ベトナム人の労働者を雇用・採用する3つの方法と日本で働く理由などを紹介

外国人雇用
公開日:23.10.06/更新日25.09.16
ベトナム人の労働者を雇用・採用する3つの方法と日本で働く理由などを紹介

少子高齢化により日本の労働力人口は年々減少しています。そんな中、多くの企業では、ベトナム人を雇用して人手不足の解消に繋げており、日本で働くベトナム人は年々増加傾向です。

しかし、ベトナム人を雇用するメリットや、雇用する方法がわからないといったお悩みもよく耳にします。

この記事では、ベトナム人の雇用が増加している実態と理由、雇用する方法やメリットを紹介いたします。

  • 記事の要約
  • 日本の外国人労働者数=230.2万人、前年比25.3万人増加、過去最高更新
  • ベトナム人労働者=57万人、全体の約4分の1、特定技能の43.7%を占め最多
  • 在留資格別割合=技能実習39.1%、専門的・技術的分野34.4%、特定技能15.9%
  • 日本で働く理由=親日感情、技術習得、生活環境・治安の良さ、高収入
  • 企業側のメリット=労働力人口減少の補填、34歳以下の若者雇用、日本と相性の良い国民性
  • 雇用方法=①就労制限のない在留資格、②技能実習、③特定技能
  • 最適選択=人手不足解消目的なら特定技能、研修目的なら技能実習
  • 職場環境条件=日本語学習支援、福利厚生、サポート体制、キャリアプラン、文化理解

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ベトナム人の雇用が増加している実態と理由

厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末現在)では、外国人労働者数は230.2万人(前年比253,912人増加)となっております。届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新しています。

外国人労働者が増加する背景には、ベトナム人労働者の増加が挙げられます。国籍別の内訳でベトナム人の割合が最も多く、全体の約4分の1(約57万人)を占めており、その人数は年々増加傾向です。

特定技能に限ると、全国籍人数でみると206,995人のうち、90,621人がベトナム人で約43.7%占めています。
参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末現在)

ベトナム人の雇用が増加している理由

ベトナム人の雇用が増加している理由として、外国人労働者受け入れ制度の拡大を目的に2019年4月に新たに導入された「特定技能」の在留資格が考えられます。

特定技能とは、国内人材の確保が困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的に創設された在留資格です。

ベトナム人労働者の在留資格別割合を見ると、在留資格保有のベトナム人が570,708人おり、全国籍が、特定技能が分類される「専門的・技術的分野の在留資格」が、在留資格保有のベトナム人全体に対しての34.4%(196,049人)であり、特定技能に限ると全体の15.9%(90,621人)という状況です。

このことから、特定技能の在留資格を持つベトナム人労働者に対する日本企業のニーズが高まっていることがわかります。

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ベトナム人の在留資格別労働者数(表)

 令和6年10月末令和5年10月末
人数割合人数割合前年比人数
全在留資格計570,708100.00%518,364100.00%52,344
専門的・技術的分野の在留資格196,04934.4%159,96230.83%36,087
特定活動27,6434.8%27,3015.26%342
技能実習223,29139.1%209,30540.37%13,986
資格外活動101,88617.8%101,53019.584%356
身分に基づく在留資格21,8353.8%20,2623.90%1,573
不明40.00%00.00%▲ 4

参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末現在)

参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末現在)

特定技能のベトナム人が増加している理由

特定技能の在留資格を持つベトナム人の雇用が増加している背景には、技能実習生として日本に来たベトナム人が、特定技能の在留資格に変更しているケースが増加しているからです。

技能実習生は470,725人在留しておりますが、その内223,291人(約47%)と多くがベトナム人です。

参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末現在)

日本はベトナムと比べて給与水準が高く治安も良いので、長く日本に在留していきたいと考え、在留期間を延長できる特定技能の在留資格に変更していると考えられます。

ベトナム人が働き先として日本を選ぶ理由とは?

ベトナム人が働き先として日本を選ぶ理由とは?

