特定技能制度の受け入れできる16分野と職種の概要と現状を徹底解説!

外国人雇用
公開日:24.01.06/更新日:25.04.01
特定技能制度の受け入れできる16分野と職種の概要と現状を徹底解説!

日本の労働市場が直面する深刻な人手不足の問題を解消するため、特定の技能や専門知識を持つ外国人労働者を受け入れる「特定技能制度」が、2019年にスタートしました。この制度は、国内で労働者を確保するのが難しい産業分野に焦点を当てています。

2023年8月の時点で、約18.5万人の外国人が特定技能制度を通じて日本で働いています。日本の労働者不足は将来的にさらに深刻化すると予測され、即戦力として期待できる外国人労働者への需要は高まることが見込まれています。

ただし、特定技能制度は受け入れ可能な分野が限定されているため、注意が必要です。この記事では、特定技能制度の基礎知識と、受け入れ可能な16分野の概要や現状をわかりやすく説明いたします。

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特定技能とは?

「特定技能」とは、特定の産業分野で働くための技能を持つ外国人労働者を対象とした在留資格です。「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つに分かれており、求められる能力や在留条件などに違いがあります。また、受け入れできる産業分野が指定されておりますので、注意が必要です。

▼特定産業分野(16分野)

介護、ビルクリーニング、工業製品製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野)、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業

特定技能1号のポイント

  • 特定技能1号のポイント
  • 在留期間:最大5年(1年・6カ月・4カ月ごとの更新)
  • 技能水準:各分野毎の相当程度の知識又は経験を必要とする技能が必要(試験有り)※技能実習2号を修了した外国人は試験を免除
  • 日本語能力水準試験:有り ※技能実習2号を修了した外国人は試験を免除
  • 家族の帯同:原則不可
  • 支援:受け入れ機関又は登録支援による支援が必要
  • 永住権:取得できない

特定技能2号のポイント

  • 特定技能2号のポイント
  • 在留期間:制限無し(3年・1年・6カ月ごとの更新)
  • 技能水準:各分野毎の熟練した技能が必要(試験有り)
  • 日本語能力水準試験:無し
  • 家族の帯同:要件を満たせば可能(配偶者、子)
  • 支援:受け入れ期間又は登録支援機関の支援は不要
  • 支永住権:要件を満たせる可能性がある

2023年に特定技能2号の対象分野が11分野に拡大へ

これまで特定技能2号の受け入れ対象分野は、建設と造船・舶用工業の2分野のみでしたが、2023年6月から新たに9分野が追加されて、11分野に拡大となりました。追加された9分野は以下の通りです。

  • 2023年6月から追加された9分野
  • ビルクリーニング業
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野
  • 自動車整備業
  • 航空業
  • 宿泊業
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業

2024年3月に4分野が追加されました。

2024年3月に以下の4分野の追加が決定し、2024年に受け入れを開始いたしました。

  • 2024年3月に追加された4分野
  • 自動車運送業
  • 鉄道
  • 林業
  • 木材産業

特定技能の16分野(旧14分野)の業務内容と雇用形態まとめ

特定技能1号で受け入れ可能な分野は、2022年4月から製造業の3分野(素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業)を統合しました。さらにその後、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業が追加され、16分野に再編されました。16分野の概要と、受け入れの現状をそれぞれ紹介いたします。

介護

◆概要

特定技能「介護」は、介護に関わる業務を担当できる在留資格で、介護士や看護助手として働くことが可能です。具体的には、入浴介助や食事介助などの身体介護に加え、これらに付随する支援業務も含まれます。

ただし、訪問介護サービスでの就労は現時点では認められていません。しかし、訪問介護における人手不足が深刻であるため、今後、訪問系サービスでの就労が可能になるような議論が進められています。

また、介護は特定技能2号が設けられていない分野です。

◆現状

2024年6月末時点で、特定技能「介護」の在留資格を持ち日本国内に在留している外国人は36,719名に達しています。この在留資格は、介護分野の人手不足を補うために設けられており、今後もその重要性が高まると考えられています。

