フィリピン人採用のメリットとは?特定技能のMWO・DMW手続きをわかりやすく解説
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「求人を出しても日本人が集まらない」「外国人を採用したいが、どの国から始めればいいかわからない」——製造業・食品業の現場でこうした声が急増しています。
そんな企業に注目されているのがフィリピン人材です。英語力・適応能力の高さ・若年層の豊富さから、特定技能制度での受け入れ人数は年々増加。2025年10月末時点でフィリピン人の特定技能在留者数は国籍別4位にまで拡大しました。
一方で、フィリピン人採用にはMWO・DMWといった独自の手続きが必要で、「複雑そうで踏み出せない」と感じる担当者も多いのが実態です。
本記事では、フィリピン人を特定技能で採用するメリット・受け入れの流れ・費用・注意点を、製造・食品業の担当者向けにわかりやすく解説します。

目次
日本で働く特定技能フィリピン人の最新実態
出入国在留管理庁の発表によると、特定技能在留外国人数は2025年10月末時点で286,225人と過去最高を更新し続けています。2022年6月時点の87,472人と比較すると、わずか3年半で約3.3倍に急増したことになります。
国籍別に見ると、フィリピン人はベトナム・インドネシア・ミャンマーに次ぐ第4位を占めており、存在感を増しています。2022年6月時点の8,681人から2025年10月末には26,634人と約3倍に増加しました。
参考:「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和7年10月末時点)
特定技能でフィリピン人を採用する5つのメリット
フィリピン人の受け入れが急増する背景には、日本企業にとっての明確なメリットがあります。
| フィリピン人の特徴 | 企業側のメリット | |
|---|---|---|
| ① | 若年層が豊富で国外就労への抵抗が少ない | 即戦力の若い人材を確保しやすい |
| ② | 技能実習生が多く特定技能への移行がしやすい | 採用コスト・手間を大幅に削減できる |
| ③ | 英語が公用語でコミュニケーションが図りやすい | 現場の指示・支援体制の準備が容易 |
| ④ | 適応能力が高く家族志向で就業意欲が強い | 定着率が高い傾向がある |
| ⑤ | 教育水準が高くTESDA等の職業訓練が充実 | 業務習得が早く即戦力になりやすい |
以下でそれぞれ詳しく解説します。
①若年層が豊富で国外就労への抵抗が少ない
2026年5月時点のフィリピン総人口は約1億1,772万人で増加傾向が続いています。労働年齢人口(15〜64歳)は約67.63%を占めており、若手の働き手が豊富です。また、フィリピン国内の平均月収は約12万円、中央値は2万ペソ前後(約5〜6万円)と日本と比べて低く、国外での出稼ぎ就労者はフィリピン人全体の約1割を占めます。若くて意欲的な人材を確保しやすい環境が整っています。
参考:人口ピラミッド – フィリピンの2026年の人口ピラミッド
②技能実習生が多く特定技能への移行がしやすい
特定技能1号を取得するには「日本語能力試験」と「業種別技能試験」への合格が必要ですが、技能実習2号を良好に修了した方は両試験が免除される場合があります。
2025年10月末時点でフィリピン人技能実習生は国内在留47,019人(在留者数3位)にのぼります。すでに日本で実績のある技能実習生を特定技能に移行させることで、採用コストと手間を大幅に削減できます。
参考:「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和7年10月末時点)
③英語が公用語でコミュニケーションが図りやすい
フィリピンでは英語が公用語のひとつであり、約9割以上の国民が英語を使えます。現場での指示出しやマニュアル説明が英語で行えるため、他の国籍と比べてコミュニケーションの負担が大幅に軽減されます。また、特定技能外国人への支援体制では「理解できる言語での対応」が義務付けられていますが、英語対応が可能であればその準備も格段に容易になります。
④適応能力が高く就業意欲が強い
