当するスキルが確認できると考えられているためです。
そのため、受験者は一定の日本語能力を有していることが前提とされており、評価試験に合格することで必要な語学力も証明される仕組みになっています。
特定技能1号と2号の評価試験について
特定技能1号と2号の評価試験については以下の通りです。
特定技能1号評価試験
項目 | 内容 |
---|---|
試験区分 | 全10区分 |
試験場所・試験日程 | 最新の情報はポータルサイトにて確認 |
試験時間 | 学科試験・実技試験あわせて80分 |
実施方式 | CBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式(学科・実技ともに実施) |
使用言語 | 日本語 |
試験水準 | 技能実習2号を修了し、特定技能1号試験が免除される者が受験する「技能検定3級」程度を基準 |
合否基準 | 学科試験:正答率65%以上実技試験:正答率60%以上 |
試験会場や日程の詳細については、以下のサイトをご確認ください。
▶ 参考:製造分野特定技能1号評価試験 - 試験案内|特定技能外国人材制度(製造3分野)
特定技能2号評価試験
項目 | 内容 |
---|---|
試験区分 | 全3区分 |
試験場所・試験日程 | 最新情報はポータルサイトにて確認 |
試験時間 | 実技試験のみ 80分 |
実施方式 | CBT(コンピューター・ベースド・テスティング)方式※実際の作業工程や材料に関連する設問から正しい答えを選択 |
使用言語 | 日本語 |
試験水準 | 技能検定1級程度を基準(2号特定技能外国人が現行の専門的・技術的分野の在留資格者と同等、またはそれ以上の専門性・技能を持つことを踏まえる) |
合否基準 | 正答率65%以上 |
試験会場や日程については下記サイトより確認できます。
製造分野の特定技能2号評価試験を受験するためには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 要件
- 受験前日までに、日本国内に拠点を持つ製造業の現場で3年以上の実務経験を有していること
- 申込時に「実務経験証明書」を事前に提出すること
特定技能2号評価試験の申し込み方法
特定技能2号評価試験の申し込み方法は次の通りです。
① 実務経験証明書を作成
受験者は、勤務先に実務経験証明書の作成を依頼します。
企業は依頼を受けた場合、必要事項を正確に記入し協力することが求められます。提出方法の詳細は以下のサイトをご確認ください。
参考:実務経験証明書|製造分野特定技能評価試験|特定技能外国人材制度(工業製品製造業分野)ポータルサイト
② 専用フォームから申請
経済産業省ポータルサイトにある「受験資格確認番号の取得申請(実務経験証明書の提出)」フォームより、受験資格確認番号の申請を行います。
専用フォーム:https://cbt.sswm.go.jp/mail
③ 事務局による書類確認
提出された申請内容は事務局にて確認されます。不備がある場合はメールで通知され、修正後に再度申請が必要です。
④ 受験資格確認番号の取得
書類に問題がなければ、受験者専用の「受験資格確認番号」がメールで交付されます。
※不備がある場合、希望する試験日までに番号が取得できない可能性があるため、早めの申請を推奨します。
⑤ 試験予約時の番号入力
プロメトリックの試験予約画面で、受験資格確認番号を入力します。
入力情報が事務局に申請した内容と一致しない場合、予約は完了できません。
製造業で特定技能外国人の受け入れ方法
製造業で特定技能外国人を受け入れるためには、日本国内の雇用とは異なる手続きや、必要書類の提出を求められます。
特定技能外国人の採用から企業で受け入れるまでの流れや、その中で行う手続きの注意点については下記で確認できます。

特定技能外国人を受け入れる際、必要書類を管轄の出入国在留管理局に提出します。必要書類は「申請人(特定技能を希望する外国人)に関する必要書類」「雇用企業に関する必要書類」「産業分野別に関する必要書類」の3種類があります。
それぞれの詳しい内容は下記で確認できます。

まとめ
特定技能「製造業」は、即戦力となる外国人材を確保し、人材不足の解消が期待できる制度です。受け入れできる業種や業務区分も拡大しており、需要も年々増加傾向です。
しかし、特定技能制度は複雑で、さまざまな手続きを求められます。受け入れできる業種や業務区分には制限があり、企業や外国人本人に求められる要件もあります。
自社での対応が難しい場合には、国内の人材紹介会社への相談をおすすめします。人材紹介会社は特定技能外国人の受け入れのノウハウを持っていますので、受け入れまでのプロセスを効率化し、受け入れ業務の負担を軽減できます。
今後、特定技能外国人の受け入れを検討しているという企業さまは、製造業特化のキャリアリンクファクトリーに一度ご相談いただけますと幸いです。
キャリアリンクファクトリーでは、お客様から人材需要を確認し、貴社の要望に沿った人材を国内・海外合わせてネットワークを駆使して募集します。当社にて1次選考したスタッフを貴社にご案内します。ミスマッチ防止のため「オンライン面談」もしくは「現地で事前面談」を実施していただき、双方の了承を得て申請手続きを開始します。
