技能実習生と特定技能の違いと受入企業のメリット・デメリットを紹介

外国人雇用
公開日:23.09.12/更新日:24.04.24
技能実習生と特定技能の違いと受入企業のメリット・デメリットを紹介

「技能実習生と特定技能の違いがわからない」といったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。「技能実習」と「特定技能」はいずれも外国人の在留資格で、名称が似ており混同されがちですが、異なる在留資格です。

本記事では、「技能実習」と「特定技能」はそれぞれどのような在留資格なのか、どのような違いがあるのかを比較し、受け入れを検討している企業のメリット・デメリットを紹介いたします。

この記事を読むことで、「技能実習」と「特定技能」の違いや特徴を理解した上で、受け入れしたい在留資格の選び方が分かります。

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「技能実習生」とは

「技能実習生」とは

「技能実習生」とは、「技能実習の在留資格を持つ」外国人実習生のことです。

技能実習の在留資格は、技能・技術・知識を開発途上地域等へ移転し、経済発展を担う人づくりに寄与し、国際貢献を目的として1993年に技能実習制度が創設されております。

2017年11月に「外国人の技能実習の適正な実務及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」が施行され、新たな技能実習制度がスタートしました。技能実習制度が制定されたことで、技能実習を目的とする場合、外国人が日本に在留する資格(技能実習)を得ることができます。

技能実習は1号・2号・3号の区分があります。技能実習1号からスタートし、規定を満たした技能実習生が技能評価試験に合格することで、2号、3号に進むことができるのです。

技能実習生が就業できる職種と作業

1号技能実習から2・3号技能実習に移行することを認められる業務を、「移行対象職種」といいます。移行対象職種は以下となります(2023年7月24日時点)。

分類職種作業
農業関係26
漁業関係210
建設関係2233
食品製造関係1118
繊維・衣服関係1322
機械・金属関係1631
その他2037
社内検定型24
88161

※その他の職種:家具製作、印刷、製本、プラスチック成形、強化プラスチック成形、塗装、溶接、工業包装、紙器・段ボール箱製造、陶磁器工業製品製造、自動車整備、ビルクリーニング、介護、リネンサプライ、コンクリート製品製造、宿泊、RPF製造、鉄道施設保守整備、ゴム製品製造、鉄道車両整備

参考:技能実習制度の職種・作業について

技能実習生が活動できる期間

技能を実習できる期間は、技能実習区分により異なります。

技能実習区分活動期間(最大)
技能実習1号1年
技能実習2号2年(通算3年)
技能実習3号2年(通算5年)
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「特定技能」とは

「特定技能」とは

「特定技能」とは、国内人材の確保が困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人の受け入れを目的に創設された在留資格です。

特定技能が創設されたことで、外国人労働者が新たな分野で就労できます。創設以降、特に労働力が不足している「介護」、「建設」、「農業」、「製造業」の分野で外国人労働者の増加が見られており、需要が増加していることがわかります。

参考:特定技能在留外国人数の公表 | 出入国在留管理庁

特定技能には1号と2号があります。特定技能1号は、特定産業分野に属する相当程度の知識、又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。

特定技能2号は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格となります。

2023年から特定技能2号の対象産業が9分野追加(追加前は建設と造船・舶用工業の2分野のみ)となりました。特定技能1号と2号に必要な技術・日本語能力水準は以下となります。

 特定技能1号特定技能2号
技術水準試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)試験等で確認
日本語能力水準生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認 (技能実習2号を修了した外国人は試験免除)試験等での確認は不要
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特定技能の在留資格で就業できる対象分野

特定技能の在留資格で就業できる対象分野は、特定技能区分により異なります。

 特定技能1号特定技能2号
対象の産業分野12分野(介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業)11分野(ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業)

特定技能の在留資格を持つ外国人の在留期間

特定技能の在留資格を持つ外国人の在留期間は、特定技能区分により異なります。

 特定技能1号特定技能2号
在留期間通算で上限5年まで(1年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間ごとの更新)上限無し(3年、1年又は6か月ごとの更新)
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「技能実習生」と「特定技能」の6つの違い

「技能実習生」と「特定技能」の6つの違い

技能実習生の在留資格である「技能実習」と「特定技能」には、どのような違いがあるのでしょうか。重要なポイントを6つに絞り紹介いたします。

制度の目的が異なる

「技能実習」と「特定技能」は、制度創設の目的が異なります。

技能実習は、国際貢献することが目的であることに対し、特定技能は人手不足を補うために創設された就労のための在留資格なのです。創設された目的が違うことにより、在留資格の制限が大きく異なっております。

技能実習特定技能
技能・技術・知識を開発途上地域等へ移転し、経済発展を担う人づくりに寄与することで、国際貢献することを目的に創設国内人材の確保が困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人の受け入れを目的に創設

