特定技能外国人を受入する9つのメリットと9つのデメリットの解決策を紹介
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近年、日本の製造業界は深刻な人手不足や熟練労働者不足の課題に直面しております。その背景には、少子高齢化の影響による日本人の労働人口の減少があります。
解決策として注目されるのが、外国人労働者の活用です。特に、国内の労働力不足や国際競争力を強化するために導入された「特定技能」という制度は、人手不足の様々な産業分野で長期的に在留し、働くことができます。
また、特定技能の在留資格で働くためには、日本語能力水準・技能水準の両方の試験に合格する必要があり、言語や技能レベルの高い即戦力の確保が期待できるからです。
人手不足と技能レベル低下の両方が解消できる特定技能は、外国人雇用の選択肢としてニーズが高まっております。
しかし、外国人の受け入れや特定技能制度の活用に対し、言語や文化の違い、制度の複雑さなどの問題を抱え、導入を見送っている企業も多いのではないでしょうか。
デメリットとも思える課題は、問題を正しく理解し適切に対応することで解決することができます。
この記事では、特定技能制度により受け入れが緩和された外国人の受け入れに対し、具体的なメリットと、デメリットの解決方法を紹介いたします。
在留資格「特定技能」とは
「特定技能」とは、外国人労働者が特定の産業分野で働くための在留資格です。外国人労働者受け入れ制度の拡大を目的に、2019年4月に創設されました。しかし、特定技能の在留資格とはどのような制度なのでしょうか。次に具体的な内容を紹介いたします。
特定技能制度には1号と2号の2つのカテゴリーがある
特定技能制度は、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つのカテゴリーに分類されますが、いずれも外国人労働者が特定の産業分野で従事するための在留資格です。
特定技能1号は、特定の産業分野で中級レベルの技能や知識、経験を必要とする職種に焦点を当てています。外国人労働者は、一定の水準の業務を遂行する能力があると認められている必要があります。
特定技能2号は、より高度な専門技能や熟練を要求される職種に適用されます。特定技能1号よりも専門的・技術的な業務の高度な遂行や、業務管理能力が求められます。
また、新たな外国人労働者の受け入れでは、特定技能1号からのスタートとなります。既に日本に在留している優秀な人材も、直接特定技能2号を取得することはできません。
特定技能制度の受け入れ可能な業種
特定技能の在留資格で受け入れできる対象分野は、特定技能区分により異なります。
特定技能1号では、12分野(介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業)で受け入れ可能です。
特定技能2号では、介護を除いた11分野で受け入れ可能です。
特定技能の受け入れ条件
特定技能制度を活用するには、受け入れする外国人労働者が特定技能の条件を満たしている必要があります。条件としては、日本語能力試験の合格、関連する技能試験の合格、健康状態のチェックなどが含まれます。
また、外国人労働者の労働条件と権利を保証するため、在留資格を取得する前に受け入れ企業と外国人労働者は雇用契約を結ぶ必要があります。
特定技能外国人を受け入れする9つのメリット
特定技能制度は、外国人労働者の受け入れを通じて多くのメリットをもたらします。受け入れ企業のメリットをそれぞれ紹介いたします。
多様な働き方ができるため労働力不足の解消に繋がる
特定技能外国人を受け入れることで、人手不足が深刻化する日本企業が、問題解決を進める有効的な手段です。国内人材の確保が困難な状況にある幅広い産業分野が受け入れ対象となっており、多くの企業で受け入れが進んでおります。
受け入れ対象分野の詳細は、出入国在留管理庁HPで確認できます。
参考:特定技能制度とは | 特定技能総合支援サイト | 法務省出入国在留管理庁
即戦力となる熟練労働者の受け入れが期待できる
特定技能の在留資格を取得するには、相当程度の知識または経験が必要とされており、関連する技能試験の合格が必要です。制度の特性上、受け入れする特定技能外国人は一定以上の特定技術や専門知識を持っており、即戦力として課題解決に繋がる有効的な手段と考えられます。
