外国人労働者の受け入れ制度とその条件とは?在留資格による違いや受け入れ方法を紹介
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日本人の少子高齢化の進行や、日本人の労働人口の減少により、人手不足問題は年々深刻になっております。
そんな中、外国人労働者の受け入れを検討している企業も多いのではないでしょうか。
人手不足の解消に有効的な手段であるため、外国人労働者数や受け入れ企業は年々増加しております。
しかし、外国人労働者の受け入れをどのように行えば良いか、制度や条件がわからないといった企業も多いのではないでしょうか。
外国人労働者の在留資格によって、受け入れ可能な業種や期間は異なります。そのため、あらかじめ受け入れ条件や制度を理解しておくことが大切です。
この記事では、外国人労働者の受け入れ状況や制度、受け入れるまでの流れを紹介いたします。
- 記事の要約
- 外国人労働者数2,302,587人、前年比+253,912人で過去最高更新(令和6年10月末時点)
- 受け入れ事業所数342,087所、前年比+23,312所増加、過去最高更新
- 国籍別=ベトナム約57.0万人(24.8%)、中国約40.8万人(17.8%)、フィリピン約24.5万人(10.7%)
- 在留資格別=専門的・技術的分野718,812人(+20.6%)、身分に基づく629,117人(+2.1%)、技能実習470,725人(+14.1%)、資格外活動398,167人(+12.9%)、特定活動85,686人(+19.5%)
- 2019年創設の特定技能制度により16分野で就労可能、特に介護・建設・製造で増加傾向
- 受け入れステップ=①条件と資格の選定 ②採用活動 ③在留資格確認 ④労働条件調整・契約締結 ⑤就労開始・更新サポート
- メリット=即戦力確保、多言語対応、助成金活用、海外進出支援
- デメリット=文化摩擦、言語障壁、手続き負担、就労開始までの時間
- 注意点=平等待遇の徹底、文化理解、生活支援体制の整備
目次
外国人労働者の受け入れ状況
厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末現在)では、外国人労働者数は2,302,587人で前年比253,912人増加となっております。
届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新しております。
外国人労働者数が過去最高を更新した背景には、外国人労働者に対する企業のニーズが高まっていることが考えられます。
外国人を雇用する事業所数は342,087所で前年比23,312所増加、こちらも届出義務化以降、過去最高を更新しています。対前年増加率は7.3%と前年の6.7%から0.6ポイント上昇しました。
外国人労働者数が多い上位3か国は、ベトナムが最も多く約57.0万人(全体の24.8%)、次いで中国が40.8万人(同17.8%)、フィリピンが24.5万人(同10.7%)の順となります。
在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」が届出義務化以降、初めて最も多くなり718,812人、前年比122,908人(20.6%)増加、次いで「身分に基づく在留資格」が629,117人、前年比13,183人(2.1%)増加、「技能実習」が470,725人、前年比58,224人(14.1%)増加、「資格外活動」が398,167人、前年比45,586人(12.9%)増加、「特定活動」が85,686人、前年比14,010人(19.5%)増加しました。
参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)|厚生労働省
外国人労働者の受け入れ制度とは

外国人労働者は、出入国管理及び難民認定法(入管法)で定められている在留資格の範囲内でのみ、日本での活動が認められています。
在留資格によって、受け入れ可能な業種や期間が異なります。在留資格は29種類あり、そのうち働くことができる在留資格は17種類です。(2025年8月時点)
また、在留資格は「身分に基づく在留資格」、「専門的・技術的分野の在留資格」、「技能実習」、「資格外活動」、「特定活動」の5つに分類されます。それぞれについて詳しく紹介いたします。
身分に基づく在留資格