特定技能「介護」の試験は、日本国内だけでなく海外でも積極的に実施されており、2024年6月末時点での合格者数は87,371人に上ります。海外での試験はフィリピンをはじめとする12か国で行われており、最近ではインドネシア国籍の合格者数が特に増加しているのが特徴です。このように、特定技能「介護」の試験は国内外で広く実施されており、多国籍の人材が介護分野で活躍する環境が整いつつあります。

◆対象の特定技能資格

特定技能1号

ビルクリーニング業

◆概要

建築物内部の清掃を通じ、衛生環境保護、美観維持、安全確保に従事します。特定の場所や部分、建材の種類、汚れの程度によって、適切な洗剤や掃除用具を選ぶ専門的な知識が求められます。

◆現状

2024年6月末時点で、ビルクリーニング分野に在留している特定技能1号の外国人は4,635人で、他の分野と比べると在留者数は多くありません。しかし、ビルクリーニング業界は全国的に人材確保が難しい状況にあります。厚生労働省の資料によると、2022年度におけるビル・建物清掃員の地域別有効求人倍率は、北陸地方が最も高い3.76倍、南関東地方が最も低い2.04倍でした。これは、建築物衛生法の対象となる建物が増加し、適切な衛生管理と清掃が求められる環境が広がっていることが主な要因と考えられます。

清掃業界では、作業効率を向上させるロボットの開発や、賃金改善の取り組み、さらに女性や高齢者の活用が推進されていますが、それでもなお人手不足が続いています。このような背景から、特定技能外国人の受け入れが人材補充の重要な手段となっています。

特定技能1号の取得には、ビルクリーニング分野の特定技能評価試験への合格が必要であり、2024年6月末時点でこの試験に合格した外国人は9,101人に達しています。特定技能1号の試験は、日本国内に加えてインドネシアなど5カ国で実施されています。

さらに、特定技能2号試験を受験するためには、現場管理の実務経験が2年以上あることを証明する書類が必要です。試験の申し込みは外国人個人ではなく、受入れ企業が代行して行う必要があります。これらの要件を満たすことで、より高度なスキルを持つ外国人材がビルクリーニング業界で活躍する道が開かれています。

◆対象の特定技能資格

特定技能1号・2号

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工業製品製造業(2022年に3分野統合):素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野

2024年6月末時点で、特定技能「工業製品製造業」分野における在留外国人数は44,067人となっています。

この分野は、もともと「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」の3分野に分かれていましたが、2022年に統合されました。

特定技能制度全体では、2024年6月末時点で在留外国人数が251,594人に達しており、その中で「工業製品製造業」分野は主要な受け入れ分野の一つとなっています。

また、2024年から2028年にかけての「工業製品製造業」分野の受け入れ見込み数は、17万3,300人と設定されており、今後もさらなる受け入れ拡大が見込まれています。

素材系(参考)

▪概要

金属、プラスチック、ファインセラミックスなどの素材に、熱や圧力を加えて成形したものを「素形材」と呼びます。その素形材を部品・部材などに加工することを対象としています。

▪現状

2022年12月末時点で、特定技能分野における受け入れ人数は統合した総数で27,725人に達しています。

産業機械製造(参考)

▪概要

産業用機械の製造では、事務所や工場内で使用される様々な機械を対象としています。

▪現状

2023年までの受け入れ見込み人数は5,250人でしたが、実際には2022年3月末時点で6,021人が受け入れられ、見込みを超えたため、2022年4月1日から新たな在留資格認定証明書の発行が停止されています。

最も多くの外国人労働者を受け入れている国内産業は製造業であり、技能実習生が特定技能へ切り替えるケースが増加しています。現在の特定技能人材のほとんどが、この切り替えによるものとなっています。

参考:特定技能「産業機械製造業分野」における在留資格認定証明書交付の一時停止措置等について|出入国在留管理庁

▪対象の特定技能資格

特定技能1号・2号

電気・電子情報関連産(参考)

