特定技能を自社支援に切り替えできる?企業や支援責任者の要件や必要な書類について紹介

外国人雇用
公開日:24.04.24/更新日26.09.16
特定技能を自社支援に切り替えできる?企業や支援責任者の要件や必要な書類について紹介

「登録支援機関に毎月2〜3万円、10名で年間300万円近く。これを自社でできないだろうか」

特定技能の自社支援とは、登録支援機関に委託せず、受入れ企業が自ら1号特定技能外国人への義務的支援10項目を実施する体制のことです。結論から申し上げると、切り替えは可能です。そして多くの記事が「企業に外国人の受入れ実績があり、かつ担当者に生活相談の経験もあること」と書いていますが、これは正確ではありません。省令が求めているのは「いずれかに該当すること」です。実績がなくても、経験者を選任できれば要件を満たせるルートがあります。

この記事では、自社支援の要件を3つのルートに整理し自社がどれで満たせるかを判定する方法、支援責任者・支援担当者に求められる条件と製造業でありがちな落とし穴、2026年1月に施行された行政書士法改正が自社支援の判断にどう効いてくるかを整理します。

  • この記事の要点
  • 自社支援への切り替えは可能。省令の支援体制基準を満たし、届出を行えばよい
  • 支援体制の基準はイ・ロ・ハのいずれかに該当すればよく、すべてを満たす必要はない
  • 受入れ実績がない企業でも、生活相談等の経験がある役職員を選任すれば要件を満たせる
  • 支援担当者は「事業所ごとに1名以上」の選任が必要。1名確保すれば足りるわけではない
  • 支援責任者は支援担当者を兼任できる
  • 支援実施状況の届出は2025年4月改正で年1回に変更された(旧・四半期ごと)
  • 2026年1月施行の行政書士法改正により、自社で作成し自社で申請する体制はむしろ安全になった

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目次

特定技能は自社支援に切り替えできる?

結論|切り替えは可能

特定技能外国人への支援は、登録支援機関への委託から自社支援へ切り替えられます。必要なのは、省令が定める支援体制の基準を満たすことと、出入国在留管理庁への届出です。

途中からの切り替えも、最初から自社支援で始めることも、どちらも可能です。また、支援の一部だけを委託し、残りを自社で行うという形も認められています。ただしその場合も、受入れ企業自身が支援体制の基準を満たしている必要があります。

自社支援と登録支援機関への委託の違い

項目自社支援登録支援機関に全部委託
費用社内人件費のみ1人あたり月2〜3万円程度
支援体制の基準受入れ企業が満たす必要あり登録支援機関が満たしていればよい
支援責任者・支援担当者自社で選任登録支援機関が選任
支援計画書の作成自社受入れ企業(委託時も原則自社作成)
義務的支援10項目の実施自社登録支援機関
定期届出(支援実施状況)自社受入れ企業が提出(登録支援機関は提出できない)
ノウハウの蓄積社内に残る社外に残る

見落とされがちですが、支援計画書の作成は、登録支援機関に全部委託している場合でも原則として受入れ企業が行うものです。「全部委託だから何もしなくていい」わけではありません。行政書士法改正とあわせて、ここは重要な論点になります。

支援義務があるのは特定技能1号のみ

義務的支援の対象は特定技能1号の外国人だけです。特定技能2号に移行した外国人には支援計画の策定・実施義務がありません。

つまり、2号への移行が進めば支援対象者は減り、自社支援の負担も委託費用も自然に縮小していきます。5年後の人員構成を見据えて判断することをお勧めします。

自社支援の要件|3つのルートのいずれかを満たせばよい

省令の条文は「次のいずれかに該当すること」と明記しています。この違いは、自社支援に踏み出せるかどうかを分けます。

支援体制の基準は「いずれか」

根拠は、特定技能基準省令第2条第2項第1号です。条文は「次のいずれかに該当すること」として、イ・ロ・ハの3つを並べています。自社がどのルートで満たせるかを判定してください。