身分に基づく在留資格には「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」の在留資格が含まれます。
就労活動に制限がない在留資格として扱われ、就労の制限がありません。日本人と同様にどんな仕事にも就くことができ、単純作業労働の就業も可能です。
在留資格の特性上、日本語が堪能で、日本の文化に馴染んだ外国人労働者も多い傾向があります。
専門的・技術的分野の在留資格
専門的・技術的分野の在留資格には、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職1号・2号」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「介護」、「興行」、「技能」、「特定技能」が含まれます。
「専門的・技術的分野の在留資格」をもつ外国人労働者は技術、人文知識、国際業務、経営、法律、会計業務、医療などの専門家で、「高度人材」と呼ばれます。
グローバル化や技術の向上などを在留目的としており、単純労働は認められていません。
個々が取得している在留資格によっても差がありますが、概ね5年以内の就業が許可されています。
技能実習
技能実習とは、技能・技術・知識を開発途上地域等へ移転し、経済発展を担う人づくりに寄与することで、国際貢献することを目的に1993年に創設された制度です。
2017年11月、「外国人の技能実習の適正な実務及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」が施行され、新たな技能実習制度がスタートしました。
建設業・食品製造業・耕種農業・機械加工など87の職種で、最長5年間技能を実習しながら学ぶことができます。
技能実習は1号・2号・3号があり、それぞれ技能実習の区分を示すものです。技能実習1号からスタートし、規定を満たした技能実習生が技能評価試験に合格することで、2号、3号に進むことができるのです。
技能を実習できる期間は区分により異なり、技能実習1号は1年、2号は3年、3号は5年まで在留活動を行えます。


資格外活動
身分に基づく在留資格に該当しない外国人は、在留資格に含まれていない収益活動は禁止されています。
しかし、臨時的な収益活動を行うにあたり、あらかじめ資格外活動の許可を得た場合は許可された範囲で収益活動を行うことができます。資格外活動の在留資格は臨時的な収益活動を行う許可制度です。
例えば、働くことが認められていない「留学生」や「家族滞在」で在留する外国人が、臨時的にアルバイトで働いた場合、不法就労として罰せられます。資格外活動の申請を行い、許可を得た場合には、アルバイトで働くことが可能です。
また、留学生は学費を補う目的でアルバイトをする場合、一般的な資格外活動の許可とは異なる取扱いがなされ、包括的な資格外活動の許可を受けることができます。
稼動時間の制限があり、原則、1週間あたり28時間まで、学則による長期休業期間(夏休みや冬休みなど)は1日8時間まで拡大されます。
特定活動
特定活動とは、その他の在留資格に該当しない外国人個人の事情と在留資格申請の条件に対して、法務大臣が許可する在留資格です。
例えば、コロナ過の特別処置で帰国が困難な外国人に対して、6ヶ月の特定活動を認めるといった場合に活用されます。特定活動によって、政府は法改正(出入国管理及び難民認定法)することなく日本に在留可能な活動の許可ができます。
特定活動で認可される該当例には「ワーキングホリデー」や「インターンシップ」があります。
在留資格別の外国人労働者数
在留資格 | 労働者数(人) | 前年比(人) | 増減率 |
---|---|---|---|
身分に基づく在留資格 | 629,117 | 13,183 | 2.14% |
専門的・技術的分野の在留資格 | 718,812 | 122,908 | 20.6% |
技能実習 | 470,725 | 58,224 | 14.1% |
資格外活動 | 398,167 | 45,586 | 12.9% |
特定活動 | 85,686 | 14,010 | 19.5% |
合計 | 2,302,587 | 253,912 | 12.39% |
参考:「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和5年10月末時点)
参考:「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和6年10月末時点)