▪概要

電子機器の組み立てやめっき、機械加工などの業務を対象としています。

▪現状

電気・電子情報関連産業では、2022年3月末時点で3,258人の特定技能外国人が受け入れられています。

▪対象の特定技能資格

特定技能1号・2号

建設業

◆概要

左官、とび職、大工、ライフライン設備など建設関連全般に従事します。業務内容は多岐に渡ります。

2022年、全国初の特定技能2号認定

2022年4月、岐阜県在住の中国籍男性が、全国で初めて建設分野における特定技能2号の認定を受けました。この認定は、技能検定1級の取得や、建設キャリアアップシステムのシルバー判定の取得、そして現場責任者としての実績が評価された結果です。

現在、特定技能2号の評価試験が実施されており、試験に合格することで2号の取得が可能になります。この制度により、さらなる技能者の受け入れが進んでいくことが期待されています。

建設分野の業務区分変更

これまで建設分野の業務区分は19区分(18試験区分)に分かれていましたが、技能実習対象職種を含む全ての建設業に関わる作業を、特定技能制度の下で3つの業務区分に再編しました。

3つの業務区分は以下の通りです

◆業務区分【土木】

◆業務区分【建築】

◆業務区分【ライフライン・設備】

これにより、業務内容が整理され、特定技能人材の受け入れや実務の進行がより効率的に進められることが期待されています。

詳細な情報は、以下のリンク先をご確認ください。

業務区分の統合に係る関係資料【特定技能制度(建設分野)】|国土交通省

◆現状

2024年6月末時点で、建設分野で働く特定技能1号の外国人は31,853人で、全体の12.7%を占め、12分野中4番目に多い分野となっています。この数字は、技能実習から特定技能に在留資格を変更した技能実習生が多いことが主な要因です。

特定技能1号の試験合格者数は、2024年6月時点で1,853人にとどまり、在留者全体の約5.8%にすぎません。つまり、建設分野で働く特定技能外国人のほとんどが、技能実習から在留資格を変更した人材であることがわかります。これは、移行対象分野であれば試験を受けずに在留資格変更が可能である制度の影響です。

在留者数を区分別に見ると、土木が18,850人、建築が11,065人、ライフライン・設備が1,938人となっています。一般的には建設業といえば「建築」をイメージする人が多いですが、特定技能外国人が最も多く活躍しているのは「土木」の区分であることがわかります。このように、建設分野における特定技能外国人の活躍は、分野ごとに特徴があります。

◆対象の特定技能資格

特定技能1号・2号

造船・舶用工業

◆概要

船舶及び舶用の溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、電気機器組立てに従事します。

◆現状

2024年6月末時点で、この分野で働く特定技能1号外国人は8,703人であり、その中でも「溶接」が4,861人と過半数を占めているのが大きな特徴です。「溶接」分野における外国人の需要が特に高いことがうかがえます。

特定技能1号の評価試験は集合形式で行われており、日本国内だけでなく、海外ではフィリピンで実施されています。一方、特定技能2号の試験は「溶接区分」のみ実施されており、2024年6月末時点での合格者数は85人となっています。特定技能2号の取得には、造船・舶用工業分野で2年以上の監督者としての実務経験が必要です。この要件を満たすことで、さらに高度な技能を持つ外国人が活躍できる環境が整えられています。

◆対象の特定技能資格

特定技能1号・2号

自動車整備業

◆概要

特定技能「自動車整備」では、車両の点検や整備作業に加えて、関連する幅広い業務を担当することが可能です。具体的には、日常点検整備、定期点検整備、分解整備などが基本業務となり、それに付随する業務として「整備内容の説明や関連部品の販売」「自動車の板金塗装や下廻り塗装作業」「洗車作業」「車内清掃作業」なども含まれます。

ただし、自動車の組み立て作業は「製造業系」の分野に分類され、自動車整備業務とは異なりますので、注意が必要です。

◆現状

2024年6月末時点で、自動車整備分野における特定技能1号の外国人は2,858人が受け入れられています。他の分野と比べると、受け入れ人数はそこまで多くないのが現状です。

特定技能1号の技能評価試験は国内外で実施されていますが、海外ではフィリピンとベトナムの2カ国に限られています。2024年6月末時点での特定技能1号試験合格者数は3,365人であり、試験合格者と在留者数との間には一定のギャップが見られます。

