技能実習生と特定技能の違いと受入企業のメリット・デメリットを紹介

外国人雇用
公開日:23.09.12/更新日26.09.16
技能実習生と特定技能の違いと受入企業のメリット・デメリットを紹介

「技能実習と特定技能、どっちなんだ」——外国人採用を検討し始めた企業のご担当者様が最初にぶつかる問いです。そしていま、もう一つの迷いが重なっています。

「2027年に制度が変わると聞いた。今始めても無駄にならないか」

結論から言えば、無駄になりません。ただし、技能実習で受け入れるなら2027年3月末が最後です。

技能実習は「国際貢献・技能移転」、特定技能は「人手不足の解消」を目的とする別の在留資格であり、技能実習は2027年4月に育成就労制度へ移行します。

つまり、いま比較すべきは2つではなく3つです。技能実習・特定技能・育成就労——この3つの関係が分かれば、自社が今どう動くべきかも決まります。

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目次

3制度の比較早見表

項目技能実習育成就労(2027年4月〜)特定技能1号
目的国際貢献・技能移転人材確保・人材育成人手不足の解消
新規受入れ2027年3月末で終了2027年4月〜実施中
期間最長5年(1号〜3号)原則3年通算5年(要件次第で6年)
対象分野職種・作業を限定列挙17分野16分野(+3分野が2027年頃予定)
転職・転籍原則不可一定要件で可(緩和)可(同一分野内)
家族帯同不可不可不可(2号は可)
入国時の技能不要不要試験合格が必要
  • この記事の要点
  • 技能実習は「実習」、特定技能は「就労」——目的が違うため、要件も期間も人数枠もすべて異なる
  • 技能実習の新規受入れは2027年3月末で終了。2027年4月1日以降、新たな技能実習計画の認定申請はできない
  • ただし2027年3月までに入国した実習生は、現行制度のまま2号・3号の修了まで継続可能
  • 育成就労は原則3年。特定技能1号と合わせて最長8年(技能実習3号までなら10年だった)
  • 育成就労産業分野は17分野。特定技能19分野から「航空」「自動車運送業」を除いたもの
  • 即戦力が必要なら特定技能一択。制度変更を待つ必要はない

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【比較表】技能実習と特定技能の違い13項目

13項目を一覧で押さえ、実務に直結するものを個別に掘り下げます。

比較項目技能実習特定技能
関係法令技能実習法/入管法入管法
制度の目的国際貢献・技能移転(育成)人手不足の解消(就労)
就業可能な職種・分野職種・作業を限定列挙16分野(+3分野が2027年頃予定)
在留期間1号1年/2号2年/3号2年(最長5年)1号:通算5年(要件次第で6年)/2号:上限なし
入国時の技能水準不要(未経験可)技能試験の合格が必要
入国時の日本語水準不要(介護等を除く)日本語試験の合格が必要(N4相当)
転職原則不可可(同一分野・同一業務区分内)
家族帯同不可1号:不可/2号:要件を満たせば可
受入れ人数枠あり(全職種・企業規模に応じる)原則なし(建設・介護を除く)
雇用形態直接雇用直接雇用(農業・漁業のみ派遣可)
必須の関与機関監理団体・送出機関登録支援機関(任意・自社支援も可)
支援義務監理団体が監理義務的支援10項目(1号のみ/2号は不要)
今後2027年4月に育成就労へ移行対象分野・見込数ともに拡大

この表で最も重要なのは②の「目的」です。ここから、他のすべての違いが導かれます。

「技能実習」とは

1993年に創設された制度です。日本で培われた技能・技術・知識を開発途上地域等へ移転し、その国の経済発展を担う人づくりに寄与すること——これが制度上の目的とされています。

就業できる職種と作業

技能実習には、職種・作業の限定列挙という強い制約があります。移行対象職種として定められた職種・作業でなければ、2号(2年目以降)に進めません。

工業製品製造業に関係する職種も多数ありますが、自社の作業が対象職種に該当するかを、実習計画の認定前に必ず確認する必要があります。「うちの工程は対象外だった」というケースは実際によくあります。