また、特定技能外国人によって労働力不足が解消されることで、日本人の労働者がより高度な業務に集中できるようになり、全体的な生産性の向上が見込まれます。
熟練労働力不足に陥っている業種にとって、貴重な即戦力の確保が期待できます。
職場のグローバル化が進む
製造業を行っている多くの企業で、諸外国との取引が存在するかと思います。そのような職場において、グローバル化は目指すべき形の1つです。外国人労働者の受け入れは、言語や文化・習慣を共有できます。その結果、海外取引先企業との関係性構築や集客など様々な機会をもたらし、競争力を高める手助けとなる可能性があります。
また、海外に製造拠点を設ける場合にも、進出する国の外国人労働者を受け入れしていれば、大きな戦力になるのです。
特定の技術や専門知識を持った特定技能外国人の受け入れは、職場のグローバル化において非常に効果的な手段です。
日常会話レベルの日本語能力がある人材を確保できる
特定技能を取得するには、技能試験合格のほかに、日本語能力試験のN4(日常レベルの文章理解やゆっくりなら会話が理解できるレベル)の合格が必須です。初歩的な日本語を教育する必要がなく、ある程度はコミュニケーションを取れる人材を確保できます。
短期間での離職リスクが低い
特定技能は条件をクリアすれば、転職は認められています。しかし、技能資格を持つ分野間での転職に限るため、転職が活発に行われることはあまりありません。
フルタイムでの雇用が可能
特定技能以外の資格は、週の労働時間に限りがあるため、アルバイトしかできないことがほとんどです。しかし、特定技能外国人はフルタイムでの雇用も可能で、日本人同様の仕事を与えることが可能です。
技能実習生を特定技能として採用も可能
既に雇用している技能実習生を特定技能へ在留資格を変更してもらうことで、そのまま特定技能外国人として受け入れることも可能です。技能実習を「良好に終了」することで技能試験と日本語試験は免除されます。
※ただし、育成就労制度への変更に伴い、制度変更の可能性がございます。
特定技能2号に移行で5年以上の雇用が可能
特定技能2号は就労期間に制限はないため、5年以上の雇用が可能です。ただし、建設、造船・舶用工業、農業、漁業、宿泊業、飲食料品製造業、外食業、航空業、自動車整備業、製造業(工業製品製造業)、ビルクリーニング業に限ります。
今後は、自動車運送業や鉄道、林業、木材産業の4分野が追加される予定です。
雇用人数の制限がなく、多くの人材を受け入れられる
特定技能の業種のほとんどは受け入れ人数に制限を設けていません。なお、介護分野と建設分野に関しては、企業ごとに受入人数の制限がありますので、ご注意ください。
特定技能外国人の受け入れデメリット
特定技能制度は製造業界に多くのメリットをもたらす一方で、いくつかの課題も存在します。言語や文化の違い、制度の複雑さには、特に注意が必要な問題点です。これらの課題と解決策についてそれぞれ紹介いたします。
義務的支援を行わなければならない
特定技能外国人を受け入れする企業は、特定技能外国人が日本で充実した生活を送るために、義務的支援が定められております。義務的支援の対象は特定技能1号の外国人となり、特定技能2号の外国人は義務とされていません。
義務的支援は以下の10項目となります。
- 義務的支援の10項目
- 事前ガイダンス
- 出入国する際の送迎
- 住居確保・生活に必要な契約支援
- 生活オリエンテーション
- 公的手続等への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 転職支援(人員整理等の場合)
- 定期的な面談・行政機関への通報
義務的支援の詳細は下記の記事で紹介しております。あわせてぜひご覧ください。
言語と文化の壁
外国人労働者の受け入れにおいて、言語や文化の違いはコミュニケーションにおける大きな壁となり、課題に感じる場面が多いのが実態です。
しかし、特定技能制度では日本語能力試験の合格が必要であり、一定レベルの言語能力を有する労働者が確保されます。言語が通じやすいため、コミュニケーションを取りやすいという特徴もあります。
受け入れ先の国によって文化の違いは発生しますが、言語が通じるメリットを活用し、文化的な課題を軽減していくことが大切です。
特定技能制度の複雑さ