一方で、特定技能2号の試験はほぼ毎日実施されており、今後この分野における特定技能外国人の在留者数がどのように変化するか注目されています。この分野での受け入れ拡大に向けた取り組みが進む中、技能水準を高めた外国人材の活躍が期待されています。

◆対象の特定技能資格

特定技能1号・2号

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航空業

◆概要

「空港グランドハンドリング業務」(航空機の駐機場への誘導や移動、手荷物・貨物取扱業務、航空機内外の清掃整備業務など)と「航空機整備業務」(航空機の整備、大規模な定期整備など)の2部門があります。

◆現状

2024年6月末時点で、航空分野における特定技能1号外国人の在留者数は959人にとどまっています。その内訳は、「空港グランドハンドリング」が953人と圧倒的多数を占めており、「航空機整備」はわずか6人という状況です。現在、この分野で働く特定技能外国人のほとんどが「空港グランドハンドリング」に従事していることが特徴です。

特定技能1号の評価試験は、他の分野と比べて実施回数が少ないものの、2024年6月末時点での試験合格者数は3,066名となっています。海外では、フィリピン、インドネシア、ネパール、モンゴル、スリランカの5カ国で試験が実施されています。

また、2号の試験については、対象者がいないため未実施です。このことから、現在のところ1号外国人が中心となっており、航空分野での特定技能外国人の受け入れが今後どのように進展するか注目されています。

◆対象の特定技能資格

特定技能1号・2号

宿泊業

◆概要

宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の宿泊サービスの提供に係る業務に従事します。

ベットメイキングを主とした業務や、接待業務、簡易宿所・下宿・風俗営業法に規定されている施設では特定技能外国人を受け入れできません。

◆現状

2024年6月末時点で、特定技能「宿泊」分野で在留している外国人は492人で、全12分野の中で最も少ない在留者数となっています。一方で、特定技能1号試験の合格者数は6,694人に達しており、試験に合格しても別分野で就職したり、「技術・人文知識・国際業務」など別の在留資格を取得して働く外国人が多いと考えられます。

特定技能2号の評価試験を受験するためには、「宿泊施設における従業員の指導を伴う業務経験」が必要とされます。その要件には、フロント業務だけでなく、企画・広報、接客、レストランサービスなど、複数の業務を2年以上経験していることが含まれます。このため、1号で働く外国人が少ない現状では、これらの要件を満たせる人材も限られており、2号の試験受験者数は非常に少ない状況です。

さらに、旅館やホテル側での特定技能外国人雇用が遅れていることも課題として挙げられます。人材確保の難しさに加え、外国人雇用の実務対応や支援体制の整備が追いついていないことが、特定技能「宿泊」分野における外国人労働者の活用を妨げている要因となっています。今後の制度運用や雇用体制の改善が求められます。

◆対象の特定技能資格

特定技能1号・2号

農業

◆概要

特定技能「農業」の業務内容は、「耕種農業」と「畜産農業」の2つの区分に分けられます。

耕種農業では、「施設園芸」「畑作・野菜」「果樹」の栽培が対象となり、農作物の栽培を中心とした業務が含まれます。一方、畜産農業は「養豚」「養鶏」「酪農」が該当し、家畜の飼育や乳製品の生産に関連する業務を行います。

また、関連業務として、農畜産物の製造・加工、運搬、販売などの作業も許可されており、冬季には除雪作業などの付随業務にも従事することが可能です。このように、多様な業務内容が含まれるため、幅広いスキルが求められるのが特徴です。

「耕種農業」と「畜産農業」は、それぞれ別の試験が設けられており、合格した区分でのみ就労が可能です。両方の分野で働きたい場合には、それぞれの試験に合格する必要があります。

さらに、特定技能「農業」分野では、派遣形態の雇用も認められている点が特徴です。これは他分野にはない特性であり、農業分野における柔軟な雇用形態を実現する仕組みとなっています。これにより、企業や個人の多様な雇用ニーズに対応可能な環境が整備されています。