外国人労働者の増加要因には受け入れ制度の拡大も関係
届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新している外国人労働者の増加要因として、人手不足に陥った企業のニーズが高まっていることの他、受け入れ制度の見直しも要因の1つとして考えられます。
外国人労働者受け入れ制度の拡大として、2019年4月に新たに導入された「特定技能」があります。
特定技能とは、国内人材の確保が困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的に創設された在留資格です。
創設されたことで、外国人労働者が新たに16分野の業種で働くことが認められます。(16分野の業種:介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業)
新設されたことで、特定技能が分類される「専門的・技術的分野の在留資格」を持つ外国人労働者は、前年対比20.6%と最も高い増加率で急増しているのです。
特に介護、建設、農業、製造業など、国内の労働力が不足している分野で、外国人労働者が増加しております。

外国人労働者を受け入れるまでのステップ

対象となる外国人労働者によって受け入れる方法は異なりますが、大まかなステップは以下の流れとなります。
受け入れ条件と在留資格を選定
業務内容や雇用したい期間によって、受け入れできる在留資格が異なる場合があります。まずは外国人労働者を受け入れする企業の募集内容を確認します。条件に合った在留資格を選定し、採用活動に繋げていきます。
採用活動
外国人労働者の採用活動は、既に国内に居住している人を対象にすることや、海外で居住している人を対象に活動することができます。
海外での採用活動は国々の知識や労力が必要ですが、国内より多くの外国人労働者をターゲットにできます。自社で採用活動することが難しい場合は、外国人労働者の採用に特化した人材会社を活用すると良いでしょう。
もし製造業で外国人派遣をご検討される方は、キャリアリンクファクトリーにご相談下さい。特定技能、インターンシップなどでの派遣が可能です。どの在留資格が自社の募集要項に適しているのか分からないといったことも、アドバイス可能です。
在留資格の確認
外国人労働者の受け入れ前に、適切な在留資格を持っているかを確認する必要があります。在留資格がない外国人労働者を就業させてしまうと、不法就労罪の罪に問われる可能性があります。
在留資格の理解を深め、取得状況を確認することはとても重要です。口頭のみの確認とせず、必ず原本を確認しましょう。

労働条件の調整と雇用契約の締結
外国人労働者を受け入れする場合、労働条件の調整と雇用契約の締結が欠かせません。給与や労働時間、休暇制度、福利厚生など、適切な労働条件を提供し、日本の労働基準法や外国人雇用管理規程などの法律を遵守した雇用契約書を作成し締結しましょう。
受け入れ開始と在留資格更新のサポート
永住者以外の在留資格は一定期間で更新が必要となります。受け入れ開始後も、外国人労働者の在留資格更新手続きをサポートし、在留資格の更新を確認しましょう。継続して働ける環境を整えることは、外国人労働者と信頼関係を築きながら長期的な雇用を促進します。
外国人労働者を受け入れることで得られる主なメリット
外国人労働者の受け入れは、単なる人手不足の穴埋めにとどまりません。現場の即戦力確保や国際感覚の向上、経済的なメリット、さらには海外展開の足掛かりになるなど、企業の成長戦略に直結する効果があります。ここでは、その代表的なメリットを具体的に紹介します。
人手不足解消に直結する即戦力の確保
少子高齢化による労働人口の減少は、多くの業種で深刻な人手不足を引き起こしています。特に製造業や介護、建設業などでは、外国人労働者の採用によって不足分を補い、現場の稼働を維持することが可能です。
必要なスキルや経験を持つ人材を採用できれば、教育期間を短縮し即戦力として活躍してもらえる点も大きな魅力です。
訪日外国人や海外取引にも対応できる多言語コミュニケーション力の向上
外国人労働者の採用は、社内の語学力向上や多文化理解にもつながります。観光業や飲食業など訪日外国人と接する機会が多い業種では、現場に多言語対応できるスタッフがいることで顧客満足度の向上が期待できます。
また海外企業との取引や交渉でも、外国人スタッフが社内の橋渡し役を担うことができます。