特定技能制度は、適切な候補者の選定や在留資格の手続き、住居の確保といった複雑な要素を含んでおり、特に小規模企業や、特定技能を初めて活用する企業にとっては、大きな負担になる可能性があります。
受け入れ前には、面接や雇用契約締結、事前ガイダンスなどの実施が必要です。該当する外国人は査証(ビザ)が発給されるまで原則として日本に渡ることができませんので、現地(海外)で行う場合もあります。
また、受け入れ後にも、義務的支援や在留資格更新手続きなどの義務が発生し、多くの手間と複雑な制度に対応するノウハウが必要です。
しかし、人材紹介会社のサービスを活用することで、これらのプロセスを効率化し、特定技能外国人の受け入れに関連する負担を軽減できます。自社で手間をかけたくない、対応が難しいといった場合には、国内の人材紹介会社の活用が効果的です。国内の人材紹介会社にサポートを依頼することで、特定技能に関するノウハウが乏しく、実施する余力の無い場合においても適格なサポートを受け、優秀な即戦力となる外国人も受け入れが期待できます。
特定技能外国人を集めにくい
日本語試験や技能試験に合格した人材というハードルがあるため、特定技能の資格を持つ外国人の数には限りがあります。そのため、なかなか特定技能外国人を集めにくいというデメリットもあります。
転職されてしまう可能性がある
技能資格を持つ分野間での転職に限りますが、特定の条件をクリアすることで転職することができます。ただし、日本人のように他分野への転職は難しいため、転職リスクは低いです。
特定技能1号の雇用期間は最長5年
特定技能1号に限りますが、雇用期間は最長5年と定められています。特定技能2号への移行で就労期間に制限はなくなりますが、特定の分野のみに限ります。
日本人と同等の労働条件や報酬が必要
特定技能は農業や漁業の分野を除き、正社員として直接雇用することになります。特定技能外国人を雇用する場合は、同じ会社で働く同等の経験を持つ日本人と同じ、もしくはそれ以上の条件で雇用しなければなりません。特定技能制度は安価で労働力を確保するための在留資格ではないため、ご注意ください。
人材紹介料は高い
特定技能外国人を雇用する際、自社で申請や書類の準備などを行う方法と、人材派遣会社が申請や書類準備などを代わりに行う場合があります。多くは後者で行うことが多く、その際に人材派遣会社への手数料を支払わなければなりません。
手数料は特定技能外国人の年収の2~3割程度が相場とされており、費用が多くかかります。
受け入れ後も管理が必要
特定技能外国人を受け入れるだけで終わりではありません。受け入れ後の支援や定期的に地方出入国在留管理署に受入状況の報告を求められます。
特定技能制度と外国人受け入れの必要性
少子高齢化の影響で、日本人の労働力は年々減少傾向です。総務省統計局の労働力人口によると、2003年から2023年の20年間で日本人の労働力人口は173万人も減少し、平均年齢は約49歳と世界で2番目に高齢化が進んだ国となっております。
一方、全世界の人口は発展途上国を中心に増加傾向で、平均年齢も日本と比べて若い実態です。日本人の人口減少という課題を解決するため、外国人の受け入れは有効的な手段であり、特に日本語能力や関連する技能試験の合格が条件となる特定技能は、受け入れする外国人が即戦力となりやすく、今後そのニーズはより増加していくと考えられます。
まとめ
特定技能制度を活用した外国人労働者の受け入れは、人手不足が進む日本の製造業界にとって多くの課題を解決できる有効的な手段です。特定技能制度は人手不足の解消に繋がるだけではなく、必要な技能を持った即戦力となる人材の確保や、国際競争力の強化が期待出来るのです。更に新たなイノベーションを促進し、業界の発展を加速することができます。
しかし、特定技能制度は、候補者の選定や在留資格の手続きといった複雑な要素を含んでおり、受け入れ企業にとっては大きな負担になる可能性があります。自社での対応が難しい場合には、人材紹介会社への相談がおすすめです。受け入れニーズに応じての提案を受けられるほか、これらのプロセスを効率化し、特定技能外国人の受け入れに関連する負担を軽減できるからです。
キャリアリンクファクトリーでは、特定技能のサービスを提供しております。人材不足で特定技能外国人の受け入れをご検討中の場合、まずはお気軽にご相談ください。