◆現状

特定技能「農業」分野は受け入れ規模が大きく、2024年6月末時点で特定技能1号の在留外国人は27,786人に達し、全体の11%を占めています。これは、特定技能全12分野中で5番目に多い人数です。もともと農業分野は技能実習生の受け入れが盛んであり、外国人労働者の採用や雇用について他分野より進んでいる業界です。

2024年6月末時点で、特定技能1号の試験合格者数は56,555名に上ります。この試験は海外12カ国で実施されており、外国人が受験しやすい環境が整っています。また、特定技能2号の試験も既に実施されており、回数を重ねるごとに合格者数が増加しています。これは、特定技能外国人がキャリアを積むことで、より高度な技能を評価される機会が増えていることを示しています。

試験の申し込みについては、1号の試験は外国人個人が申し込むことが可能であり、試験の必要書類は受入れ企業が準備・提出する必要があります。このような制度により、農業分野での特定技能外国人の活用が進みつつありますが、さらなる受け入れ拡大に向けて、支援体制の強化や雇用環境の整備が求められています。

◆対象の特定技能資格

特定技能1号・2号

漁業

◆概要

漁業分野は「漁業」と「養殖業」の2つのカテゴリーに分けられており、それぞれ異なる試験が設定されています。漁業も農業と同じく繁閑期あるため、派遣での特定技能外国人の受け入れが認められています。

◆現状

2024年6月末時点で、漁業分野における特定技能外国人の在留者数は3,035名と、比較的少ない人数となっています。その内訳は、「漁業」が1,988名、「養殖業」が1,047名で、「漁業」の方が多くの外国人が従事しているのが特徴です。

特定技能1号の試験に合格した人数は、2024年6月末時点で1,403名となっており、試験合格者数と在留者数には一定の差があります。これは、技能実習から特定技能へ在留資格を変更した外国人が多い可能性が示唆されます。

特定技能2号の申請要件には、日本語能力試験N3以上の合格が含まれています。このため、漁業分野で働くためには、一定以上の日本語スキルが求められる分野となっています。日本語能力が必要な分野であることから、特定技能2号の取得には言語面でのハードルがある一方、試験合格者の増加が期待される分野でもあります。

◆対象の特定技能資格

特定技能1号・2号

飲食料品製造業

◆概要

飲食料品製造分野では、酒類を除く飲食料品の製造、加工、安全衛生管理など、飲食料品製造全般の業務に従事することができます。この分野は在留者数が多く、求職者からの人気が高い分野の一つです。

対象となる業態は以下の7つに分類されます。

  • 対象となる7つの業態
  • 食料品製造業
  • 清涼飲料製造業
  • 茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)
  • 製氷業
  • 総合スーパーマーケット(食品製造を行うものに限る)
  • 食料品スーパーマーケット(食品製造を行うものに限る)
  • 菓子小売業、パン小売業、豆腐・かまぼこ等加工食品小売業(いずれも製造小売を行うものに限る)

以前はスーパーマーケットでの就業は認められていませんでしたが、2024年3月の閣議決定により「上乗せ基準告示」が改正され、総合スーパーマーケットや食料品スーパーマーケットでのバックヤード業務(食品製造を行う場合に限る)が対象業務に含まれるようになりました。これにより、飲食料品製造分野における就業機会がさらに広がり、多様な外国人労働者が活躍できる環境が整備されています。

この分野は、食品製造の需要が高いことから、特定技能外国人の重要な受け入れ先として注目されています。今後も制度の柔軟な運用や雇用環境の改善が期待されます。

◆現状

2024年6月末時点で、特定技能「飲食料品製造業」分野における在留外国人は70,202人に達し、特定技能全12分野の中で最も多い在留者数を記録しています。この分野は、外国人労働者の需要が特に高いことがうかがえます。

特定技能1号の試験合格者数は、2024年6月末時点で68,713名に上ります。以前は技能実習生から特定技能へ移行するケースが多く見られましたが、現在では試験合格者が大半を占めており、試験を経て直接特定技能を取得する外国人が増えています。