要件こんな企業向け
過去2年間に中長期在留者(就労資格)の受入れ又は管理を適正に行った実績があり、かつ役員・職員の中から支援責任者と支援担当者を選任していること技能実習生や技人国の外国人を雇ってきた企業。製造業の多くはここ
役員・職員であって過去2年間に中長期在留者の生活相談等に従事した経験を有する者の中から、支援責任者と支援担当者を選任していること外国人の受入れ実績はないが、経験者を採用した/在籍している企業
イ・ロと同程度に支援業務を適正に実施できると認められた者から選任していることイ・ロに当てはまらないが、体制・実績で説明できる企業

イとロは「または」です。受入れ実績があるなら(イ)、担当者の生活相談経験は要件ではありません。逆に受入れ実績がなくても(ロ)、生活相談等の経験がある役職員を選任すれば満たせます。

この構造は、提出様式にも表れています。特定技能所属機関概要書には別紙として「受け入れた中長期在留者リスト(参考様式第1-11-2号)」と「生活相談業務を行った中長期在留者リスト(参考様式第1-11-3号)」が用意されており、(イ)で立証するなら前者、(ロ)で立証するなら後者という対応関係になっています。

ルート イ|過去2年間の受入れ実績

「過去2年間」とは、申請日の2年前に当たる日から申請日までを指します。重要なのは、実績が過去2年間の全期間にわたる必要はなく、一度でも実績があれば足りるという点です。

「適正に行った実績」とは、少なくとも1名以上の中長期在留者(就労可能な在留資格に限る)の受入れ又は管理を行い、その間に入管法・技能実習法・労働関係法令等を遵守していたことをいいます。

注意点があります。技能実習の実習実施者だった企業が、旧制度の「改善指導」や現行制度の「改善命令」を受けている場合は、「適正に行った」とは認められません。

ルート ロ|担当者の生活相談等の経験

受入れ実績がない場合のルートです。「生活相談等」とは特定の相談内容を指すものではなく、広く中長期在留者の生活に関する相談一般をいいます。件数の多寡は問われず、少なくとも1件以上行っていれば「経験を有する」に該当します。

ただし業務として一定の反復継続性をもって行ったことが求められ、友人としての相談やボランティアで行った相談は実績に含まれません。

運用要領は、生活相談業務に従事する者の例として次を挙げています。

  • 運用要領
  • 技能実習制度における監理団体や実習実施者に所属して生活指導員を務めた者
  • 技能実習生の送出機関の日本駐在員として生活相談員を務めた者
  • 法律事務所・地方公共団体・都道府県労働局等で相談員を務めた者
  • 中長期在留者が在籍する企業に勤務して生活相談担当者を務めた者
  • 職業紹介事業者に勤務して紹介先の中長期在留者の生活相談担当者を務めた者

ただし、支援責任者だけに生活相談等の経験がある場合、この基準には適合しません。ただし、その経験を有する支援責任者が支援担当者を兼任する場合は適合するものとして扱われます。

ルート ハ|同程度と認められる場合

イ・ロのいずれにも当てはまらない企業はこちらになります。中長期在留者の適正な受入れ実績等がある機関と同程度に支援業務を適正に実施でき、かつ日本人労働者等を適正に雇用してきた実績のある機関であることが求められます。

ハはイ・ロに該当しないことの立証も併せて必要になり、地方局の判断を仰ぐことになります。現実的にはイかロを目指すほうが確実です。

イ・ロ・ハと併せて必須の4条件

「いずれか」なのは第1号(イ・ロ・ハ)だけです。以下はすべての企業に共通して必要です。

要件内容
2号十分に理解できる言語による支援体制通訳を職員として雇う必要はなく、必要なときに委託して確保できれば足りる
3号支援状況に係る文書の作成・備置き支援を行う事業所に、雇用契約の終了日から1年以上備え置く
4号支援責任者・支援担当者の中立性と欠格事由の非該当次章で詳述
5号過去5年以内に支援を怠ったことがないこと支援計画に基づいた支援を行わなかった実績がないこと
6号定期的な面談を実施できる体制3か月に1回以上
7号分野別の上乗せ基準への適合分野別運用要領を参照

3号の「支援状況に係る文書」は、①支援実施体制に関する管理簿、②支援の委託契約に関する管理簿、③支援対象者に関する管理簿、④支援の実施に関する管理簿の4種類です。