日本で働くベトナム人が多い理由は、制度の拡充だけではありません。ここでは、制度面以外での理由について紹介します。

日本へ好印象を持っているため

ベトナムは言わずと知れた親日国です。ベトナムで使用されているバイクのほとんどが日本製で、日本製のバイクはベトナム全体に浸透しているほどです。また、日本製の製品は高品質なことで有名で、家電製品や化粧品は多くのベトナム人から支持されています。

また、日本の漫画やアニメはベトナムでも人気で、好印象を持つ要因のひとつです。日本の漫画・アニメをみて育ったベトナム人も少なくはありません。

日本の技術を勉強したい人が多いため

ベトナムは新興国で製造業や裾野産業はまだまだ発展途上の段階です。少しずつではありますが、ベトナムの技術力は向上しているとはいえ、日本と比べるとまだまだです。日本の技術を勉強してベトナムへ帰国後した後、仕事に役に立てたいという若者も多いです。

生活環境や治安が良いため

日本の社会保障制度や企業の福利厚生制度はベトナムより優れています。また、犯罪に巻き込まれる可能性が低く、夜も出歩けるほど安全で住みやすいというのもベトナム人が日本へ働きに来る理由のひとつです。

給料が良いため

ベトナムで働くよりも日本で働いた方が多くの収入を得られるため、日本に働きにくるベトナム人もいます。ベトナム国内で高給と言われる月収を日本では比較的簡単に稼げることができるため、働き先として人気の理由のひとつです。

ベトナム人を雇用するメリット

ベトナム人を雇用するメリット

働きたいベトナム人が多く存在しても、雇用側が受け入れなければ在留資格は取得できません。ベトナム人の雇用が増加している理由には、日本企業のベトナム人に対するニーズの高まりも考えられます。ベトナム人を雇用する企業には、以下のメリットが考えられます。

日本の労働力人口の減少を補うことができる

少子高齢化の影響で、日本の労働力人口は年々減少しております。総務省統計局公表の労働力人口で公表されたデータで確認すると、2003年から2023年の約20年間で173万人減少しております。特に15~34歳の労働力人口は476万人もの著しい減少となっており、逆に55~64歳は152万人増加しております。

参考:労働力調査 長期時系列データ

製造業の就業者数を厚生労働省の「2025年版ものづくり白書」で確認すると、製造業の就業者数は、2023年の1,055万人から2024年の1,046万人へと減少している。全産業に占める製造業の就業者の割合は低下傾向で推移しており、直近においても2023年が15.6%、2024年が15.4%と減少した

製造業の若年就業者数は2012年頃まで減少傾向が続き、以降はほぼ横ばいで推移しており、2024年は259万人となっている。

参考:2025年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第 8条に基づく年次報告)

一方、全世界の人口は年々増加傾向にあります。ベトナムを含む外国人労働者の受け入れを進めることで、日本人の労働力人口の減少を補うことができるのです。

34歳以下の若者の就業も期待できる

日本人の人口は約1.2億人、平均年齢は約49歳と、世界で2番目に高齢化が進んだ国となっています。

一方、ベトナムの人口は約1億人で、平均年齢は約31歳と、日本人と比べとても若いことがわかります。日本人の労働力人口減少を補うだけでなく、若者の就業が期待できるベトナム人の雇用に、メリットを感じる企業が増加しているのです。

ベトナム人の国民性が日本と相性が良い

ベトナム人の行きたい国ランキングでは日本が1位に選ばれたこともあります。ベトナム人の多くが日本に良い印象を持っていることがわかります。

背景として、日本がベトナムのインフラ構築を行ってきたという歴史や、ベトナム人が日本のドラマやアニメを見て育ち、関心や親しみを感じている傾向があります。

また、日本は技術力が高く、ベトナム国内で働くよりも高収入となる場合が多いため、関心や親しみを感じる日本で技術や知識を習得しながら、母国の家族のために稼いでいきたいというニーズが多いと考えられるのです。

外国人の受け入れは宗教による考え方の違いや制約を受ける場合がありますが、ベトナム人は宗教による制約が少なく、トラブルが起こりにくい点も挙げられます。

ベトナム人の国民性は日本との相性が良く、他の国と比較しても受け入れを進めやすいのが実態です。

ベトナム人を雇用する3つの方法

ベトナム人を雇用するには、主に以下3つの方法が挙げられます。

  • ベトナム人雇用の3つの方法
  • 就労制限のない在留資格を持つ人を雇用・受け入れする
  • 技能実習生の受け入れをする
  • 特定技能の在留資格で雇用する

それぞれ紹介いたします。

就労制限のない在留資格を持つ人を雇用する

就労制限のない在留資格を持つ人は、「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」の在留資格を持つ外国人労働者が該当します。

就労活動に制限がない在留資格として扱われ、就労の制限がありません。日本人と同様に様々な仕事に就くことができます。雇用は国内で行え、人材派遣や職業紹介の活用も可能です。