※対象職種・作業は改定されるため、最新の一覧は出入国在留管理庁またはOTIT(外国人技能実習機構)でご確認ください。

活動できる期間

技能実習1号(1年)→ 2号(2年)→ 3号(2年)と段階を踏み、最長5年です。1号から2号、2号から3号へ進むには、それぞれ技能検定等の合格が必要です。

【重要】新規受入れは2027年3月末で終了

2027年4月1日以降、新たな技能実習計画の認定申請は行えません。技能実習制度での新規受入れは、2027年3月末で終了します。

ただし経過措置があります。2027年3月までに入国した技能実習生は、現行の技能実習制度のまま実習を継続できます。技能実習2号・3号への移行も現行制度のルールが適用され、修了まで実習を続けられます。技能実習と育成就労は、3年間程度の併存期間を経て切り替わる見込みです。

現在進行中の実習生がいる場合、すぐに何か手続きが必要になるわけではありません。ただし新たに技能実習で入れたいなら、残り時間は限られています。

「特定技能」とは

2019年4月に創設されました。技能実習が「実習」なのに対し、特定技能は最初から「就労」を目的とした制度です。この違いが、実務上の要件をほぼすべて決定します。

対象は16分野

現在、16分野で受入れが行われています。介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業です。

さらに2026年1月23日の閣議決定で、リネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野が追加され、計19分野となりました(新3分野は省令の公布・施行後、準備が整い次第の受入れ開始予定)。

技能実習の「職種・作業の限定列挙」に比べ、分野内での業務の幅が広いのが特徴です。技能実習が「この作業しかできない」のに対し、特定技能は「この分野の関連業務ができる」という感覚に近くなります。

なお外食業は2026年4月13日から新規受入れが原則停止されています(受入れ見込数に達したため)。分野ごとの上限管理には注意が必要です。

在留期間

特定技能1号は通算5年が上限です。ただし2025年9月30日から、2号評価試験に不合格でも一定の要件を満たせば、通算6年まで認められる特例が新設されました。

特定技能2号には通算在留期間の上限がありません。更新を続ける限り働き続けられ、支援義務もなくなり、家族帯同や永住申請の道も開けます。ただし2号の対象は11分野で、1号より狭い点にご注意ください(工業製品製造業・飲食料品製造業はいずれも対象です)。

技能実習と特定技能の6つの違い

13項目のうち、受け入れ判断に直結する6つを掘り下げます。

① 制度の目的が異なる

技能実習は「国際貢献・技能移転」、特定技能は「人手不足の解消」。これがすべての起点です。

技能実習が「実習」である以上、実習計画が要り、監理団体の監理が要り、指導する常勤職員に応じた人数枠が要ります。一方、特定技能は「就労」なので、実習計画も監理団体も不要で、人数枠も原則ありません。

この乖離が長年批判され続けた結果、2027年の移行に至りました。育成就労は目的を「人材確保・人材育成」と明記し、人手不足対策であることを正面から認めた制度です。

② 受け入れできる作業や分野が異なる

技能実習は職種・作業の限定列挙。特定技能は分野単位です。

製造業では、この差が現場の柔軟性に直結します。技能実習は認定された作業から外れることができませんが、特定技能は分野・業務区分の範囲内であれば、関連業務も含めて幅広く従事できます。

③ 在留期間が異なる

技能実習は最長5年、特定技能1号は通算5年(要件次第で6年)、特定技能2号は上限なしです。

重要なのが、技能実習から特定技能への移行です。技能実習2号を良好に修了した外国人は、技能試験・日本語試験が免除されて特定技能1号へ移行できます。技能実習3号まで進めば5年、そこから特定技能1号で5年——合計最長10年というのが、これまでの製造業の標準的な受け入れパターンでした。

ただしこの前提は2027年4月に変わります。

④ 家族帯同の可否が異なる

技能実習は不可、特定技能1号も不可、特定技能2号は要件を満たせば可です。

定着率の観点で、これは大きな差です。家族を呼べるかどうかは、本人が日本で長く働き続ける意思に直結します。

⑤ 転職の可否が異なる

技能実習は原則不可、特定技能は可(同一分野・同一業務区分内)です。

企業側から見れば、技能実習のほうが「囲い込める」ように見えます。しかしこれが人権上の問題として批判され、育成就労では転籍が一定要件のもとで緩和されることになりました。制度は「選ばれる職場かどうか」という方向に向かっています。