自社支援の実務負担の正体は、実はここです。支援そのものより、記録の作成と保管が効いてきます。

支援責任者・支援担当者の要件

自社支援ができるかどうかは、適切な支援担当者を選任できるかどうかがポイントです。そしてここには、製造業の企業様が高い確率でつまずく2つの落とし穴があります。

支援責任者と支援担当者の違い

項目支援責任者支援担当者
役割支援業務を統括管理し、支援担当者を監督する支援計画に沿った支援を実施する
所属受入れ企業の役員または職員受入れ企業の役員または職員
常勤要件常勤であることを問わない常勤が望ましいが必須ではない
選任単位法人に1名事業所ごとに1名以上

支援責任者が統括するのは次の7項目です。1号特定技能外国人支援計画の作成、支援担当者その他支援業務に従事する職員の管理、支援の進捗状況の確認、支援状況の届出、支援状況に関する帳簿の作成及び保管、制度所管省庁・分野所管省庁その他関係機関との連絡調整、その他支援に必要な一切の事項。

【落とし穴①】支援担当者は「事業所ごとに1名以上」

省令は支援担当者について「外国人に特定技能雇用契約に基づく活動をさせる事業所ごとに1名以上」と定めています。

「社内に1名確保できていれば足りる」わけではありません。特定技能外国人が働いている工場・事業所の数だけ、支援担当者が必要です。愛知の本社工場と静岡の第二工場の両方で特定技能外国人を受け入れているなら、支援担当者は2名以上必要になります。

なお支援担当者は、その事業所に専任して所属していることまでは求められません。常勤も「望ましい」であって必須ではありません。それでも、複数拠点を持つ企業にとって、この要件が自社支援のハードルになるのは事実です。

支援責任者は法人に1名で足り、支援責任者は支援担当者を兼任できます。単一拠点なら実質1名から始められる計算です。

【落とし穴②】中立性——組織図の縦のラインにいる人は選べない

支援責任者・支援担当者は、外国人を監督する立場にない者でなければなりません。特定技能外国人に対する指揮命令権を有さない人を選ぶ必要があります。

運用要領は具体的にこう説明しています。形式上異なる部署の職員であっても、代表取締役や、当該外国人が所属する部署を監督する長(外国人の所属部署が製造課である場合の製造部長など)といった、組織図を作成したときに縦のラインにある者は適格性がない、と。

選任の可否
不可代表取締役/製造部長(外国人が製造課所属の場合)/工場長/直属の班長・係長
人事課の職員/総務課の職員/管理部の職員(製造ラインへの指揮命令権を持たない場合)

また、特定技能所属機関が個人事業主であって小規模の家族経営である場合は、事業主の家族(配偶者及び2親等以内の親族)にも適格性がありません。

なお、支援責任者又は支援担当者が中立的な立場でなくなった場合や欠格事由に該当することとなった場合、入管から交代の指導が入ります。指導を受けても改善期日までに交代させない場合は、基準不適合として扱われます。

欠格事由(登録支援機関として認められない条件)

支援責任者・支援担当者は、特定技能基準省令第2条第1項第4号イからルまでに掲げる欠格事由に該当しないことが必要です。禁錮以上の刑や関係法令違反による罰金刑を受けて5年を経過していない者、暴力団関係者、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者などが該当します。

自社支援に切り替えるための必要書類

要件を満たすと判断できたら、次は書類です。提出先は本店所在地を管轄する地方出入国在留管理局で、オンライン・郵送・窓口持参のいずれかを選べます。様式は入管庁のサイトからダウンロードしてください。

支援計画の変更に係る届出書(参考様式第3-2号)

登録支援機関への委託から自社支援へ切り替えるための、中核となる届出です。支援計画の変更が生じた日から14日以内に提出します。別紙(参考様式第3-2号 別紙)とセットで作成します。

新しい支援計画書(参考様式第1-17号)※新様式

自社支援に切り替える場合、支援計画書を作り直します。義務的支援10項目について、実施予定日・支援担当者・実施方法を具体的に記入していきます。申請書類の中で最も作成に時間がかかる書類です。