フィリピン人は多民族・多文化の環境で育ち、社交性と異文化への適応能力が高い国民性を持っています。新しい職場環境にもなじみやすく、チームへの溶け込みが早い傾向があります。また、「家族のために稼ぎたい」という強い就業意欲を持つ方が多く、離職率が低く定着率が高い傾向も見られます。
⑤教育水準が高く職業訓練が充実している
フィリピンの高等教育機関は1,856校(QS調査)と東南アジアでトップクラスの数を誇ります。また、2012年から義務教育が「K10」から「K12」制度に移行し、基礎学力・専門性の底上げが進んでいます。労働雇用省(DOLE)傘下の「技術教育・技能開発庁(TESDA)」は全国3,966機関で職業訓練を推進しており、業務習得が早い人材を輩出しています。
参考:フィリピンの大学ディレクトリー
参考:EduRank List of 100 best universities in the Philippines
フィリピン人採用で必須!DMW・MWOとは何か
フィリピン人を採用する際には、日本の在留資格手続きに加えて、フィリピン政府独自の制度「DMW」と「MWO」への対応が必須です。この手続きを経ずに採用活動を行うことは原則禁止されています。
DMW(旧・POEA):フィリピン移住労働省
DMW(Department of Migrant Workers)は、海外で働くフィリピン人(OFW)の保護・支援・就労許可を管轄するフィリピンの政府機関です。以前はPOEA(フィリピン海外雇用庁)という名称でしたが、2022年秋に組織再編によりDMWに改称されました。
日本企業がフィリピン人を採用するには、DMWへの雇用主登録が必要です。登録が完了してはじめて、フィリピン人材との雇用契約締結が可能となります。DMWへの未登録は法令違反となり、罰則を受ける可能性があります。
MWO(旧・POLO):移住労働者事務所
MWO(Migrant Workers Office)は、DMWの海外出先機関として日本に設置された事務所です。以前はPOLO(フィリピン海外労働者事務所)と呼ばれていました。日本にはMWO東京(在東京フィリピン共和国大使館内)とMWO大阪(在大阪フィリピン総領事館内)の2拠点があります。
受け入れ企業はMWOに雇用契約書などの必要書類を提出し、フィリピン労働担当官との英語面接を受けます。面接は代行を依頼できませんが、通訳の同席は認められています。審査を通過するとMWOの認証印が押印された書類と推薦書が送られ、これをもってDMWへの登録へ進みます。
OEC(海外雇用許可証):フィリピン人材の出国に必要
OEC(Overseas Employment Certificate)は、フィリピン人が海外で就労するために必要な出国許可証です。DMWのシステムに雇用主情報が登録されている必要があるため、DMWへの登録が完了していなければOECは取得できません。OECがなければフィリピン人は出国できないため、受け入れ企業側のDMW登録は欠かせないステップです。
特定技能フィリピン人の受け入れにかかる費用目安
費用は採用方法・国内外の在籍状況・支援の委託範囲によって異なります。以下はあくまで目安としてご参照ください。
| 分類 | 費用項目 | 概ねの費用・頻度 |
|---|---|---|
| 採用に関わる費用 | 人材紹介手数料 | 10〜30万円/回 |
| 送り出し機関への手数料 | 10〜60万円/回 | |
| 申請・更新・支援費用 | 在留資格申請費用 | 10〜20万円/回 |
| 在留資格更新費用 | 3〜6万円/更新都度 | |
| 義務的支援委託費用(登録支援機関) | 1.5〜4万円/毎月 | |
| 渡航・入国費用 | 入国時の渡航費用 | 5〜10万円/回 |
| 住居の準備費用 | 居住条件による | |
| 給与・福利厚生 | 諸条件による |
※義務的支援委託費(登録支援機関)の相場は1.5〜4万円/月が一般的です。
※海外からの採用の場合、渡航費・住居準備費が別途必要です。国内在留者の採用は初期費用を抑えられる傾向があります。