受け入れできる作業や分野が異なる

「技能実習」と「特定技能」は、受け入れできる作業や分野が異なります。

技能実習は技能・技術・知識を開発途上地域等へ移転し、経済発展を担う人づくりに寄与することを目的とした作業に限定しているのに対し、特定技能は人手不足が深刻な12分野(2号は11分野)に限定しているのです(2023年7月24日時点)。

受け入れできる作業や分野は異なりますが、特定技能は幅広い分野で外国人を受け入れできます。

技能実習特定技能
88職種161作業1号:12分野、2号:11分野

※2023年7月24日時点

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在留期間が異なる

「技能実習」と「特定技能」は、在留できる期間が異なります。

技能実習は、実習生が技能評価試験を受け合格することで在留期間を5年まで伸ばすことが可能ですが、期間の制限があります。

特定技能1号は、在留資格の更新を行うことで在留期間が5年まで延長できます。また、2号に移行することで在留期間の上限は無くなります。

技能実習特定技能
1号:1年、2号:2年(通算3年)、3号:2年(通算5年)1号:通算5年、2号:上限無し

家族帯同の可否が異なる

「技能実習」と「特定技能」は、家族帯同の可否が異なります。

技能実習の在留資格は帰国することが前提となっている制度であり、家族滞在が認められておりません。特定技能1号は家族滞在が認められておりませんが、在留期間に上限が無い2号に移行することで、条件を満たせば配偶者と子供に限り、家族帯同が可能となります。

技能実習特定技能
不可1号:不可、2号:配偶者・子

転職の可否が異なる

「技能実習」と「特定技能」は、転職の可否が異なります。

技能実習は在留の目的が就労ではなく実習であるため、転職の選択肢は原則存在しません。ただし、受け入れ先企業の都合に転籍するなどの例外はあります。

特定技能は就労資格であるため、分野毎の受け入れ条件(技能評価試験や日本語能力試験など)を満たしていれば転職が可能です。

技能実習特定技能
原則不可

受け入れ可能な人数が異なる

「技能実習」と「特定技能」は、受け入れ可能な人数が異なります。

技能実習は実習生に対し、企業が適切な指導(技能移転)ができるように、人数制限がされております。特定技能は労働力の確保を目的としているため、建設と介護分野を除き、受け入れ可能な人数の制限はありません。

技能実習特定技能
常勤職員30名以下の企業:3名まで(優良企業は6名まで)人数制限無し(介護、建設分野以外)

「技能実習生」と「特定技能」のメリットとデメリット

「技能実習生」と「特定技能」は、制度の違いにより異なるメリット・デメリットが存在します。

メリットデメリット
技能実習生・転職が原則不可、定着向上が期待できる・送り出し機関が必要数を集めてくれるので、人材の確保が容易・就労が目的ではないため、従事可能な作業に制限が定められている・受け入れ後の事務作業が複雑・海外からの渡航となり受け入れまでの期間が長い・受け入れに必要な外部コストが割高
特定技能・受け入れ可能な人数の制限がない(建設と介護除く)・日本人が行う付随作業に従事できる・国内在住者(外国人)の受け入れが可能のため受け入れまでの期間が短い・技能評価試験や日本語能力試験に合格しており技能や日本語のレベルが高い
・転職が可能なため、定着させる取り組みが必要・企業都合で解雇すると1年間受け入れができなくなる(原則)・技能試験の実施回数が少なく人材の確保が難しい

「技能実習生」と「特定技能」の選び方

「技能実習生」と「特定技能」はそれぞれに特徴とメリット・デメリットがあり、どちらの在留資格を持つ外国人の受け入れを進めるか迷ってしまう場合、まずは受け入れを進める業務に従事できる在留資格を確認することが大切です。

就労が許可されていない在留資格を持つ外国人の受け入れを行うと、不法就労助長罪にあたり、受け入れ企業に対し懲役や罰金を科される場合があるのです。

特に、国際貢献することを目的として制度が創設されている技能実習生は、就労が本来の目的ではありません。そのため、従事可能な作業が細かく設けられております。

実習目的ではなく人手不足の解消を目的に外国人の受け入れを進めたい場合は、本来の目的に合った特定技能の在留資格を持つ外国人労働者をおすすめします

まとめ

「技能実習生」と「特定技能」の違いやそれぞれのメリット・デメリットを紹介いたしましたが、それでも制度が難しい、対応が複雑で受け入れを進めることが難しい場合は、外国人雇用に特化した人材紹介会社や派遣会社に相談することが有効的です。

受け入れニーズに応じて在留資格や受け入れ方法の提案を受けることが期待できるほか、採用から雇用までの自社負担を削減することができるからです。

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