重要な変更点があります。2025年4月1日から、支援計画書に「地方公共団体において実施する共生施策を確認したか」を記入する欄が追加されました。事業所の所在地、共生施策の確認日、確認方法を記載します。確認は各地方公共団体のホームページを閲覧することで行うことが想定されています。旧様式は受理されません。

記載例は「全部委託の場合」「自社支援の場合」「複数人の場合」の3種類が公開されています。切り替えの際は自社支援用の記載例を参照してください。

なお支援計画書は、外国人本人が十分に理解できる言語の翻訳を付け、内容を説明したうえで署名を得る必要があります。入管庁は英語・ベトナム語・タガログ語・インドネシア語・タイ語・ミャンマー語・カンボジア語・モンゴル語・ネパール語・中国語の翻訳様式を公開しています。

支援委託契約の終了に係る届出書(参考様式第3-3-2号)

登録支援機関との支援委託契約を終了した旨を届け出ます。正式名称は「支援委託契約の終了又は締結に係る届出書」です。別紙(参考様式第3-3号 別紙)とあわせて作成します。こちらも事由発生から14日以内です。

特定技能所属機関概要書(参考様式第1-11-1号)と別紙リスト

自社支援の要件を満たしている旨を示す書類です。過去2年間に受け入れた中長期在留者の人数、支援責任者・支援担当者の氏名や所属部署、対応可能言語などを記入します。

どのルートで要件を立証するかによって、添付する別紙が変わります。

ルート添付する別紙
イ(受入れ実績で立証)受け入れた中長期在留者リスト(参考様式第1-11-2号)
ロ(生活相談経験で立証)生活相談業務を行った中長期在留者リスト(参考様式第1-11-3号)

支援責任者・支援担当者の履歴書(参考様式第1-20号・第1-22号)

支援責任者の履歴書は参考様式第1-20号、支援担当者の履歴書は参考様式第1-22号です。生活相談等に従事した経験は、この履歴書に記入します。

受入れ企業の組織図

様式は定められておらず、自由形式です。支援責任者・支援担当者が特定技能外国人に対して業務上の指示をする権限を持つ者でないこと——つまり中立性——を示すために提出します。

前章で述べた「組織図の縦のラインにいる者は不適格」という判断は、まさにこの組織図で確認されます。中立性に疑義があると判断された場合、入管から組織図等の提出を求められて慎重に審査されます。

【2026年1月施行】行政書士法改正で判断はどう変わったか

自社支援を検討するうえで、いま最も重要な外部環境の変化です。結論を先に言えば、この改正は自社支援の追い風です。

改正の要点

2025年6月に改正された行政書士法が、2026年1月に施行されました。特定技能の受入れ企業にとって重要なのは次の2点です。

業務の制限規定の趣旨の明確化により、無資格者が報酬を得て官公署(国や自治体などの行政機関)に提出する書類の作成を代行する行為が、行政書士の独占業務に当たることが明確化されました。

両罰規定の整備により、違反行為があった場合に行為者だけでなく法人も処罰対象となりました。

自社で作成し自社で申請するのは適法

受入れ企業が、自社で受け入れる特定技能外国人のために、自社で申請書類を作成し、自社で申請(取次)を行うことは、まったく問題ありません。今回の改正で受入れ企業の自社対応が禁止されたわけではありません。むしろ自社で完結できる体制は、改正後も安心して受入れを続けられる確実な方法です。

リスクが生じるのは「行政書士などの資格を持たない第三者に書類作成を任せている」場合

規制が強化されたのは、行政書士などの資格を持たない第三者が、報酬を得て申請書類の作成を代行する行為です。

登録支援機関の本来の役割はあくまで「支援」であり、書類の作成代行は業務に含まれません。それにもかかわらず、登録支援機関が支援業務と称して書類作成を実質的に代行する例が多く見られてきました。

注意すべきは、報酬の名目を問わないという点です。支援委託費・コンサル料・会費など、どのような名目であっても報酬とみなされ得ます。

一方で、作成済みの書類を入管へ提出する「申請取次」は、行政書士法の規制対象ではありません。申請取次は出入国管理法上の制度であり、届出済みの受入れ企業・登録支援機関の職員は、改正後も引き続き取次者として申請を提出できます。