なお、「外国人は安く雇える」という誤解がありますが、最低賃金法・同一労働同一賃金は日本人と同様に適用されます。費用対効果の観点では、「地方・工場エリアでも応募が集まる」「定着率が高い」という点がフィリピン人採用のメリットです。
国外からのフィリピン人特定技能の受け入れ手順
フィリピン在住の人材を採用する場合、日本の在留資格手続きとフィリピン独自の手続きを並行して進める必要があります。概ねの流れは以下の通りです。
- フィリピン人特定技能の受け入れ手順
- フィリピン政府認定の送り出し機関(PRA)を選定し人材紹介契約を締結
- MWO(東京または大阪)へ必要書類を提出(オンラインシステム経由または郵送)
- MWOにてフィリピン労働担当官による英語面接(約2週間で審査結果通知)
- MWOの認証書類を送り出し機関経由でDMWへ提出・DMW登録完了
- 現地送り出し機関からの人材紹介開始・候補者面接
- 雇用契約の締結(母国語+日本語での書面交付が望ましい)
- 事前ガイダンスの実施・健康診断
- 支援計画の策定
- 在留資格認定証明書(COE)の交付申請 ※有効期限3ヶ月に注意
- 査証(ビザ)発給申請
- 出国前オリエンテーション・健康診断の受診(フィリピン側)
- フィリピン人材によるOEC(海外雇用許可証)の取得
- 入国・就労開始
※COE(在留資格認定証明書)には発行から3ヶ月の有効期限があります。フィリピン側の手続き完了後にCOE申請を行うのが安全です。
国内在留フィリピン人を採用する場合の注意点
すでに日本に在留しているフィリピン人を採用する場合も、原則としてDMWへの雇用主登録が必要です。ただし、以下の在留資格を持つ方については例外となります。
- 例外の在留資格
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
上記以外(留学生・特定活動・技能実習生から特定技能への移行など)の場合は、国外採用と同様のDMW・MWO手続きが必要です。国内在留者の採用は渡航費が不要な分コストを抑えやすいですが、手続きを省略できるわけではない点に注意しましょう。
フィリピン人採用を成功させる3つのポイント
①信頼できる送り出し機関の選定が最重要
フィリピン認定の送り出し機関は複数存在しますが、契約条件・得意分野・対応力はそれぞれ異なります。過去の実績・日本企業との連携経験・DMW認定の有無を確認し、慎重に選定してください。信頼できない機関と契約すると、手続きの遅延や追加費用が発生するリスクがあります。
②MWO面接の準備を万全にする
MWO面接は英語で行われ、雇用の目的・事業内容・労働条件などを担当官から直接確認されます。代行は認められていませんが、通訳の同席は可能です。事業内容や受け入れ条件を英語で明確に説明できるよう事前準備が不可欠です。
③はじめての採用は人材紹介会社へ相談が安心
特定技能特有の手続きに加え、フィリピン独自のDMW・MWO対応が絡む受け入れは、自社だけで完結させようとすると相当な知識と労力が必要です。特にはじめての採用では、製造・食品業に精通した人材紹介会社や登録支援機関に相談することで、手続きを効率化しリスクを大幅に低減できます。
まとめ
フィリピン人の特定技能採用は、製造・食品業の人手不足解消に有効な選択肢です。若い労働力・英語力・高い定着率・豊富な技能実習生からの移行ルートなど、企業にとっての強みが多くあります。
ただし、DMW・MWOといったフィリピン独自の手続きが必要であり、他国籍の特定技能外国人と受け入れ方法が大きく異なる点には注意が必要です。要点を以下に整理します。
- 総まとめ
- フィリピン人特定技能は2025年10月末時点で国籍別4位(26,634人)と急増中
- 英語・適応力・若年層の豊富さが製造・食品現場での強み
- 技能実習2号修了者は試験免除で特定技能に移行でき、採用コストを削減できる
- 採用にはDMW登録・MWO審査・OEC取得というフィリピン独自の手続きが必須
- はじめての受け入れは、フィリピン人材に精通した支援会社への相談が近道
キャリアリンクファクトリーでは、製造業・食品業に特化した特定技能外国人の受け入れ支援を行っています。フィリピン人材の採用・手続きサポートについてはお気軽にご相談ください。


