特定技能で受け入れできる外国人の国籍は?各国の特徴や注意点を紹介
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特定技能で受け入れ対象となる外国人は、技能及び日本語能力を試験などによって確認する必要があります。制度の特性上、即戦力で活躍できる外国人材の受け入れが期待できます。
しかし、特定技能で外国人の受け入れを検討する中、「受け入れできる対象国がわからない」「どこの国の外国人を受け入れするか悩む」といった悩みをお持ちの企業も多いのではないでしょうか。
この記事では、特定技能で受け入れできる外国人の国籍や実態、国籍別の特徴と注意点について紹介いたします。
- 記事の要約
- 特定技能制度=国籍制限は原則なし、ただし二国間協定(MOC)19か国と締結(2025年8月時点)
- 協定国=インド、インドネシア、ウズベキスタン、カンボジア、キルギス、スリランカ、タイ、タジキスタン、中国、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、ペルー、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ラオス
- 例外国=トルコ、イラン(退去強制への協力拒否により受け入れ不可)
- 在留数=特定技能外国人206,995人(2024年10月末)、ベトナム90,621人(43.7%)、インドネシア43,723人(21.1%)、ミャンマー21,981人(10.6%)、フィリピン20,877人(10.0%)、中国12,185人(5.8%)、タイ3,840人(1.8%)、スリランカ1,540人(0.7%)
- 背景=技能実習生470,725人のうちベトナム人233,291人(約50%)、在留資格を特定技能に移行する動きが主流
- 移行実績=2024年に技能実習から特定技能へ移行76,004人、試験ルートで取得135,568人
- 試験実施=分野ごとに偏在(例:介護=11か国、建設=フィリピン・ベトナム1回のみ、外食業=7か国など)

目次
特定技能は国籍による受け入れ制限は原則無い

特定技能外国人の国籍による受け入れ制限は原則ありません。しかし、外国人の送り出し国によっては、日本との間で「二国間協定(MOC)」を結び、独自のルールを設けている場合があります。
外国人の受け入れは、日本で定められたルールに基づき手続きを行いますが、二国間協定を締結している国の外国人を受け入れる場合には、独自のルールが設けられているので注意が必要です。
また、例外として特定技能で受け入れができない国が存在します。それぞれ紹介いたします。
二国間協定と締結している国
二国間協定(MOC)とは、特定技能外国人の円滑かつ適正な送出し・受け入れの確保のために、日本と外国人の送り出し国との間で締結している各種取り決めのことです。2025年8月現在、日本は19か国と二国間協定を締結しています。
- ◆二国間協定締結国
- インド
- インドネシア
- ウズベキスタン
- カンボジア
- キルギス
- スリランカ
- タイ
- タジキスタン
- 中国
- ネパール
- パキスタン
- バングラデシュ
- フィリピン
- ベトナム
- ペルー
- マレーシア
- ミャンマー
- モンゴル
- ラオス
参考:JINTO|送出し国政府機関名・2国間協力覚書締結日・認定送出機関数・送出し体制
なお、二国間協定は、特定技能制度というプロジェクトを円滑に進め・外国人を保護することを目的とした取り交わしであるため、二国間協定を結んでいない国からの採用が出来ないという意味ではありません。
日本以外で特定技能試験を実施している国は、二国間協定を締結している国のみとなりますが、二国間協定を結んでいない国からも、特定技能外国人を採用することはできます。
例外的に受け入れできない国がある
日本から「強制退去」の命令が出た際、執行に協力することが約束されていない国籍の外国人は、例外的に受け入れができません。現状は、トルコ・イラン・イスラム共和国が該当します。
特定技能で働く外国人の国籍別実態