規制されたのは「報酬を得た書類作成の代行」であって、「取次(提出)」でも「受入れ企業自身による作成」でもない——ここを混同しないでください。

受入れ企業がとれる3つの選択肢

改正後、受入れ企業の選択肢は次の3つに整理されます。

NO支援書類作成特徴
自社または委託行政書士・弁護士に有償で委託適法だが専門家への委託費用が発生する
登録支援機関に委託自社自社支援への移行の第一歩にもなる
自社自社コスト削減とノウハウ蓄積が最大。ただし体制構築が必要

②は見落とされがちですが、有力な選択肢です。支援は委託したまま、書類作成だけ自社に戻す。これなら支援体制の基準を満たす必要はなく(全部委託なら登録支援機関が満たす)、行政書士法上のリスクも回避できます。いきなり③を目指さず、②を経由して③へ、という順序は現実的です。

義務的支援10項目と自社支援の全体フロー

要件と書類を整えたあとに待っているのが、日々の運用です。ここを具体的にイメージできるかどうかが、切り替えの成否を分けます。

義務的支援10項目

義務的支援とは、1号特定技能外国人が日本国内で安定して生活・就労するために必要とされる支援です。特定技能2号には義務的支援がありません。

なお、任意的支援であっても支援計画に記載すれば実施義務が生じます。「やれたらやる」つもりの項目を書き込まないよう注意してください。

NO義務的支援10項目
1事前ガイダンス
2出入国する際の送迎
3住居確保・生活に必要な契約支援
4生活オリエンテーション
5公的手続等への同行
6日本語学習の機会の提供
7相談・苦情への対応
8日本人との交流促進
9転職支援(人員整理等の場合)
10定期的な面談・行政機関への通報

時系列の全体フロー

対応時期実施する義務的支援
ビザ申請前事前ガイダンス
入社前住居確保・生活に必要な契約支援/生活オリエンテーション
入社時出入国する際の送迎/公的手続等への同行
勤務期間中(随時・定期)日本語学習の機会の提供/相談・苦情への対応/日本人との交流促進/定期的な面談・行政機関への通報
退職後出入国する際の送迎(帰国する場合)/転職支援(企業側の人員整理等の場合)

勤務期間中の支援は随時、または定期的に実施します。定期的な面談は3か月に1回以上、原則として対面で、特定技能外国人本人とその監督者の双方に行います。

【2025年4月改正】支援実施状況の届出は年1回に

以前は支援実施状況の届出を四半期ごと(年4回)に提出する必要がありましたが、2025年4月の運用要領改正により年1回になりました。

項目旧ルール現行ルール
提出頻度四半期ごと・年4回年1回
対象期間各四半期4月1日〜翌年3月31日
提出期間翌月1〜15日(15日間)翌年4月1日〜5月31日
様式支援実施状況に係る届出書(旧・参考様式第4-3号)受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書(参考様式第3-6号)に統合

受入れ状況の届出と支援実施状況の届出が参考様式第3-6号に一本化され、旧・参考様式第4-3号は現在「1号特定技能外国人支援計画の実施における特異事案報告書」という別の書類に変わっています。古い情報のまま準備すると様式を間違えます。

届出の頻度と面談の頻度は揃っていません。届出は年1回になりましたが、定期的な面談は3か月に1回以上のまま据え置かれています。混同しないようにしましょう。

自社支援のメリット・デメリットと判断基準

メリット|委託費用の削減とノウハウの蓄積

最大のメリットは費用です。登録支援機関に全部委託した場合、特定技能外国人1人につき月2〜3万円程度の委託料が一般的です。

受入れ人数月額(2〜3万円/人)年額5年間
3名6〜9万円72〜108万円360〜540万円
5名10〜15万円120〜180万円600〜900万円
10名20〜30万円240〜360万円1,200〜1,800万円

※市場相場(2026年時点の業界情報に基づく推計)です。実際の金額は委託先・支援範囲により異なります。

10名規模になると、5年で1,000万円を超えます。専任担当者を1名置いても釣り合う水準です。費用以外にも、トラブル発生時に自社で即座に対応できること、特定技能外国人と密にコミュニケーションが取れて定着率向上につながること、社内にノウハウが蓄積されることがメリットです。