技能実習生の受け入れをする

技能実習とは、技能・技術・知識を開発途上地域等へ移転し、経済発展を担う人づくりに寄与することで、国際貢献することを目的に創設された制度です。建設業・食品製造業・耕種農業・機械加工など91の職種で、最長5年間技能を実習しながら学ぶことができます。

技能実習は1号・2号・3号があり、それぞれ技能実習の区分を示すものです。技能実習1号からスタートし、規定を満たした技能実習生が技能評価試験に合格することで、2号、3号に進むことができます。技能を実習できる期間は区分により異なり、技能実習1号は1年、2号は3年、3号は5年まで在留し実習を行えます。

しかし、本来の目的が技能の実習ですので、単に労働力の確保を目的とした雇用はできません。あくまで、仕事をしながら技能を実習する制度です。また、実習できる業務内容や受け入れ可能な人数の制限があるなど、規定が細かく設定されておりますので注意が必要です。

また、雇用拠点は海外(技能実習生が居住する現地)となります。現地の監理団体に加盟して実習生の候補者を紹介してもらい、紹介を受けた候補者の面接を受け入れ先企業が行い、実習生を選定します。

選定した実習生の入国準備を監理団体と連携して行い、入国後には日本での暮らしをサポートする研修や生活補助を実施、その後技能実習がスタートする流れが一般的です。

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特定技能の在留資格で雇用する

特定技能とは、国内人材の確保が困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人の受け入れを目的に創設された在留資格です。特定技能が創設されたことで、外国人労働者が新たな分野で就労できます。

特定技能は対象者の知識や技能によって、1号と2号に区分されます。特定技能1号の在留資格で雇用できる対象業務は、国内人材の確保が困難な12業種です。

雇用できる期間は、特定技能1号なら通算で5年間就業が可能、特定技能2号は就業期間の制限を受けずに働くことができます。

技能試験及び日本語試験に合格、または技能実習2号を修了している外国人は、特定技能1号へ在留資格の変更が可能です。そのため、国内・海外の両方で幅広く求人募集できます。

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どの方法でベトナム人を雇用するべきか

ベトナム人を雇用する3つの方法は、それぞれ特徴が異なります。

就労制限のない在留資格を持つ人の雇用は、期間や業種などの制限が無く、日本人の雇用と同様のイメージで雇用できます。手間がかからず雇用方法もシンプルです。

デメリットとしては、就労制限のない在留資格を持つベトナム人労働者の数が少なく全体の約3.8%(21,835人)程度となり、求人募集を行っても応募に繋げることが難しい実態です。人材派遣や人材紹介も可能なので、自社求人と合わせて依頼すると良いでしょう。

特定技能の在留資格を持つ人の雇用は、期間・業種の制限や在留資格の申請・更新の手間があるものの、国内人材の確保が困難な状況にある産業分野が受け入れ可能業種となっており、在留期間も長く、雇用しやすい在留資格です。

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また、在留資格の対象者も多く、技能実習2号からの変更も可能なので、今後対象者は更に増加すると考えられます。人手不足の解消を目的とする場合、求人対象が多いので効果的です。

技能実習の在留資格は、受け入れの本来の目的が実習であり、人手不足解消のための労働ではありません。そのため、受け入れできる業種も限定されており、実習開始後も定期的なサポートや技能試験の受講が必要です。実習を行いたい研修生と企業のニーズが一致した場合は効果的ですが、単に人手不足の解消を目的とした受け入れはリスクが生じます。

ベトナム人が働きたいと思う職場環境について

ベトナム人も日本であればどこでも良いというわけではなく、次のような働きたい職場環境の希望があります。

  • ベトナム人が働きたいと思う職場環境
  • 日本語の学習環境があるのか
  • 給与・福利厚生が良いのか
  • 丁寧な指導や困ったときのサポート体制があるのか
  • キャリアプランや昇進プランなどに将来性があるのか
  • 自国の文化や考え方を受け入れてくれるのか
  • 家族を優先して働くことができる環境なのか

これらを参考に、ベトナム人を受け入れる体制などを整えておくと良いでしょう。

まとめ

ベトナム人の雇用は日本人の労働力人口減少を補う有効的な手段です。人手不足の解消を目的にベトナム人の雇用を進める場合には、就労制限のない在留資格や特定技能を持つベトナム人の採用が良いでしょう。

いずれの在留資格を持つベトナム人も、採用には知識やノウハウが必要となります。自社で採用活動が難しい場合には、外国人の採用に特化した人材派遣や人材紹介を行える会社に相談・依頼することが有効的です。

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