⑥ 受け入れ可能な人数が異なる

技能実習は全職種で人数枠あり(常勤職員数に応じる)。特定技能は原則なし(建設・介護を除く)。

これも②の「目的」の帰結です。実習には指導者が要るから枠がある。就労には要らないから枠がない。製造業で人数を増やしたいなら、特定技能のほうが有利です。

【2027年4月】育成就労で何が変わるか

比較すべき制度が2つから3つになりました。

育成就労とは|目的が「人材確保・育成」に変わる

技能実習制度に代わる新制度として、育成就労制度が2027年4月1日に施行されます。

最大の変化は目的です。技能実習が「国際貢献・技能移転」を掲げていたのに対し、育成就労は「人材確保と人材育成」を目的として明記しました。建前を実態に合わせた改正、ということです。

制度設計も、特定技能1号への移行を前提に組み替えられました。育成就労は「特定技能への入口」として位置づけられています。

3制度の比較

項目技能実習育成就労特定技能1号
目的国際貢献・技能移転人材確保・人材育成人手不足の解消
新規受入れ〜2027年3月末2027年4月〜実施中
期間最長5年原則3年通算5年(要件次第で6年)
対象分野職種・作業を限定列挙17分野16分野(+3分野が2027年頃予定)
転職・転籍原則不可一定要件で可可(同一分野内)
入国時の技能不要不要試験合格が必要
次のステップ特定技能1号へ特定技能1号へ(前提)特定技能2号へ

原則3年・特定技能1号への移行3要件

育成就労の在留期間は原則3年です。その後、特定技能1号への移行が想定されています。

移行には次の3つが必要とされる見込みです。

NO項目
育成就労での就労(原則3年)
技能検定3級または特定技能1号評価試験等の合格
A2相当以上(日本語能力試験N4相当)の日本語能力

③の日本語要件が明示された点が、実務上のハードルになります。技能実習2号良好修了なら試験免除だったルートと比べ、条件が厳しくなります。育成就労期間中から日本語学習の機会を確保しておくことが、そのまま3年後の移行可否を左右します。

最長在留は「10年」から「8年」相当へ

制度育成/実習+特定技能1号最長
技能実習3号まで(現行)5年5年10年
技能実習2号まで(現行)3年5年8年
育成就労(2027年4月〜)原則3年5年8年

技能実習3号まで進めば最長10年でしたが、育成就労では最長8年相当です。実質的に2年短くなります。10年前提で育成計画を組んでいる企業は、前提の見直しが必要です。裏を返せば、特定技能2号への移行の重要性がこれまで以上に高まるということでもあります。

育成就労産業分野は17分野

育成就労の対象分野は17分野で、特定技能の19分野とは一致しません。

特定技能19分野から「航空」と「自動車運送業」を除いた17分野が対象です。航空は制度設計の議論が遅れているため、自動車運送業は運転免許の取得が必要で国内での育成になじまないため、それぞれ除外されています。

工業製品製造業・飲食料品製造業はいずれも対象なので、製造業・食品工場への影響はありません。

転籍が一定要件で緩和される

技能実習の「原則転籍不可」が人権上の問題として批判されてきたことを受け、育成就労では本人の意向による転籍が一定の要件のもとで認められる方向です。

企業側から見れば「囲い込めなくなる」変化ですが、方向性は明確です。制度で縛るのではなく、選ばれる職場にする——これが今後の前提になります。

技能実習と特定技能のメリット・デメリット

技能実習のメリット・デメリット

メリットデメリット
未経験者を受け入れられる(試験不要)職種・作業が厳密に限定される
原則転職できないため定着が期待できる人数枠がある(常勤職員数に応じる)
自社の方法で育成できる監理団体への費用が発生する
人材を確保しやすい(育成前提)即戦力性がない(教育コストがかかる)

特定技能のメリット・デメリット

メリットデメリット
試験合格済みで即戦力(技能・日本語N4相当)転職される可能性がある
原則人数制限なし(建設・介護を除く)義務的支援10項目が必要(1号のみ)
直接雇用・フルタイム分野によっては人材確保が難しい
2号なら在留期間の上限なし1号は通算5年(要件次第で6年)
監理団体が不要(自社支援も可)日本人と同等以上の報酬が必要

今から始めるならどれを選ぶか

判断フロー

Q1|今すぐ戦力が必要か?

YES:特定技能一択。試験合格済みなので教育コストが小さく、人数枠もありません(建設・介護を除く)。制度変更の影響も受けません。

NO(1〜2年かけて育てたい):Q2へ

Q2|2027年4月まで待てるか?

待てない:技能実習(2027年3月末まで)。ただし残り時間は限られています。

待てる:育成就労(2027年4月〜)。転籍緩和など新ルールを前提に設計できます。

Q3|自社の分野は育成就労の対象か?