雇用コストの最適化と助成金制度の活用による経済的メリット
外国人労働者の雇用にあたっては、政府や自治体が提供する各種助成金・補助金制度を活用できる場合があります。これにより、採用コストや研修費用の一部を軽減することが可能です。
また職種や雇用形態によっては、採用市場の競争率が低く、人材確保をより効率的に行えるケースもあります。
海外進出や国際ビジネス展開への足掛かりになる人材獲得
海外進出を目指す企業や、既に海外拠点を持つ企業にとって、外国人労働者は現地市場や文化を理解した貴重な戦力です。
彼らのネットワークや知見を活かすことで、新規市場への進出や現地での事業展開をスムーズに進められる可能性があります。
外国人労働者を受け入れる際に考慮すべき主なデメリット
外国人労働者の採用は多くの利点がある一方で、文化や言語の違い、法的手続きの煩雑さなど、事前に理解しておくべき課題も存在します。
これらを把握せずに採用を進めると、現場の混乱や離職につながる可能性があります。ここでは代表的なデメリットとその背景を解説します。
文化や生活習慣の違いによる職場での摩擦
宗教や食習慣、休日の過ごし方など、文化的背景の違いは職場内の誤解やトラブルの原因になることがあります。事前に社内研修やマニュアルを整備し、互いの文化を尊重し合う環境を作ることが重要です。
言語や表現の違いから生じる意思疎通の難しさ
日本語能力が十分でない場合、業務指示の理解や安全管理の徹底が難しくなることがあります。業務マニュアルの多言語化や、ピクトグラム(絵文字)を使った指示書の活用が効果的です。
外国人雇用特有の手続きや法令順守への対応負担
外国人を雇用する場合、在留資格の確認や入管法に基づく手続き、外国人雇用状況届出など、通常の採用よりも多くの事務作業と法令順守が求められます。これらを怠ると罰則の対象となるため注意が必要です。
受け入れ体制の構築や就労開始までに時間を要するケース
海外から採用する場合、ビザ取得や渡航手続きに時間がかかります。また受け入れ後も生活支援や研修が必要になるため、採用から実際の稼働までの期間をあらかじめ想定しておくことが大切です。
外国人労働者受け入れにおける課題
受け入れ制度が整いつつある中でも、外国人労働者の雇用には構造的な問題や社会的課題が残されています。低賃金労働力としての誤った扱いや、差別・偏見といった人権問題は、企業としての信頼にも関わる重要なテーマです。ここでは、その代表的な課題を整理します。
低賃金労働力として見られやすい構造的問題
外国人労働者が安価な労働力として扱われるケースは、離職やトラブルの原因となります。適正な賃金と労働条件を提供し、企業の信頼性を損なわない体制を構築する必要があります。
外国人労働者への差別や偏見の存在
国籍や人種を理由にした差別や不当な扱いは、企業の評判や職場環境に悪影響を与えます。多様性を尊重する企業文化の醸成が不可欠です。
外国人労働者を受け入れる際の重要な注意点
外国人労働者の雇用を成功させるためには、法律上の義務を守るだけでなく、文化的背景への理解や生活面での支援も欠かせません。
採用前から定着までを見据えた受け入れ体制を整えることが、長期的な雇用関係構築の鍵となります。ここでは、特に重要な注意点を紹介します。
国籍や人種に基づく差別の禁止と平等な待遇の確保
雇用の場においては、すべての労働者を平等に扱うことが法律で求められています。賃金、昇進、福利厚生などで不平等がないよう徹底しましょう。
文化や仕事観の違いを理解し尊重する姿勢の重要性
外国人労働者の価値観や習慣を理解することは、長期的な雇用関係の構築に直結します。定期的な面談や意見交換を通じて、相互理解を深めることが大切です。
生活面を含めた総合的な受け入れ支援体制の整備
住居の手配や生活オリエンテーション、日本語教育のサポートなど、職場外での支援体制も重要です。生活の安定は、就労意欲や定着率の向上につながります。
まとめ
日本人の労働力人口が減少していく中、外国人労働者の受け入れは人手不足の解消に不可欠です。
しかし外国人労働者の受け入れには、外国人の採用活動や就業資格の確認、法令を遵守した雇用や雇用後のサポートと、多くの専門知識と労力を有します。
自社で対応することが難しい場合は、外国人労働者の採用に特化した派遣会社を活用することで、採用・雇用に関する負担を削減しながら外国人の受け入れを進めることが可能です。
もし外国人労働者の受け入れについてお悩みの場合、キャリアリンクファクトリーにご相談頂けますと幸いです。