特定技能2号の試験も実施中で、試験の申し込みは企業からのみ可能で、外国人個人が直接申し込むことはできません。受験の要件として、飲食料品製造業分野において複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験2年以上が求められます。このように、2号では実務経験や指導能力が重視されるため、より高い専門性が求められる仕組みとなっています。

◆対象の特定技能資格

特定技能1号・2号

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外食業

◆概要

外食業分野の特定技能外国人は、飲食物の調理、店舗管理、接客など、飲食店運営に関わる幅広い業務を行うことができます。飲食店のフロアスタッフとしての業務に加え、ホテル併設のレストランでの配膳業務やサービススタッフとしての活動も、この在留資格で従事することが可能です。

これまで、外国人が一般的な飲食店で幅広く働くことを認める「就労ビザ」は存在せず、特定技能が創設される以前は、飲食業分野での外国人労働者の受け入れが制限されていました。そのため、この在留資格は、飲食業界にとって待望の制度といえます。

◆現状

2024年6月末時点で、外食業分野における特定技能外国人の在留者数は20,308人で、全12分野中6番目に多い人数となっています。新型コロナウイルス対策による外出自粛が解消されたことにより人手不足が加速しているほか、外国人観光客の増加に伴い、インバウンド対応の需要も増加しています。この分野は、日本語を活かして働きたい外国人に特に人気の高い分野です。

特定技能1号の試験合格者数は、2024年6月末時点で71,615名に達しており、非常に多くの合格者を輩出しています。この分野では、技能実習からの移行者が少ないため、ほとんどが試験合格による在留資格取得となっています。

特定技能2号の試験については既に実施されており、受験にはマネジメント経験や店舗管理の補助経験が必要とされます。また、試験の申し込みは企業が行う必要があり、外国人個人での申し込みはできません。さらに、特定技能2号の在留資格を申請するには、日本語能力試験N3以上の合格が必須条件となっており、他分野と比べて高い日本語能力が求められる点が特徴です。

◆対象の特定技能資格

特定技能1号・2号

自動車運送業

◆概要

運輸業分野は、バス、タクシー、トラックを運転し、旅客や貨物を輸送する業務が対象となる新しい特定技能分野です。この分野は2024年に新たに対象に加えられたことで、さらなる人材受け入れが期待されています。

在留資格申請には、それぞれの業務に応じた運転免許が必要です。

バス・タクシー運転手は、日本国内での第二種運転免許が必須です。トラック運転手は、第一種運転免許が必要とされます。

また、タクシーやバスのドライバーには、お客様とのコミュニケーションが重要なため、日本語能力試験(JLPT)N3以上の日本語スキルが求められます。

◆現状

この分野は2024年に新設されたため、試験や受け入れ体制の整備が進められている段階です。試験については出張試験が開始されたばかりで、特にCTB試験(運輸業分野特定技能試験)の準備が進行中です。

運輸業分野における5年間の受け入れ見込数は24,500人とされており、今後、試験の実施や運転免許取得支援を含む環境整備が進むことで、外国人労働者の活躍が拡大していくことが期待されています。この分野では、輸送業界の深刻な人手不足の解消を目的とした積極的な人材受け入れが求められています。

◆対象の特定技能資格

特定技能1号

鉄道

◆概要

軌道整備、電気設備整備、車両整備、車両製造、運輸係員の業務に従事することが可能な特定技能の新しい分野です。この分野は2024年に新たに対象に加わり、鉄道関連業務を支える重要な人材受け入れが期待されています。

特に運輸係員の業務では、旅客対応や安全管理の役割を担うため、日本語能力が重要とされており、日本語能力試験(JLPT)N3以上の要件が設定されています。

◆現状

この分野は2024年に新設されたばかりで、試験体制の整備が進行中です。車両整備の区分に関しては、2025年3月の試験実施を目指して準備が進められている段階です。

この分野では、2024年からの5年間で3,800人の受け入れが見込まれており、鉄道業界における人手不足の解消を目的とした取り組みが期待されています。今後、試験や資格取得支援の具体的なスケジュールが進むにつれ、外国人労働者の採用と活用が一層加速していくことでしょう。