特定技能で在留する外国人は、2024年10月末時点で206,995人にのぼります。国籍別の内訳としては、ベトナム国籍が約43%を占めており、次いでインドネシア、ミャンマー、フィリピン、中国、ネパール、タイ、スリランカの順です。
◆特定技能外国人の国籍別人数と割合
| 国籍 | 総数 | 割合 |
|---|---|---|
| ベトナム | 90,621 | 43.7% |
| インドネシア | 43,723 | 21.1% |
| ミャンマー | 21,981 | 10.6% |
| フィリピン | 20,877 | 10.0% |
| 中国 | 12,185 | 5.8% |
| タイ | 3,840 | 1.8% |
| スリランカ | 1,540 | 0.7% |
| その他 | 352 | 0.1% |
| 総数 | 206,995 | - |
参考:外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末現在)
特定技能でベトナム人が圧倒的に多い理由
特定技能はベトナム人の割合が圧倒的に多く、全体の約49%を占めています。その理由には、ベトナム人の「技能実習生」が多いことが挙げられます。
2024年10月末時点で、日本に在留する技能実習生470,725人の内、ベトナム人実習生は233,291人と約半数の割合に上ります。
技能実習生として日本に来日した外国人は、最長5年間の在留期間が定められております。しかし、在留資格を特定技能に変更することで、在留期間を延長することが可能です。日本での生活や就業を継続したいと考える技能実習生の多くが、特定技能に在留資格を変更しているのです。
インドネシアやミャンマーも台頭
近年の特定技能の国籍構成は、かつての「ベトナム中心」から様変わりしています。インドネシア、ミャンマー、ネパールといった東南アジア諸国の在留者が存在感を増し、全体のバランスがシフトしてきました。背景には、ベトナム籍の伸びが頭打ちになる一方で、インドネシアやミャンマーからの新規入国者が着実に増えていることがあります。
ベトナムについては、特定技能への移行元の多くが技能実習で、これまでの主流でした。しかし、現地賃金の上昇や円安による送金メリットの縮小、コロナ禍の入国停止、さらに技能実習制度の見直し(廃止予定を含む)といった要因が重なり、増加ペースは鈍化しています。2024年に現地試験が始まったものの、他国に比べ実施の立ち上がりが遅く、国内要件を満たす人材の母数が少なかったと考えられます。
一方のインドネシアは、技能実習出身者の層が厚いうえ、現地での特定技能試験が活発に行われており、新規入国が大きく伸びています。ミャンマーでも同様に新規の流入が増えており、在留者数が将来的にベトナムを上回る可能性すら見えてきました。
このように、コロナ禍を転機として国籍別の構成は過渡期にあります。受け入れ先の国を選ぶ際は、従来の前提にとらわれず、各国の試験実施状況や人材プールの厚み、為替や賃金動向まで含めて再評価することが重要になっています。
技能実習生から特定技能に在留資格を移行している
技能実習生は条件を満たせば、技能評価試験と日本語試験を受験せずに、特定技能へ在留資格を移行できます。
2024年では、技能実習生から特定技能に在留資格を変更した外国人数は76,004人となっております。
特定技能の在留資格を取得するには、各分野での技能を測る「技能評価試験」と、「日本語試験」への合格が必要です。しかし、「技能実習2号」を良好に修了した外国人は、技能評価試験と日本語試験の両方が免除されます。
技能実習生は日本の文化にも慣れており、企業側の受け入れに必要な手続きも簡略化されることから、需要が高まっております。
試験に合格した特定技能外国人の受け入れ状況
2024年では、「技能評価試験」と「日本語試験」に合格し、特定技能の在留資格を取得し在留する外国人数は135,568人となります。
また、技能試験合格者は32万5,560人(令和5年度比30,602人(8.6%)の減少。)という状況です。
国籍別で見ると、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ミャンマー、ネパール、中国の6ヶ国が中心で、全体の約95%を占めます。また、海外での試験の実施状況は分野によって、偏りが非常に大きい状況です。
| 試験分野 | 実施国 |
|---|---|
| 介護 | フィリピン、カンボジア、インドネシア、ネパール、モンゴル、ミャンマー、タイ、スリランカ、インド、ウズベキスタン、バングラデシュ、ベトナム |
| ビルクリーニング | フィリピン、カンボジア、インドネシア、ミャンマー、タイ、ネパール、スリランカ |
| 製造業3分野 | フィリピン、インドネシア、ネパール、タイ |
| 建設 | フィリピン、ベトナム、カンボジア、インドネシア、ネパール、 モンゴル、ミャンマー、タイ、スリランカ、インド、ウズベキスタン、バングラデシュ |
| 造船・舶用工業 | フィリピン |
| 自動車整備 | フィリピン、ベトナム |
| 航空 | フィリピン、モンゴル、インドネシア、ネパール、スリランカ |
| 宿泊 | フィリピン、インドネシア、ネパール、ミャンマー、ベトナム、スリラ ンカ、インド |
| 農業 | フィリピン、カンボジア、インドネシア、ネパール、モンゴル、ミャンマー、タイ、スリランカ、インド、ウズベキスタン、バングラデシュ、ベトナム |
| 漁業 | インドネシア |
| 飲食料品製造業 | フィリピン、インドネシア |
| 外食業 | フィリピン、カンボジア、インドネシア、ネパール、ミャンマー、タイ、スリランカ、ベトナム |
参考:出入国管理庁|特定技能運用状況