工業製品製造業・飲食料品製造業 →対象(17分野に含まれる)

航空・自動車運送業 →対象外。特定技能のみ。

即戦力なら特定技能一択

製造業・食品工場での多くのご相談は、「今すぐ人が足りない」という状況です。この場合、答えは明確で特定技能です。理由は3つあります。①試験合格済みで即戦力、②人数枠がない、③制度変更の影響を受けない——この3点です。技能実習のように「1年目は教育期間」と割り切る余裕がない現場に、育成前提の制度は合いません。

なお、海外から呼び寄せる場合は申請から入国まで4〜5か月、国内在留者でも1〜3か月かかります。動き出しは早いほうが確実です。

育成前提なら育成就労を待つ選択もある

「時間をかけて自社の技術を仕込みたい」という場合は、育成就労を待つ選択も合理的です。

いま技能実習で入れると、2027年4月以降は新規で追加できません。同じ育成型で人を増やし続けたいなら、育成就労のルールに乗り換えることになります。制度を二重で運用する期間が発生する点は、あらかじめ織り込んでおいてください。

すでに技能実習生がいる企業がやるべきこと

慌てる必要はありません。2027年3月までに入国した技能実習生は、現行制度のまま2号・3号の修了まで実習を継続できます。

取り組むべきことは2つです。

ひとつ目は、既存の実習生の特定技能への移行を設計すること。技能実習2号を良好に修了すれば試験免除で特定技能1号へ移行できます。これが今のうちに使える最も確実なルートです。

ふたつ目は、2027年4月以降の受け入れ方針を決めておくこと。育成就労に乗り換えるのか、特定技能に一本化するのか。育成就労では日本語A2相当が移行要件に明示される見込みなので、日本語学習の機会をどう確保するかが論点になります。

技能実習と特定技能の違いに関するよくある質問

Q1. 技能実習と特定技能の違いは何ですか?

A. 制度の目的が「国際貢献・技能移転」か「人手不足の解消」かで根本的に異なります。そこから、入国時の技能水準(技能実習は不要/特定技能は試験合格が必要)、転職の可否、人数枠の有無などがすべて変わります。

Q2. 技能実習はなくなるのですか?

A. 2027年4月1日に育成就労制度へ移行します。2027年4月1日以降、新たな技能実習計画の認定申請はできないため、技能実習での新規受入れは2027年3月末で終了です。ただし2027年3月までに入国した実習生は現行制度のまま継続できます。

Q3. 今から始めるならどちらですか?

A. 即戦力が必要なら特定技能一択です。試験合格済みで人数枠もなく、制度変更の影響も受けません。1〜2年かけて育てたい場合は、技能実習(2027年3月末まで)か、2027年4月開始の育成就労を待つ選択になります。

Q4. 技能実習から特定技能に移れますか?

A. 移れます。技能実習2号を良好に修了すれば、技能試験・日本語試験が免除されて特定技能1号へ移行できます。すでに実習生がいる企業にとって、最も確実なルートです。

Q5. 育成就労と技能実習は何が違いますか?

A. 目的が「人材確保・人材育成」に変わり、期間は原則3年(技能実習は最長5年)、転籍も一定要件で緩和されます。対象は17分野(特定技能19分野から航空・自動車運送業を除いたもの)です。

まとめ

技能実習と特定技能は、目的が違う別の制度です。技能実習は「実習」なので実習計画・監理団体・人数枠が要り、特定技能は「就労」なのでそれらが要りません。この一点から、13項目の違いがすべて導かれます。

2026年のいま、比較すべき制度は3つです。技能実習の新規受入れは2027年3月末で終了し、2027年4月から育成就労が始まります。育成就労は原則3年で、特定技能1号と合わせて最長8年——技能実習3号までの10年より、2年短くなります。

ただし、制度変更を理由に検討を止める必要はありません。

即戦力が必要なら特定技能です。試験合格済みで、人数枠もなく(建設・介護を除く)、制度変更の影響も受けません。1〜2年かけて育てたいなら、技能実習は残り時間が限られているため、育成就労を待つ設計も合理的です。

すでに技能実習生がいる企業は、慌てる必要はありません。2号を良好に修了すれば試験免除で特定技能1号へ移行できる——これが今のうちに使える最も確実なルートです。

お問い合わせいただいた方に
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