技能実習制度の廃止と新制度はいつから?新制度創設検討や受け入れ企業への影響

外国人雇用
公開日:23.06.08/更新日:23.11.28
技能実習制度の廃止と新制度はいつから?新制度創設検討や受け入れ企業への影響

外国人が日本で働きながら技術を学ぶ技能実習制度は、発展途上国の人材育成を通じた国際貢献を目的として開始されました。全国の技能実習生は2022年6月末時点で33万人もの数となります。しかし、労働環境が厳しい業種を中心に人手を確保する手段になっているのが実態です。

制度の目的と実態が乖離していることでいくつかの問題が発生しており、対応として技能実習制度の廃止や新制度の創設が進められております。

技能実習制度の廃止・新制度創設は、技能実習生を受け入れしている企業に大きな影響を及ぼす可能性がありますが、内容や方向性を理解することで迅速な対応が可能です。

この記事では、技能実習生の受け入れを行っている企業が、技能実習制度の廃止・新制度に移行することで想定される影響と、人材不足の解消を技能実習生に依存している企業の対策について紹介させていただきます。

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技能実習制度とは

技能実習制度とは、技能・技術・知識を開発途上地域等へ移転し、経済発展を担う人づくりに寄与することで、国際貢献することを目的として1993年に創設された制度です。2017年11月、「外国人の技能実習の適正な実務及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」が施行され、新たな技能実習制度がスタートしました。

技能実習生は建設業・食品製造業・耕種農業・機械加工など87の職種で、最長5年間技能を実習しながら学ぶことができます。

出入国在留管理庁によりますと、技能実習生は2022年6月時点でおよそ33万人、その内の5割以上がベトナム人となっております。

引用:【在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表】 | 出入国在留管理庁

技能実習制度の在留資格は、技能実習1号〜3号の3つがあります。最初は技能実習1号から始まり、実技・学科試験に合格することなど一定の要件を満たすことによって2号・3号と進み、最長5年まで在留することができる制度の仕組みとなっています。

技能実習生は技能を習得することが目的であり、労働者ではなく実習生に分類され、受け入れ企業に所属しているが、労働者としての雇用関係にはないのが一般的です。

技能実習制度の問題点とは

技能実習制度の問題点とは

途上国への技術移転という目的で創設された技能実習制度ですが、現在の実態としては労働力の確保が目的となっているケースが多く、目的と実態が乖離(かいり)していることでいくつかの問題が発生しております。

技能実習生が実習生として扱われていない

技能実習生として扱われるはずが、多くの企業では人手不足を補う労働力として扱われている実態があります。しかしながら、制度上では技能実習生は「労働者」ではなく「実習生」に分類されており、実習先が決まった後の転職(転籍)は原則不可となっております。

転職(転籍)ができないことによる問題点

実習先企業によっては、違法な低賃金の給与設定、長時間労働の強要、暴力やパワハラなどの扱いを受ける場合があります。

日本人や外国人労働者の場合は転職することができますが、技能実習生が違う実習先に移ることは原則不可となっております。企業へ実習生の仲介やトラブルが起きた場合に対応を行う「監理団体」が存在しますが、監理団体によっては技能実習生が実習先で発生した問題を相談しても、対応されないケースが発生しております。

その場合、同じ実習先で実習期間が終了するまで我慢するか、職場から逃げ出すしかない状態となり、2021年に実習先の職場から逃げ出した技能実習生の数はおよそ7000人にのぼります。

引用:技能実習制度の現状 (不正行為・失踪)

技能実習制度の廃止・新制度はいつから?

技能実習生に対する問題を解決するため、2022年11月に政府の有識者会議が設置され、技能実習制度の廃止や新制度の創設が進められており、2022年12月から4回にわたって議論が行われてきました。

2023年4月に発表された中間報告では、技能実習にかわる新制度は特定技能への移行を念頭に置いたうえで検討を進めていき、2023年秋に最終報告をまとめ、正式な変更は2024年以降の予定となっております。

技能実習制度の廃止・新制度創設は、技能実習生を受け入れしている企業に大きな影響を及ぼす可能性があり、内容や方向性を理解し早期に対応策を検討することが重要です。

  • 技能実習制度見直しを巡る中間報告の主な内容(2023年4月)
  • 制度目的と運用実態が乖離している⇒技能実習制度を廃止する方向
  • 人手不足が深刻化し技能実習生が貴重な労働力となっている⇒人材確保と人材育成を目的とする新制度の創設
  • 転籍できないことで悪質な実習先企業から離れられず人権侵害を助長する可能性がある⇒転籍の制限を緩和する
  • 新制度の対象業種や分野は特定技能制度(人手不足の分野で外国人の労働が認められる在留資格)と一致させ、外国人労働者が中長期的に活躍できる制度の構築を図る
  • 不適切な就労を放置するなど悪質な監理団体がある⇒技能実習制度の管理団体に対する認定要件を厳格化する