デメリット|制度改正への追随という終わらない負担

自社支援の本当のコストは、人件費ではなく制度改正への追随です。

この記事で触れただけでも、2025年4月に共生施策の確認が支援計画の要件に加わり、支援計画書が新様式になり、支援実施状況の届出が年1回化され、2026年1月に行政書士法が改正され、2026年8月25日の閣議決定で政令が正式決定済み。特定技能は2019年開始の新しい制度で、いまも頻繁に改正されています。

支援責任者・支援担当者は、入管法や在留資格、生活支援の情報を常に最新の状態で把握しておく必要があります。担当者が異動・退職すればゼロからやり直しです。

自社支援に向く企業・向かない企業

項目自社支援に向く自社支援に向かない
受入れ人数5名以上(委託費が人件費を上回る)1〜2名
拠点数単一拠点(支援担当者1名で足りる)複数拠点(事業所ごとに1名以上必要)
社内の経験技能実習の生活指導員経験者などがいる外国人対応の経験者がいない
総務の体制専任または準専任を置ける兼務で手一杯
今後の方針継続的に受け入れる/2号移行を見据える単発の受入れ

「委託費が高いから自社支援」という理由だけで踏み切ると、多くの場合うまくいきません。費用は目に見えますが、記録の作成・保管と制度改正への追随は目に見えないからです。

一方で、要件を満たし、拠点が絞られ、経験者がいるなら、自社支援は十分に現実的です。その場合は書類作成から自社に戻す②のステップを踏むことをお勧めします。

特定技能の自社支援に関するよくある質問

Q1. 特定技能は自社支援に切り替えできますか?

A. できます。省令が定める支援体制の基準を満たし、支援計画変更に係る届出書(参考様式第3-2号)等を提出すれば切り替え可能です。支援の一部だけを委託する形も認められています。

Q2. 自社支援の要件は何ですか?

A. 支援体制の基準は「いずれかに該当すること」とされており、①過去2年間の中長期在留者の受入れ実績、②役職員の生活相談等の経験、③これらと同程度と認められること——のいずれか1つを満たせば足ります。両方を満たす必要はありません。あわせて、理解できる言語での支援体制、支援記録の作成・保管、担当者の中立性などが必要です。

Q3. 支援責任者と支援担当者は兼任できますか?

A. 兼任できます。ただし支援担当者は「事業所ごとに1名以上」の選任が必要です。複数の工場で特定技能外国人を受け入れている場合、社内に1名確保するだけでは足りません。

Q4. 自社支援でどれくらい安くなりますか?

A. 登録支援機関への委託料は1人あたり月2〜3万円程度が相場です。10名受け入れている場合、年間240〜360万円、5年で1,200〜1,800万円の削減になる計算です(2026年時点の業界相場に基づく推計)。

Q5. 2026年の行政書士法改正で自社支援は不利になりますか?

A. 逆です。受入れ企業が自社で書類を作成し自社で申請することは適法で、問題ありません。リスクが生じたのは、登録支援機関などの無資格者に報酬を払って書類作成を代行させている場合です。両罰規定により法人も処罰対象になり得ます。

まとめ

特定技能の自社支援への切り替えは可能です。そして要件は、多くの記事が書いているほど厳しくありません。

省令の支援体制基準は「いずれかに該当すること」です。過去2年間に中長期在留者の受入れ実績があればルート(イ)それで足り、実績がなくても生活相談等の経験がある役職員を選任できればルート(ロ)満たせます。技能実習生を受け入れてきた製造業・食品工場の多くは、すでにルート(イ)に該当しているはずです。

一方で、見落とされがちな要件が2つあります。支援担当者は「事業所ごとに1名以上」、複数拠点なら拠点の数だけ必要です。そして中立性です。組織図の縦のラインにいる代表取締役や製造部長は選任できません。人事・総務から選んでください。

また、2025年4月に支援実施状況の届出が年4回から年1回になり、事務負担は軽くなりました。

いま自社支援を検討するのは、タイミングとして理にかなっています。ただし、費用だけを理由に踏み切るのは危険です。記録の作成・保管と制度改正への追随という、目に見えない負担が続きます。

目に見えない負担を考えると、支援は委託したままが良いケースもございます。じっくり検討して判断されるのが良いでしょう。


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