特定技能の受け入れに関する国籍別の特徴と注意点

特定技能は一部の例外国を除いて、様々な国籍の外国人が受け入れ可能です。しかし、受け入れする国籍によって特徴や注意点が存在します。
受け入れ人数の多い、ベトナム、インドネシア、フィリピン、中国、ミャンマー、ネパールの6ヶ国をピックアップし紹介いたします。
ベトナム
ベトナム人は政治的要因や歴史的背景により、親日派が多い傾向です。学校教育にも日本語が取り入れられており、日本語の習熟度が高いベトナム人も多く、日本語能力試験(JLPT)のN2レベル以上を有する人が多いという特徴があります。
国民の約8割が仏教徒で、忠実に教えを守る国民性は勤勉さや協調性が高く、日本人に近い性質を持った人が多い印象です。
ベトナムより新たに受け入れる場合は、ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局(DOLAB)が、認定している送り出し機関の利用が必要となります。
インドネシア
特定技能でインドネシア人は急増しております。インドネシアの月間平均所得は日本円で約3万円と低く、賃金の高い国へ出稼ぎし母国にいる家族を養うケースが増加している状況です。
助け合いの精神が強く、家族を大切にしたり、目上の人への敬意も持っている点は日本人と近いかもしれません。注意点としては、イスラム教徒が多いので、宗教的な配慮が必要です。
また、インドネシア独自の仕組みの「労働市場情報システム(IPKOL)」や「認定紹介事業者(P3MI)」、「移住労働者証(E-KTKLN)」があり、受け入れを進める場合はそれぞれの仕組みを理解する必要があります。
フィリピン
フィリピン人は明るくフレンドリーな性格の人が多く、コミュニケーション能力が優れている傾向にあります。家族への思いやりが強く、少しでも家族へ多く仕送りをするために、就業意欲の高い若者が多い実態です。
英語が公用語であるため、受け入れ企業側の業務負担を比較的軽減できます。注意点として、フィリピン人にはキリスト教徒が多く、行事や祝日を重要視する傾向があります。
また、フィリピン人の受け入れは、日本在住・現地在住に関わらず、フィリピンの認定送り出し機関との契約が必要です。政府機関である「MWO(旧POLO)」「DMW(旧POEA)」の理解も重要です。
中国
中国人は広大な土地に様々な文化が共存し、文化的な共通認識というものが薄く、自分の思いをはっきり伝える傾向があります。
個人主義、成果主義であるという考え方も大きな特徴です。そのため、仕事においては利益を確保するために効率的に行動し、臨機応変な対応をとることができます。また、中国は出身地域によって大学の進学が制限され、学歴によって参加先や給与の多さにも影響します。その影響で貧富の差は拡大し、学習意欲が高い学生はインターンで海外企業に参加し、そのまま就職するケースも多い実態です。
実際に、日本への留学生は中国人が最多となります。日本で試験を受験し、留学ビザから特定技能に移行可能な人材が多く存在します。
受け入れ手続きに関しては、日本と中国は二国間協定も結んでおらず、独自のルールはありません。
ミャンマー
ミャンマーには仏教精神が根付いており、年上を敬う文化が比較的強く、日本の年功序列の傾向が強い社会にも溶け込みやすい性質を持ちます。
仏教の教えにより、現世での行いを大事にするため、真面目な人や思いやりある人も多いです。しかし、強い自己主張を良しとされていない文化の影響で、怒られることに慣れていません。指導を行う際には、別室などで多くの人の目に触れないように、論理的に説明しましょう。
ミャンマーから新たに受け入れる場合は、ミャンマー政府認定の送り出し機関の利用が必要です。認定送り出し機関を通じ、政府に求人票を提出し、政府からの人材紹介を受ける許可を得た後、認定送り出し機関から人材紹介を受けるといった流れとなります。
ネパール
ネパール人は助け合いの精神が強く、目上の人は敬うべきという考えを持ち、国民性は日本人と近い傾向があります。
国民の8割がヒンドゥー教徒です。お肉の調理はできますが、食べることはできない場合があります。また、左手は不浄の手とされているため、握手の際には右手で行うように配慮が必要です。
ネパールから新たに入国する場合や、特定技能ネパール人が日本から一時帰国する際には、「ネパール労働・雇用・社会保障省海外雇用局日本担当部門」に海外労働許可証の発行申請が必要です。独自ルールに注意しましょう。
まとめ
特定技能は、即戦力となる技能や語学力を持つ人材の確保を可能にし、人材不足の解消を期待できる制度です。
現状では、技能実習生からの在留資格の移行に大きく依存しているものの、試験ルートでの人材受け入れも着実に増えています。
コロナでの渡航制限が解除され、海外での技能評価試験の実施国、実施頻度の増加により、特定技能人材となれる外国人の増加も予想されます。
しかし、特定技能は分野毎に様々な手続きが必要です。また、二国間協定によって異なるルールが存在し、受け入れする外国人の国籍毎に異なる対応を行う場合があります。
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