受け入れ企業への影響

技能実習制度が廃止され新制度が創設することで、目的と実態の乖離が是正されることが期待されます。

一方、新制度が創設されることで、人材の確保を目的として技能実習生の受け入れを行っていた企業に影響を及ぼす可能性があります。

技能実習生の受け入れ先企業は、技能実習生が海外から渡航する際に発生する費用や、住居に関する支援、入国後の日本語の講習料などの費用を負担し、受け入れ後も日本で生活・技能実習をするサポートを行っているケースが多く、技能実習生の受け入れは一般的な求人と比較しても費用が高く、手間がかかることが一般的です。

現在は受け入れ後の転職(転籍)が原則不可となっており、技能実習生の定着率は高い傾向にありますが、今後転職(転籍)が可能となれば、受け入れた技能実習生が給料の高い都市部の企業や賃金の高い業種などに転職(転籍)してしまう可能性があります。

受け入れを行った技能実習生の転職(転籍)が可能となれば、受け入れを行うメリットが少なくなり、技能実習生の受け入れ自体が立ちゆかなくなる可能性があります。

人材不足の解消を技能実習生に依存している企業の対策

人材不足の解消を技能実習生に依存している企業の対策

技能実習制度の変更内容によってはこれまで通りに技能実習生の受け入れ・就労ができなくなる可能性があり、技能実習生に人材不足の解消を依存している企業は人手不足に陥る可能性があります。

人手不足に陥ると、顧客・従業員満足度の低下、それによって生産性が下がり、気がついた時には企業経営にとって取り返しがつかない状態まで進んでしまう可能性があります。このような深刻な影響も起こりえますので、人手不足を補うための対応を検討することが大切です。

人材派遣を導入する

派遣会社には多くの派遣社員が雇用・登録されており、派遣社員の導入を行うことで、人手不足の解消が期待できます。同業種の経験がありスキルのある派遣社員をマッチングすることができるケースもあります。繁忙期や突発的な業務の対応で期間的に人手が必要な場合には登録型(一般)派遣を依頼し、長期的に人手が必要な場合には常用型派遣や紹介予定派遣の依頼を行うことが効果的です。

紹介予定派遣では、実際に働いている様子を見た後で直接雇用を行えるので、直接雇用後のミスマッチが起こりにくくなります。

また、採用・雇用を行うには、求人募集・面接対応・入社手続き・労務管理・退職処理など、膨大な手間と広告費や人件費のコストが発生します。しかし、派遣社員を導入すると、求人や雇用に関することは派遣会社が行うため、自社の手間やコストを大幅に低減できることが期待できます。

人材派遣の導入に関しては下記の記事にて詳しく紹介しております。是非合わせてご覧ください。

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外国人インターンシップとは、大学在学中の外国人学生が企業研修に出向き「会社がどのようになっているのか」「どんな仕事をするのか」「どういう人間関係があるのか」などを働きながら実践的に学ぶ制度です。

少子化の影響によって日本人の労働力が減少しており、人手不足を補うため外国人を積極的に採用している企業も多くなっております。

外国人インターンシップ制度は、優秀な留学生や外国人労働者を日本の企業に引き込む貴重な手段です。異なる文化やバックグラウンドを持つ人材が企業に参加することで、多様性が生まれ、創造性やイノベーションが促進されます。

また、異文化の理解や国際的な視点を持つ人材の参加は、グローバルな展開を目指す企業にとって非常に価値のある資源となります。

真面目な外国人大学生がインターンシップ制度を通じて就労することで、人手不足の解消が期待できます。

外国人インターンシップ制度を導入するには、海外の大学とパートナーシップの構築や、申請書類の適切なサポート体制を整備するなど、ハードルが高いことも事実です。

導入にはハードルが高いと感じる場合、外国人インターンシップ制度を導入している人材紹介会社にアウトソーシング化することで効率的に導入を進められる場合があります。

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まとめ

人手不足を補うために技能実習生の受け入れを行っている企業には技能実習制度の廃止が検討されている中、今後の内容や方向性を把握していくことは大切です。また、人手不足は企業にとって深刻な問題となる可能性があり、採用から教育にかかる時間を考えると早めに対応を進めることが大切です。

人手不足を補う方法を1つの方法に依存すると、その方法で人手不足が補えなくなった場合に他の方法を取り入れるまで時間がかかるため、従来から複数の人手不足を補う方法(人材派遣や外国人インターンシップ生など)を検討しておくことをおすすめいたします。