◆対象の特定技能資格

特定技能1号

林業

◆概要

育林、素材生産、林業用種苗の育成(育苗)、原木生産を含む製炭作業およびその関連業務に従事することが可能な特定技能の新しい分野です。この分野は2024年に新たに対象となり、林業分野での外国人労働者の活用が期待されています。

◆現状

2024年に新設されたばかりの分野であり、試験については2025年3月の開始を目指して準備が進められています。それまでの間は、技能実習から特定技能への移行による在留資格取得が主な手段となる見込みです。

この分野では、5年間で1,000人の受け入れが見込まれており、林業分野における人材不足を補うための重要な取り組みとして位置付けられています。試験の実施に伴い、外国人労働者がさらなる専門性を発揮しながら林業に貢献することが期待されています。

◆対象の特定技能資格

特定技能1号

木材産業

◆概要

製材業、合板製造業などに関連する木材の加工や、それに付随する関連業務に従事することが可能な特定技能分野です。この分野は2024年に新たに対象となり、木材加工業界における人材不足の解消が期待されています。

◆現状

2024年に新設され、試験は2024年12月から実施が開始されました。しかし、試験が年間にどの程度実施されるかについては、現在のところ明確ではありません。2024年の試験では、20人の受験者全員が合格しており、合格率は非常に高い状況です。

国外試験に関しては、インドネシアでの実施準備が進行中です。今後、国外での受験機会が拡大することで、この分野で活躍する外国人労働者の増加が期待されます。

なお、5年間で1,000人の受け入れが見込まれており、試験体制の整備や海外での受験拡大を通じて、業界全体での外国人労働者の活躍が進むことが期待されています。

◆対象の特定技能資格

特定技能1号

特定技能の試験について

特定技能で外国人を受け入れるには、日本語能力試験(「日本語基礎テスト(JFT-Basic)」又は「日本語能力試験(JLPT)」の4級)と特定産業分野ごとの技能試験の両方に合格する必要があります。加えて、特定産業分野試験は試験が細分化されている分野もあり、外国人が該当分野の資格を本当に取得しているか注意が必要です。最新情報は出入国管理庁又は各分野の団体のwebサイトなどを確認しましょう。

参考:出入国管理局「特定技能制度|試験関係

特定技能制度で外国人を受け入れるには?

特定技能制度を活用して外国人労働者を受け入れる際には、受け入れ企業として満たすべき要件、必要書類の準備と手続き、受け入れ期間中に守るべき義務があります。特定技能に関するルールは詳細に定められており、間違った理解に基づいて進めると、外国人労働者の入国遅れや入国できないリスクが生じます。

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特定技能の在留資格や外国人労働者の受け入れに関して経験や知識が不足している、または実施に必要な余裕がない企業は、日本の人材紹介会社を活用することが効果的です。受け入れプロセスをスムーズに進めるための支援から、受け入れ後のフォローアップまで提供し、受け入れ先企業の負担を大きく減らすことができます。

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まとめ

特定技能制度は、人手不足の解消や、技能レベルの向上など、多くのメリットが存在します。技能や言語レベルの高い外国人の受け入れを長期的に行えるからです。

受け入れ分野も拡大しており、そのニーズは今後ますます増加すると考えられます。

しかし、特定技能や分野毎の受け入れ手続きは複雑で、自社で全てを行うには相当の知識と労力が必要です。手続きに不備があると、外国人の入国が遅れ、最悪の場合は入国できないといった問題に陥る可能性があります。

自社での対応が難しい場合には、国内の人材紹介会社への相談がおすすめです。受け入れまでのプロセスを効率化し、受け入れ業務の負担を軽減できるからです。

キャリアリンクファクトリーでは、お客様から人材需要を確認し、貴社の要望に沿った人材を国内・海外合わせてネットワークを駆使して募集します。当社にて1次選考したスタッフを貴社にご案内します。ミスマッチ防止のため「オンライン面談」もしくは「現地で事前面談」を実施していただき、双方の了承を得て申請手続きを開始します。特定技能をご検討中でしたら、ぜひお問い合わせください。

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